新型コロナ・ウィルス感染拡大に対する2回目の緊急事態宣言が首都圏以外で解除され、私が指導させていただいている合唱団の活動が再開されました。ほとんどの団体が12月の後半から活動を休止したため、「メリー・クリスマス!」や「明けましておめでとう!」のあいさつができず、まずはそのあいさつから(笑)。
どの団体も2ヶ月、あるいは3ヶ月ぶりの練習でしたが、そのブランクを感じさせず、練習会場に広がるハーモニーに合唱の醍醐味、素晴らしさを改めて感じました。
まだ新型コロナ・ウィルス禍は続きます。安全第一、健康第一で、合唱を楽しんでいきたいと思います。
演奏会案内で
12月19日(日)に上演される歌劇『トゥーランドット』の大阪響コーラス新規団員募集のご案内をさせていただいています。実はこのオペラは私の思い出の作品。
若い頃はオペラに熱心でなかった私。声楽専攻の学生時代は歌曲や重唱曲、教会音楽、バロック音楽、現代音楽に重きを置き、オペラはほとんど勉強しませんでした。レッスンでオペラ・アリアは数曲しか歌っていないですし、筋を知っているオペラは数えるほどしかありませんでした(ヴェルディは1本も知らなかった…)。
そんな学生でしたが、愛知県文化振興事業団が
愛知県芸術劇場大ホールで開催していたオペラには合唱で何度も出演させていただきました。当時は、とっくにバブル景気は崩壊していましたが、まだ予算が多かったと見え、年に1本オペラを自主制作し、日生劇場との提携でオペラを上演し、外来歌劇場を招聘してと、オペラ公演に積極的でした(その時、超一流の指揮者や演出家、歌手、スタッフたちとご一緒できたことは私の大きな経験となっています)。その中で強く印象に残っているのが外山雄三氏の指揮、栗山昌良氏の演出という最恐、いや、最強コンビによる『トゥーランドット』(1996年)。愛知県芸術劇場大ホールの舞台機構をフルに使い、当時大活躍していた歌手たちが勢揃いという超豪華な舞台でした。
大学を卒業しても数年は全くオペラをやらず、コンサートでもオペラ・アリアは歌いませんでした。しかし、オペラをやって自らの可能性を開くべきだと感じ、関西での活動を本格化した2004年の春に端役でオペラ・デビューさせていただき(
関西歌劇団公演『モモ』)、すぐにオペラの合唱指揮も初めてさせていただきました(なんと
井上道義氏指揮・演出の
大阪国際フェスティバル公演という大舞台!)。そして秋、客演として
関西歌劇団の『トゥーランドット』にポン役で出演させていただきました。その時の秘蔵写真を初公開!(いちばん左が私、第2幕の第1場、ピン、パン、ポンだけの見せ場です)
今年12月上演の『トゥーランドット』で合唱指揮をやることになり、本当に久しぶりに当時のヴォーカル・スコアを出してきて、見返しました。パンの歌う箇所に青の蛍光ペンが引かれ、書き込みの多い楽譜。全身全霊で取り組んだ(かさばる衣装を着せられ、舞台を縦横無尽に動かされ、飛び跳ねさせられ、踊らされ、本当に大変だった)、すごい舞台に立たせていただいたという思いは沸き上がりますが、本当に自分がこの役を歌ったのだろうか、今歌えと言われてもほとんど歌えない自分がいて、唖然とします(笑)。しかし、懐かしい!もう16年も前か。当時私は29歳。若いからできたんだなぁ…。
という具合に『トゥーランドット』は私の思い出深い作品ですが、二度と携わることはないだろうと思っていました。私のルーツのある堺で(母方の実家があります)、私が今最もお世話になっているプロ団体の
大阪交響楽団の演奏で、レベルの高い大阪響コーラスと再びこのオペラに取り組めることを非常にうれしく思っています。
『トゥーランドット』の新しいヴォーカル・スコアを買ってきて、現在一から勉強中。老眼になったことを強く感じつつ(笑)。