2004/12/28

冬の幼虫幻想  おいらのなかみ

未だ夢で見るおいらのうちはここである。

物心付いてから20年近く住んだ市営アパート。
4階建てでおいらんちは一階だった。

この場所は裏口に続くベランダで、写真手前に3段ほどの階段があって写真右奥に台所、そこに裏口があった。
その横にはお風呂場のちっこい窓があって玄関や裏口が施錠されている時などそこからずるずるとナメクジのように侵入したものだ。ちっちゃい時ね。

奥のガラス戸が割れている。
これが割れた時の事は良く憶えてる。
この年、9月。
伊勢湾台風の時、前においてあるざら板が飛んだんだ。

しかし、なんちゅう格好じゃ。
腹のモコつきはなんともはや、申し訳ない。
おまけに左足ときたら球体関節人形を捻り間違えたポーズだぞ。
歯もあまり無さそうだ。
ここらは今とおんなじか。

奥の部屋はのちにおいらの部屋となる。
そこからはちっこい庭が見えた。
庭ではおいらが捨てた柿の種が育って実をつけた。
庭はまた、可愛がっていたネコのお墓にもなった。
スズメもカエルもトカゲも、埋めた。

おいらはいまでもここにいる夢を見る。
夢の中でうちに帰るときはこの裏口から帰ってくる。

不思議と家から出かける夢は見ない。
帰ってくる、ここにいる、ばかりだ。
ここにいてもなんにもないのに、いいことなんかちっともなかったのに、それでも、おいらは夢の中でいまでもここに帰る。


ああそうだ、きっとそうだ。

おいらはここ埋められている。
ネコやカエルやトカゲやスズメや柿の種といっしょに、きっと、ほんとうは、ここに埋まっているのだ。







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