昨日は京都府木津川市で10時30分から15時まで仕事した後、名古屋に戻ってきました。そして、夜は
愛知県芸術劇場コンサートホールで行われたクリスティアン・ティーレマン指揮のミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートに行ってきました。行かれなくなった方からチケットを頂くという幸運に預かったのでした。外国のオーケストラのコンサートを聴くのは久しぶりでした。
C.ティーレマンは今をときめく指揮者。ヨーロッパの正統な指揮者の出世コースであるオペラ指揮者(カペル・マイスター)の道を歩み、ドイツ音楽の継承者と目されています。ティーレマンの活躍はよく耳にしますが、実演に接するのは今回が初めてでした。
ミュンヘン・フィルはドイツを代表するオーケストラのひとつ。20世紀を代表する指揮者のひとり、S.チェリビタッケが長く音楽総監督を務め、世界的名声を不動のものとしました。ティーレマンを音楽総監督に迎え、チェリビタッケ以来の黄金期を迎えたと評判が高い(しかし、ゴタゴタがあり、ティーレマンの退任が決まっていますが)。
プログラムは、R.ワーグナーの歌劇『タンホイザー』序曲に始まり、ワディム・レーピンをソリストに迎えたJ.ブラームスの『ヴァイオリン協奏曲』、L.v.ベートーヴェンの『交響曲第5番 運命』という、ドイツ音楽の王道というべきものです。今をときめく指揮者であり、ドイツ人であり、ドイツ音楽の継承者と誉れ高いティーレマンの指揮ぶりを楽しみにして会場に訪れました。
ステージに現れたティーレマンはガキ大将がそのまま大人になり、振る舞っているようでした。『タンホイザー』序曲は堅実な音楽作り。ブラームスでは格調高い音楽を引き出していました。ソリストのレーピンが大変素晴らしかった! 一見クールに見えますが、確固たる技術があり、ヴァイオリンから紡ぎだす音は伸びやかで、冴え渡っていました。ここまでは、独特な指揮ぶりながらも、大振りすることなく、堅実に音楽を作り上げると感じましたが、『運命』では一変して、ほとばしる思いを爆発させたような表現になりました。特に第4楽章はオーケストラを煽りに煽りました。あまりにもすごすぎて、僕は「そこまでやるか」と思い、笑い出してしまうほど。気持ちはわからないでもないけど。オーケストラはよくついていったなぁ。全体的にいえることは、フレーズのひとつひとつを丁寧に作り、歌わせ、和声をしっかり打ち出し、音楽の山をきっちり作り、構築がしっかりしていました。この点は非常に感心しました。僕の席は前から2列目の下手のいちばん端ということで、オーケストラのやり取り、指揮者のやり取りが間近に見られて面白かったです。
今日は昼過ぎから30日(火)に本番を控えた
「20世紀 日本のうた クロニクル」第3回の合わせをピアニストの金沢昭奈さんと行いました。1961年から2000年までの日本のうたを取り上げます。時は高度経済成長の時代。あらゆるテクノロジーが発達し、音楽を発信するメディアが増えました。また、核家族化が進み、ひとりひとりの個別化が進みました。それにより、文化が多様化する一方で、世代間の隔たりが大きくなり、世代を超えて共有できるものが少なくなりました。うたもしかり。この時期は、それまでよりも受容と供給の両面が圧倒的に増えたにもかかわらず、世代を超えて唱和できるうたが少なくなりました。その中でこの時期を象徴するうたを選曲しました。今回で「20世紀 日本のうた クロニクル」を締めくくります。20世紀のタイム・トリップが終了します。本当に有意義な旅でした。面白かった。30日の本番をお楽しみに!
夜は"混声合唱団スコラ カントールム ナゴヤ"(略称SCN)の定期練習。
源田俊一郎さんの童謡メドレー『いつの日か』は仕上がり目前です。4月4日(日)に特別練習がありますので、そこで仕上げて、練習を一旦終了します。日本のうたの重要なジャンルのひとつであり、日本の文化の一端でもある童謡。日本の心情と情緒を込めたいと思います。
L.v.ベートーヴェンの『第九』(R.ワーグナーのピアノ編曲版による)の第4楽章のほうは、今日から言葉を付け始めました。ということで、例の
「ベートーヴェンTシャツ」を着て指導にあたりました。SCNではじっくり時間をかけられるので、きっちりと細かく言葉を付けながら、音楽を作っていこうと思っています。SCNの皆さん、覚悟しておいて下さい!(笑)
それにしても、ここ数日寒い!
28日(日)と
30日(火)に歌う本番があるから、風邪をひかないことを願っています。どちらも最後の合わせを終えましたが、かなり良い歌唱を披露できる手応えを感じました。さぁ、あともう少しだ! 中村貴志よ、乗り切れ!