昨日の朝日の朝刊を見てみたら、おーっと、「Sicko」について5人の評が載ってるじゃーあーりませんか。ま、「暗喩が暗喩が」とトンチンカンなことを言ってる映画監督とやらは置いとくとして、日本の皆保険制度については評価しても、カンジンの
医療がすでに崩壊しはじめてることについては、だーれも触れてないじゃん。
「医者にかかれない」アメリカより「かかれる医者がいない」日本の現状の方がまだマシだとか思ってんじゃないでしょーね。
で、映画の続きなんだけど、車の事故で
意識不明になって救急車で搬送されたねーちゃんが保険会社から
「事前に許可(!!!)を申請していない救急車の搬送は認められない」と保険料の支払を拒否されたり、身長183センチ体重59キロは「痩せ過ぎている」155センチ79キロは「太り過ぎている」という理由で保険加入させてもらえないなんて話がぞろぞろ。
そこでマイケル・ムーアが、ネットで保険会社に絡む恐怖の体験を募集したら、なんと一週間で25,000件も寄せられたそーな。
なかにはこの募集を利用して、難聴の子供の手術を片方の耳しか認めてくれない保険会社に対し
「マイケル・ムーアが保険会社の不誠実な対応例を集めているので貴社のケースを報告します。経営者に映画出演の経験はありますか?」って通告したらアーラ不思議、しっかり審査を通ることができたそーな。もちろんこのエピソードも映画にしちゃったんだけどね。
ちょっと脱線するけど、ここんところ救急医療が日本のあちこちで崩壊している一つの理由に、たいして重い症状でもないのに救急車を呼んでタクシー代わりに使ってるヤツが多いってーことがあげられるそーだけど、そんな社会的コスト意識のない連中には、こーゆー目にあわせてやってもいいんじゃないかとふと思ったりして。アクセスはフリーだけど請求の段階で「あなたが不必要な救急車を使って受けた治療は保険の対象になりませんので10割負担です」とかね。
さて、こーやって
支払にいちゃもんつけるのが保険会社のデフォルトなのか探ってみると、内部告発キターーー!!、実はしっかり「利用者を遠ざける係」がいて、少しでも会社に不利になるよーな既往症を持っている人は審査でバシバシはじく。そのリストはガン・糖尿・心臓病に始まって、聞いたこともないよーな病気まで、スターウォーズのテーマとともに宇宙の果てまで続くほどあるのには思わず爆笑。
しかーし、マトモな人間がこんな仕事を続けられる訳はないね。
「親身になって対応していたら(気の毒で)精神的に耐えられない」「私は人間のクズだ」と、
そんな係をやってた女性は涙が止まらない。
ちゃーんと全適応型の保険に入ってたって安心できない。だってアメリカでは、
医師も保険会社の味方だから。つーか治療方針は保険会社の意向に従わないと、経営的にもやってけない。治療に対しての保険審査の否認率も決まっていて、
否認状をいっぱい出した「成績がいい医師」にはしっかりボーナスが出るそーな。ある
保険会社のお抱え医師なんかは否認状の内容には目を通さないで、「サインのはんこ」を押してたのが裁判の証言でわかったくらいだもん。
「実験的な治療法に過ぎない」という保険会社の判断で骨髄移植が受けられなかったりとか、旅先の日本で発病して「帰国後これこれの治療を受けるように」って日本の医師に指示されたのに保険会社に拒否されたり、
必要な治療が受けられないで死んじゃった人の例が次々挙げられて、もーげっそり。
なかには良心の呵責に耐えられなかった医師もいて、1996年に開かれた公聴会では、
リンダ・ピーノ医師が患者の手術を拒否して死に至らしめたのを証言。保険会社が治療費の支払いを拒否したためだ。でもこんな医師は全体から見たらごくごく少ないみたい。
保険会社のいちゃもんはこれだけじゃなくて、ちゃんと契約していても、本人が気づかないよーな申請書の小さなミスや「既往症」を見つけ出してきて、それを理由に契約を解除しちゃう。ある女性は、むかーしカンジダ膣炎になって軟膏を塗ったら治ったのを申告してなかったという理由で契約を解除されちゃった。保険会社には、こーゆー
既往症探しの「ヒットマン」がいて、法律のほころびをなんとか見つけては契約解除の理由を探しているそーな。
インタビューを受けたヒットマンは
「今はその仕事をしていないのは幸いだ。しかしこうした実態を話すことで罪の償いができるとは思ってない。」ってくらーい表情で語ってた。
いったいこんなひどい患者無視のシステムがどーしてできたのか?。発端は1971年のニクソン政権の時代にさかのぼるんだけど、だーいず長くなったんで、またまた続きは明日のココロだー。
今回はあんまり解説が入る余地がなくて、「10倍楽しめないぞ」とゆーツッコミもおありでしょーが、連日のUPに免じてご支援のクリックを!→
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