旧パラを検証する110
第十号 百人一局集 1
凡例:最初は原書の転記⇒罫線を挟んで管理人註⇒罫線を挟んで原著の転記⇒以下繰り返し
百人一局集発刊について 紳棋会
詰将棋百人一局集発刊の計画は本誌発行当初から持っていたものであるが七月号に於てはじめて新題募集を公告しその実現に第一歩を踏み出す事となつた。詰将棋の全国的な隆盛に鑑みて百局の募集は容易であるとの当初の予想は見事に外れ、本集発刊迄に於ける辛苦は粒々たるものであつた。流汗琳璃の夏から秋霜季に至るまで上掲検討者との間に何百回の往信復信を繰り返した事か。然も屡次の改訂にもかかわらず遂に不完全として本集に登載し得なかった図式及その作者の苦心を考える時衷心かわ申訳ないと思う。然しこの企ては本回限りで打切られるものではない。小誌の年中行事として本年度に於ても再び公募を茲に確約し、今回不運にも入選されなかつた方並にこの事あるを知られざりし優秀作家に於かれては本年こそは傑作妙作を案出せられ明年新年別冊付録を飾られたい。
尚上記諸氏には極めて厄介な検討の労を煩はし衷心感謝に堪へない。熱く御礼申上げます。と同時に熱心なる投稿者全氏に満腔の感謝を捧げます。尚この際一言附加するならば入選の決定はすべて本会に於てなしたものであり検討者は検討のみに従事された点、及鶴田主幹は繁忙の為棄権された点であります。かへり見れば夢又夢、然しこの一夢が現実の姿となつて諸賢に見えし今は千幸萬苦も夢となりました。
新選 詰将棋百人一局集 入選者氏名一覧表(管理人註:バランスの関係で番号は英数字とした)
第1番 群馬県 野口益雄 第2番 愛媛県 森 敬吾
第3番 名古屋 尾崎和夫 第4番 札 幌 大友芳己
第5番 愛知県 伊藤芳男 第6番 群馬県 荻野修治
第7番 東京都 一色健三 第8番 鹿児島 落合祐治
第9番 新潟市 亀田一光 第10番 栃木県 金子治雄
第11番 奈良県 和田平一 第12番 横須賀 長谷川五久夫
第13番 徳島県 麻生長三郎 第14番 北海道 水谷 進
第15番 東京都 沢田洋太郎 第16番 青森県 杉山 治
第17番 名古屋 友松 進 第18番 東京都 金子 満
第19番 仙台市 下田哲也 第20番 北海道 米津正晴
第21番 東京都 神山充晴 第22番 三重県 新山 篤
第23番 大宮市 脇田博史 第24番 静岡県 真木一明
第25番 札幌市 柏川悦夫 第26番 東京都 村山隆治
第27番 兵庫県 宇佐美正 第28番 名古屋 蟹江悦蔵
第29番 愛知県 伊藤吉一 第30番 福島県 藁谷憲弘
第31番 東京都 北村研一 第32番 三重県 西口 正
第33番 群馬県 湯村光造 第34番 新潟県 難波昭治
第35番 東京都 石山哲夫 第36番 京都市 中塚仁郎
第37番 新潟市 棋田迷児 第38番 愛知県 野村幸一
第39番 徳島県 喜多貞夫 第40番 岡山県 平田 昇
第41番 名古屋 佐竹勝義 第42番 横浜市 残間喜一
第43番 宮崎県 竹中敏雄 第44番 東京都 佐藤倭史
第45番 兵庫県 谷向奇龍 第46番 愛媛県 坂吉 晃
第47番 鹿児島 武 熊雄 第48番 神奈川 福山博晴
第49番 東京都 平田一夫 第50番 東京都 石井鉄之助
第51番 東京都 熊沢国男 第52番 横浜市 草柳俊一郎
第53番 京都市 田代達生 第54番 愛媛県 森 利男
第55番 青森県 成田忠雄 第56番 札幌市 山田修司
第57番 千葉県 高橋利雄 第58番 東京都 宮本三二郎
第59番 北海道 渡辺一平 第60番 東京都 辰村純治
第61番 名古屋 岡嶋良一 第62番 静岡市 岡村芳雄
第63番 東京都 鈴木尚歩 第64番 静岡県 土屋 健
第65番 北海道 阿部重次郎 第66番 岸和田 川崎 弘
第67番 京都市 能村荘一 第68番 岡山県 田中道夫
第69番 千葉市 加藤玄夫 第70番 京都市 石川 広
第71番 鳥取県 三好泰造 第72番 北海道 形幅 清
第73番 新潟市 山崎乾三郎 第74番 新潟県 橘 二叟
第75番 新潟県 沢田 燿男 第76番 千葉県 大関信雄
第77番 東京都 松山菊夫 第78番 愛知県 鈴木 実
第79番 東京都 堤 浩二 第80番 神戸市 藤倉 満
第81番 愛媛県 宮本兼利 第82番 名古屋 柴田龍彦
第83番 大阪府 辻 純正 第84番 京都市 松井雪山
第85番 福岡県 奥薗幸雄 第86番 京都市 大橋虚士
第87番 大阪市 里見義周 第88番 名古屋 鈴木芳己
第89番 北海道 小原信治 第90番 愛媛県 三好鉄夫
第91番 函館市 古関三雄 第92番 東京都 野崎雅男
第93番 千葉県 大井美好 第94番 奈良県 高木秀次
第95番 東京都 佐藤忠秀 第96番 東京都 二上達也
第97番 横浜市 相馬夢龍 第98番 兵庫県 谷向奇道
第99番 静岡県 内藤武雄 第100番 京都市 松永真作
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ここで、地域別に入選作数を比較してみる。(地域は作品の多い順に掲示)
北海道10作
東北 4作:青森県2作、宮城県1作、福島県1作
関東33作:東京都19作、神奈川5作、千葉県4作、群馬県3作、栃木県1作、埼玉県1作、
中部21作:愛知県11作、新潟県6作、静岡県4作、
近畿18作:京都府7作、兵庫県4作、大阪府3作、奈良県2作、三重県2作
中国 3作:岡山県2作、鳥取県1作
四国 7作:愛媛県5作、徳島県2作
九州 4作:鹿児島2作、福岡県1作、宮崎県1作
※4番の大友氏は56番山田修司氏のペンネーム(北海道)・35番石山氏と50番の石井氏は同一か。(東京)よって、実際の作者数は98名と思われる。
都道府県別順位は、1位が19作(実際は18名19作)の東京は2割弱を占めており、ダントツの入選
数です。2位は旧パラの御膝元の愛知県が11作ですが、紳棋会があったことが影響しているのでしょう。
3位は10作(実際は9名10作)の北海道で、人口から考えてこれは多いと言えるでしょう。4位の京都の7作は解りますが、5位が6作の新潟県、6位が5作の愛媛県(神奈川も5位ですが)というのは、今を考えると凄く多いと思います。一方で大阪が3作しか無いのは意外の一言です。
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検討者一覧表
麻植長三郎氏 徳島 大橋虚士氏 京都 川崎 弘氏 岸和田
加藤玄夫氏 千葉 草柳俊一郎氏 横浜 沢田燿男氏 新潟
鈴木尚歩氏 東京 田代達生氏 京都 谷向奇道氏 兵庫
泰泉寺晴彦氏 東京 土屋 健氏 静岡 成田忠雄氏 青森
能村荘一氏 京都 原 広路氏 岐阜 三好鉄夫氏 愛媛
村野 実氏 京都 山田修司氏 札幌 吉野鳴南氏 徳島 (五十音順)

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