で、肝心な作品の感想ですが…
サラッと、そして淡々と二人の男女の姿を描き
演技や音楽で、過剰に盛り上げようとしない
あえて必要最低限のことしかしていないところに
僕はとても好感を持ちました
この作品のモデルである長島千恵さんは生前
若い女性達への乳がん検診の受診啓発のため
自分が闘病している姿をテレビで流してもらうことを希望したと聞いています
そういう意味において、この作品は
松雪泰子さん主演の『余命』よりは
がん検診に対する啓発色が薄い気がします
たぶん、どうあがいてみたところで
長島千恵さんご本人の姿、ドキュメント映像には絶対敵わないわけです
そこで、廣木隆一監督は腹をくくり
本当に淡々と、二人の男女の出会いと別れを描きました
劇映画としての
ベストとは言わないまでも、ベターな選択
さすがだなと思いました
じゃあ淡々としているから、それで伝わることが無いかというと
決してそんなことはありません
僕は叔父をがんで亡くしていて
闘病の部分の描き方が少々マイルドかなとも思いますが
何もリアルに描くだけが能じゃないでしょう
先に書いたとおり
主演の二人、瑛太さんと榮倉奈々さんは
とても誠実に役に向き合っていて好感が持てます
特に榮倉さんは
今回の作品がターニングポイント
代表作の一本となるでしょう
僕の、廣木隆一監督に対する信用は
少しも損なわれることはありませんでした
この作品を観て
自分が、太郎あるいは千恵の立場だったら?
と考えてみるのもいいかもしれません
http://www.hanayome-movie.jp
【評価】☆☆☆(5つが最高)

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