ヤングデ詰将棋正誤等
「ヤングデ詰将棋」が発行され、2018年11月24日の詰工房で初売りをいたしました。当記事では正誤や補足事項等について加筆して行く予定です。
凡例
余詰あり
と結果稿の作品図面の上部に書かれている部分については、掲載時にはありませんが復刻版を編集するにあたり、便宜上付けました。p109以降の「余詰手順について」を参照願います。
誤植
p9、2段目誤:朱名氏 正:失名氏
P19B 誤:中井孝司くん作 正:為井浩次くん作
p51H 誤:山村 政くん作 正:相馬康幸くん作
余詰
p31、3段目 久木野和雄くん作 5手目より91馬、82合、65桂、64玉、53飛成まで。
補足記事
詰将棋古図式鑑賞同好会々報 第十一号 (昭和31.7.30)より
関西詰将棋ファングループ 趣意書
目 的:詰将棋を愛好する人達が、お互の信愛と交誼を求め、楽しい雰囲気を盛り立て、僅かでも得る所のあれかしと願うものです。
名 称:京阪神を中心として、その近郷の人達で構成し、関西詰将棋ファングループと名付けます。
組 織:特別な組織を作らない様に極力努めるべきと思います。
連絡先:神戸市東灘区御影町上中七一四ノ六 田 宮 克 哉
会 員:一切徴集しません。寄附は堅くおことわり。
行 事:(1)名簿の完成。会員名簿を作り配布します。(無料)但し、これは詰棋交友関係のみに使用するものですから、政治・経済・その他一切のものに便乗してはなりません。
(2)小グループの育成。臨時集会し得る範囲で小グループを作り、研究に交友に便ならしめ、主として活動はこの単位で行います。(特に連絡代表者が欲しい)
(3)先輩・大家訪問。予め諒解を得ておいて数人の小グループで訪問します。この計画は随時個々に行いますが、而後簡単に報告の事。
(4)病床見舞、慶弔、その他。前項同様主として小グループで行いますが、金品の贈答は差控えること。
(5)棋友、棋書等の紹介。お互いに見聞を広め交誼の拡大の為に諸々の連絡を行い、文報告などをお願いします。
(6)研究グループの育成。棋創作は、孤立では苦難が多すぎるため、研究グループを作るよう斡旋します。
(7)年一回の大会合。毎年一月(又は八月)の適当な日を選んで有志の大会合)を行います。但し、交通費と食費は当人負担です。日時、場所は準備出来次第連絡します。
(8)回覧板の廻送。各自独創的な回覧を廻して下さい。内容は郵便連将棋、趣味、蒐集の紹介、詰棋に関する自慢話し、その他廻って来た回覧板はストップさせないよう切望します。
(9)会報。年一度会報を発行し、正会員に配布したいと思います。色々のニュースその他をお知らせ下さい。
附 記: 小グループ編成のための目安として差し当り皆様の交友実体を知りたいと思いますので文通、又は交際されている方々のお名前(関西以外をも含め)をお知らせ下さい。又お聞かせ願える範囲で自己紹介もお願いします。
詰朗会年報@ 昭和51年6月30日発行より
東京詰将棋愛好会準備会
日時、場所=昭和50年1月26日、田宮宅
議決事項
(1)課題創作の例会から始め、基礎ができてから大会を開く。
(2)作品発表の場は、壮棋会の二番せんじにならないよう、村山氏が近将誌へ交渉する。
(付記)準備会の準備については、田宮、湯村、森田の3人が、昭和49年12月に2回会合をもち、従来からの文通者へあんないすることにした。発起人は湯村氏、同調者森田氏、事務担当は田宮。
(感想)壮棋会の東京分室であるような3人が呼びかけて、どこまで行けるのか疑問であったが、村山、野口、藤井の3巨頭が参加されて、地盤がかたまり、チンエイジャーの参加は、東京グループをいきいきとさせた。
★上述のような経緯の後、昭和50年3月23日に関東地方の詰将棋定期的会合の嚆矢とも言える、第1回詰朗会が行われました。
「金魚」に掲載されなかった好作
詰将棋パラダイス1978年5月号(267号)p7より
詰研レポート6
私の好きな作品
本郷 昌幸

本作を記憶している人は少ないかもしれない。あるいはご本人ですら忘れかけている作品であるかもしれない。しかし私にとって、田宮克哉という名前と本作とは切り離して考えることはできないのである。そして本作こそ、氏の代表作であると、今でも思っている。
これといって難手もなく、初手が分かれば後は一本道とすらいえる手順だが、いかにも気持ちの良い一本道ではないか。いや、この“一本道”の手順以外に、本作にピッタリする手順が果たしてあるだろうか。
四畳半の中での勝負にはチャンバラは適しない。一発必殺の大ワザも似合わない。攻め方と玉方が、互いにお茶でも飲みながら、“静かなる闘い”をしている。あくまで騒ぎたてることはなく、攻め方が「詰みですネ」といえば「やられました」と玉方がいう。そして双方ニッコリする・・・。“駒同士の対話”がこの作品にはある。
田宮さんは四月号誌上で「・・・これヤン詰の家風。好作、力作おことわり」と書いておられる。これは田宮さんの人柄にも通じるようだ。新人作家から大家まで、どんな人とも気軽に接していて、むろん私にも親しくして下さるが、肩の凝らない人なのである。我々若者に対して全く対等の立場で接してくれるのがとてもうれしい。マサカ、つき合う人も「好作、力作おことわり」というのではないだろうけど、そういう人は田宮さんには似合わない?(失礼!!)
そんな田宮さんの人柄が本作からはうかがえる。決して“傑作”ではないが、かといって“凡作”でもない。個人的に「イイナ」と感じる程度の、目立たない好作という評価がピッタリだと思う。だが本作を「イイナ」と思ったのは私だけではなかったようで、発表当時の短評を見ても好評が寄せられている。好作には違いないのだ。ただ私が本作を忘れ難く思っているのは、何よりも田宮さんらしさがよく出た作品だからである。本作を詰め上げたとき、田宮さんの笑顔が浮かぶ。
作意=33銀生、21玉、23龍、同金、11歩成、同玉、23桂生、12玉、11桂成、同玉、22金まで11手詰。
2018年11月25日作成
2018年12月1日加筆(誤植・余詰)
2018年12月6日加筆(補足記事)
2018年12月7日加筆(ヤングデ詰将棋発表号データ)

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