黒川一郎氏がお亡くなりになってから二十年が経つ。私自身は1度もお目にかかる機会が無くて残念だったが、「将棋浪曼集」(コピー本)は長い間愛読書だった。
詰将棋界に復帰して、思ったことはもうすでに、黒川氏の作品は今の人が殆ど知らないことであった。私にすれば黒川氏は神に等しい方であり、その方の作品が殆ど忘れさられている現状には、驚いたと同時に勿体無いと思いました。
幸い今は詰将棋のデータベースもあって、簡単に黒川氏の作品の全容が明らかに出来ると思い、それなら後世に伝えるためにも、全作品を公開してみようと思ったのでした。
しかしながら、この作業が大変でした。@黒川氏の作品は何回も引用されていて、作品がデータベース上でかぶること。A黒川氏は改作が多くて、原図と違う仕上げで残している図も多いこと。B「将棋浪曼集」の作品はデーターベースに入っていないこと。そんなわけで、発表順が作品番号順になってなかったりして、かなり加除しました。
解説はおざなりに見えますが、趣向作品は本来は解説するより、並べてもらって感じ取ってもらうものだと思うので、書き様が無かったということで、手を抜いたわけでは無いのです。
今回の研究で、「落花」に早詰があると錯覚してパラに載せてしまったことは、関係者各位に全く申し訳なかったし、なにより黒川氏に申し訳なかったです。改めて深くお詫びいたします。申し訳ございませんでした。
さて、黒川氏の作品で印象に残る作品であるが、「落花」「嫦蛾」「天馬」「荒駒」「竹生島」が代表作として、私が好きなのは「朧」「振子」「やすり」あたりでしょうか。
不完全な研究だったと思いますが、自分なりに頑張ったつもりです。長い間ご愛読いただき誠に有り難うございました。
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次の研究についての予告ですが、いよいよ大物の「旧詰将棋パラダイス」を検証してみたいと思います。
「将棋月報」については、「詰将棋めいと」において湯村光造氏が詳細な検証をされておられます。
「旧詰将棋パラダイス」もリアルタイムで知っておられる方は、年々少なくなっています。私はこの度「旧詰将棋パラダイス」の全巻を購入したので、ここで湯村氏のように今度は「旧詰将棋パラダイス」を検証しようと思ったのです。といっても今度のスタンスは先ず自分が楽しむことにしました。自分が読んでいって面白かったものをとりあげてゆこうと思っています。
付記:旧パラについてリアルで話せる人はもう、限られていて、私が詰工房でそういう話が出来るのは、門脇さんだけです。旧パラもすでに埋もれてしまっているということです。関西の創棋会だともう少しは旧パラについて話が出来る方は多いのでしょうか?

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