旧パラを検証する111
第十号 百人一局集 2
凡例:原書引用(作品番号・住所・職業・年齢・棋力・作者コメント・氏名・図面・詰手順・☆以降は作者コメント)の後に★以降に管理人註とする。
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第一番
群馬県館林局内六郷村松原二二
空壜商 二十才
七級程度
野口 益雄氏作

32銀、12玉、22桂成、同金、21龍、同金、34角、22玉、23角成迄9手
★掲載時15金脱落。校正を依頼した某氏が不要として削除したとのこと。作者に問い合わせもせず、15金を省いて出題したため不完全だったというのは、酷すぎます。尤も最近でも余詰作品を勝手に修正した出題している場合もあるので、同じようなものかもしれませんけど、、、。
初手31龍とすると、同玉、42金、21玉、32銀、(15金が無いと、32角、12玉、23銀13玉、14銀成以下の余詰)12玉の時に34桂が邪魔で詰みません。そこで、32銀〜22桂成として34桂を消去して21龍とするのが巧い手順です。野口氏の初期の作品ですが、野口氏らしい軽い作品でした。
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第二番
愛媛県松山市新浜町二丁目
農業 二十二才 三級
☆昭和十九年春大山原田両氏来遊の砌兄利男と共に両氏に指導を受け昨今詰棋に熱中す。
森 敬吾氏作

31馬、同玉、22銀、41玉、53桂、同飛、32飛成、同玉、42金迄9手
☆昭和十九年春東都の新鋭現八段原田康夫氏と関西の強豪現九段大山康晴両氏来遊の砌、兄森利男と共に両先生に指導して頂き現在近在に敵無く昨今詰将棋創作に熱中す。
★兄の森利男氏はこの時の幼稚園の担当者。森敬吾氏の作品はこの1作のみのようです。
実は百人一局集では、一人一作が原則ですが、ペンネームを使ったりした一人で二作掲載されている方も居て、誠に失礼ながら、この森敬吾氏の作品も森利男氏の作品ではないかと疑ってしまったりもします。
作品自体は初手一発の作品ですが、飛車を捌いての収束で纏まってはいると思います。
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第三番
名古屋市中川区西日置町八丁目四十六番地
呉服商 三十才 二段
昭和二十五年度アマ名人戦愛知県代表
尾崎 和夫氏作

34馬、22玉、A32飛、同金、23馬、同金、42飛、21玉、32飛成迄九手、
★初手は嫌味ですが、以下の飛〜馬の連捨ては気持ち良い手順です。
ところが本作は当時より余詰指摘あり。3手目Aで23飛以下31玉、21飛打、同馬、42銀成、同玉、33飛成、51玉、52馬、同玉、63銀、61玉、62金迄15手 指摘:沢田夢考 佐藤善起 田代達生 津金貞夫 草柳俊一郎
尾崎氏はパラに4作作品を発表しておられます。
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第四番
北海道札幌市
大友 芳己氏作

94金、イ同玉、95金、同飛、85金、ロ同飛、86桂、同飛、95金迄九手
変化説明
イ同玉の処74玉なら73金、85玉、86金以下早い
ロ同飛の処同玉なら75金、94玉、86桂迄
★大友芳己は山田修司氏のペンネームで、本名で56番に入選しておられます。
持駒4金の持駒趣向から、金を打ち捨ててゆく、小駒図式の味わいがあります。95金としてからの85金が気持ち良い所でしょう。ロの変同は今は気になりますが、当時は問題なしです。
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第五番
愛知県知多郡横須賀町大字高横須賀字眞光寺二十番地
無職 満十九才
納富四段に飛香落
伊藤 芳男氏作

25桂、24玉、35金、同歩、34金、同玉、32飛成、44玉、45金、53玉、62龍迄11手
★いかにも実戦そのものの手順。35・34・45と3回金を捨てる所が見所ですが、他に手が無いのが弱いところです。
伊藤氏は旧パラに4作発表をしておられます。

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