旧パラを検証する91
第九号8
各誌各紙詰もの紹介欄・・・
毎号載っていて、不完全作は「お愛嬌ルーム」でやり玉にあげられるのですが、毎月30~60作程度紹介されていて、この当時の一般誌の状況が分ることもありますので、内訳を紹介してみます。番号・掲載紙・作者の順です。
1.読売新聞26回/塚田前名人、2.講談雑誌七月号/土居八段、3.富士八月号/山川七段、4.梅津寺週報/棋道励行士、5.家の光九月号/渡邊八段、6.愛媛評論六月/坂口八段、7.新愛媛25年6月/高島八段、8.新愛媛25年8月/大山九段、9.講談倶楽部十月号/木村名人、10.週刊朝日25・8・20号/塚田前名人、11.講談雑誌十月号/塚田前名人、12.ホープ九月号/塚田前名人、13.サンデー毎日25・9・8号/土居八段、14.サンデー毎日25・9・10号/土居八段、15.読物と講談新涼号/土居八段、16.実話講談の泉八月号/山川七段、17~18.富士九月号/山川七段、19~21夕刊まつやま/清野六段、22~24.梅津寺週報/棋道励行士、25.オール読物七月号/萩原八段、26. オール読物八月号/萩原八段、27.につぽん/萩原八段、28.実話と読物七月号/建部八段、29.講談倶楽部八月号/塚田前名人、30.読物と講談八月号/土居八段、31.講談雑誌十一月号/木村名人、32.富士八月号/山川七段、33.面白倶楽部秋の増刊/大山九段、34.オール読切十月号/萩原八段、35.新青年七月号/原田八段、36.旅八月号/市川六段、
気が付くことは、手数が長いものが結構多いということ。今は報知新聞を除いて15手以内、雑誌によっては一桁迄ですが、30手位の作品でも平気で出題されています。その例として9の木村名人作を紹介します。

36桂、同成桂、25金、同玉、26銀、24玉、15銀、同歩、14金、同玉、15歩、24玉、25歩、同玉、36角、24玉、16桂、13玉、14歩、12玉、24桂、21玉、12桂成、31玉、53馬、42金、43桂、41玉、52銀、同金、31馬迄31手
手数が31手もあり成桂迄あって今なら雑誌には載らないような面構えです。手順は結構面白く、5手目36角としないで26銀~15銀と銀を消去するのは旨い。また16に打った桂が24~12へ動くのも面白いと思います。
この紹介は、地方の読者の通報次第のようで、当時宮本兼利氏や森利男氏は居られた愛媛県の地方紙が目立ちます。棋道励行士は誰のペンネームでしょうか?私はペンネームなのでプロでは無くて、かつ地元に顔が利く宮本氏だと睨んでいるのですが、、、。前後しましたが、梅津寺(ばいしんじ)は愛媛県にあります。
そして、注視すべきは、読売新聞は兎も角として、「オール読物」と「家の光」で今に至るまで、詰将棋を掲載し続けているのは、詰将棋界に対して多大な貢献が有ると思います。
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懸賞募集 創作型大道棋予選発表 第三回
第十六番〜第二十番迄が発表されています。第十六番の谷向奇道氏作が5月号の発表で2位となり、黄楊上等駒一組を獲得していますので、紹介します。
第十六番谷向奇道氏作

85香、イ84桂、82桂成、同玉、73銀不成、81玉、84香、92玉、82香成、93玉、84銀成、82玉、94桂、92玉、93歩、81玉、72香成、同玉、73成銀、71玉、82桂成、61玉、62成銀迄23手
イ84歩は82桂成、同玉、73銀生、92玉、93歩、同玉、84銀成以下詰
イ84角は同香、72玉、82香成、61玉、43角、52飛、72成香、同玉、73銀成以下
初手82桂成〜73銀生が以下92玉、94香、93桂合で詰まないが、紛れは初手だけで、実戦的価値があるとも思えませんが、コンパクトに纏まっていると思います。ところが、2手目84銀合とすると、変化イの歩合手順だと93歩を同銀と取られ、又角合の手順だと43角と打てないので詰みません。解答募集形式ではないので、誰も指摘しなかったようです。
もう1作第19番が入選となっているので、そちらも紹介します。
第十九番中塚仁郎氏作

62龍、93玉、82銀、84玉、64龍、74飛、同金、同角、73龍、85玉、86飛、75玉、76飛、65玉、74龍、55玉、73角、64歩、A同角成、44玉、63馬、33玉、36飛、22玉、23歩、21玉、54馬、12玉、22歩成、同玉、32馬、11玉、16飛、12歩、同飛成、同玉、14龍、13金、同龍、同玉、14金、12玉、23金、11玉、22馬迄45手
Aで同龍、45玉、75飛、55歩、同飛、36玉、34龍、47玉、45飛、57玉、46角成、58玉、38龍、48角、55飛、67玉、47龍、57歩、56馬、77玉、78馬、66玉、56龍迄41手の早詰
初手72龍位しか紛れが無く、全然実戦向きでは無いと思います。
Aのところ同龍以下41手の早詰があります。大道棋で収束の乱れは問わないにしても、早詰はコンクール発表作としては、よろしくないと思います。尤もこの手順は複雑で気が付いているとも思えませんけど、、、。
今回は実戦に使えそうな図は有りませんでした。
附記:佐原氏より、創作大道棋第十六番について
「谷向氏の大道棋は将棋芸術の1949.12にも同一局が発表されています. こちらは作者名がありませんが, 偶然の一致とは思えないので二重投稿でしょう. ただ鶴田主幹としては将棋芸術はガリ版誌なので正式発表とは認めていなかったのかもしれません.」
とのご指摘がありました。二重投稿がダメという意識が無かった可能性もあります。谷向氏は旧パラの大学に古図式の改作図を投稿したこともあるし、その辺の認識が甘かったのではないかと思います。

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