旧パラを検証する105
第十号11
めい句百出 川柳大会・・・読者の川柳紹介+福山博晴氏作の升田八段と大山九段の似顔絵
川柳をいくつか引用してみます。
(愛媛)宮本兼利
パチパチと駒音高い下手将棋
ラクに勝ち苦しみぬいて負将棋
ダン段を下から登る将棋道
イやまてよ待てよと覗くヘボい奴
スきなれば死ぬまで止めぬ詰将棋
(横浜)浅間喜一
詰パ誌を見てて電車を乗り過ごし
(埼玉)中里紅童
幼稚園みんな詰まして熱いお茶
(香川)佐藤正廣
パラを買う金なき故に煙草止め
稲刈の合間あいだで詰将棋
(松山)クラモト・コウカク
我名をば見つけてほほ笑むパラ誌也
(西宮)天堂良馬
余詰あり名人愛嬌ルーム入り
一度ならお愛嬌でも毎度では
宮本氏の川柳はよく見ると、最初の文字がパラダイスになっているのでした。
中里紅童は中里喜則氏の雅号と思われます。
天堂氏の川柳のお愛嬌ルームは従前から説明していますが、プロ棋士の不完全作を指摘するコーナーのことです。
“私の指導将棋”より 二枚落 三段 里見義周 菊地郁夫・・・里見氏上手の2枚落ちの棋譜
はがき回答・・・1951年を迎えて、各氏に葉書回答を求め、その回答を到着順に掲載したもの。質問事項。1、今年の抱負。2、今年の詰将棋への抱負。3、今年の詰将棋界への希望。4、昨年を回顧して。5、将棋界を隆盛にする為に採る可き方策の中緊要と思われる一手。6、将棋雑誌えの注文。2と3を中心に引用します。
山形 義雄
二、詰棋創作に努力したい。
三、新傾向を帯びた作品の進出を期待する。
(第四回アマ全国名人)
中川 清
二、創作は兎も角、せめて「将棋玉図」位は卒業したい。
三、無理のない実戦型の作品を望む
(名大教授初段)
前田 三桂
二、革新ノ烽火ヲ揚ゲタイ
三、旧来ノ千篇一律ノ陳腐ナル構想カラ脱却シ斬新ナ趣向ノ立派ナ作品ノ出現ヲ望ム
(ヘタノ横槍ノ著者)
山川 次彦
二、実戦型の小品を多く作りたいと思います。
三、詰将棋の規約を作りたい(現在約束はあつても完全な規定なし)妙手説最長説共に一理あれば。
(連盟七段)
能村 荘一
二、カツテノ情熱ハイササカ薄レワシタモノノ時ニハ佳品ヲモノシテ見タイモノデスナ。
三、マンネリズムヲ脱シタ作品ヲ見セテ下サラヌカナ。余リ芸術芸術ト思イ上ラヌ様ニ願イタイデスナ。
(二段京都市在住)
安野 芝堂
二、素晴らしい構想も以て創作し詰将棋の龍宮城を新たに探検したい。
三、単なる奇手妙手を以て喜ぶ小品作成の態度より脱却し、一つの作品が大川に遊び名山に仙楼する如き余韻ある一大芸術作品に著想して貰いたい。
(将棋芸術誌編集長)
野崎 雅男
二、面映ゆき質問。しかし出来たらパラに投じて見ます。
三、作品の自己検討又自己検討、でせう詰将棋学校の先生方。
(東京都杉並区)
野口 益雄
二、質か或は量、何れかの向上
三、詰将棋雑誌は一つで結構だが廃刊にならぬ様に希む。
(詰将棋コント寄稿家)
順位戦ABC級勝敗星取表・順位戦各級展望(その他) 宮本弓彦・・・宮本弓彦氏による順位戦や他棋戦の展望解説。この時代はA級・B級・C級(甲)・C級(乙)という組分けで、C級(乙)にはアマチェアが3人も参加していました。このことに関しては、次号で順位戦が終了した後の成績で分析します。
いろは字詰第四回・三好鉄夫・・・三好氏の初型いろは曲詰で今回は「ヤ〜キ」までの10作です。相変わらずイマイチの作品ばかりなのですが、次の作品は中々面白いと思います。「ケ」です。

64桂、同歩、63銀、同玉、75桂、52玉、53歩成、同玉、A63桂成、同玉、54銀、72玉、63銀打、81玉、93桂、91玉、92歩、同玉、83金、91玉、81桂成、同玉、72銀成、91玉、82金迄25手、
他に手が無いとはいえ64桂〜63銀と小刻みな捨駒は気持ち良い。Aで普通に54銀としたいところですが、42玉で少し足りない。42玉と逃げられた時、54桂で追える形なら金銀が一枚温存出来るので、63桂成とし、同玉で玉を63に誘導してから54銀と出れば、右辺ではなくて左辺に逃げ込むしかなくなり、以下は小駒図式にありがちな収束となります。
初型小駒図式での象形図式で、それだけでも価値があるのに、A63桂成の好手を含み無難な纏まりで、先ず先ずの好作といえるでしょう。

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