今年の夏は一段と暑かったですが、そんな猛暑の真夏にクリスマス気分を先取りして、クリスマス・ソング・メドレー『わたしたちからあなたへ〜うたのクリスマス・プレゼント』を編曲してました。愛知県刈谷市で今年の6月に誕生したばかりのアイリス少年少女合唱団の初本番となる「クリスマス・コンサート」で初演されます。
アイリス少年少女合唱団は来年1月30日(日)に刈谷市総合文化センター大ホールで團伊玖磨の傑作歌劇『夕鶴』(劇中児童合唱が登場)が上演されるのを機に、刈谷市総合文化センターが結成した合唱団です。新型コロナ・ウィルス禍にもかかわらず、60名もの応募があったと伺い、私は驚くとともに刈谷市(民)の文化に対する意識の高さを認識しました(ちなみに刈谷市総合文化センターも素晴らしい施設です)。
「クリスマス・コンサート」はこの合唱団にとって初本番となるとともに、『夕鶴』のプレ・イベントも兼ねていて、『夕鶴』の主役つうを演じる小林沙羅さんもゲスト出演されます。小林さんと言えば、国内外での活躍が目覚ましく、若手のホープ的存在。なんと拙作のクリスマス・ソング・メドレーも歌ってくださいます!すごく楽しみ!
昨日は午前中に刈谷を訪れ、クリスマス・ソング・メドレーの練習に立ち会わせていただきました。結成されたばかりですが、団員数も多く、バックアップ体制も強力で、しっかりした本番もあり、勢いがある反面、やはり新型コロナ・ウィルス禍の影響をもろに受け、緊急事態宣言で練習が中断したり、密を避けるための練習に苦労したりと難も多い。私が今回編曲したクリスマス・ソング・メドレーを納品したのは8月31日(締め切り通り)。しかし、愛知県には緊急事態宣言発出中でアイリス少年少女合唱団は活動休止を余儀なくされ、練習を始めたのは10月から。しかも、13曲から成り、演奏時間は17分、音楽面も構成面も趣向を凝らしたメドレーなので、本番までにできるのか少々不安でしたが、幼児から高校生まで60名もの圧巻の合唱はそんな不安を払拭してくれました。何点かアドヴァイスをさせていただきましたが、みるみる変化していき、キラリと光る可能性を大いに感じます。
アイリス少年少女合唱団の「クリスマス・コンサート」については改めてご案内致しますが、12月26日(日)14時開演、愛知県刈谷市の北部生涯学習センター かきつばたのメインホールにて開催されます。
刈谷を後にして、一路大阪へ。昼過ぎからはLA FENICEの指導でした。先月10日に2度の延期を余儀なくされた「第10回記念演奏会」を無事に終えてから「次」に向けた最初の練習となりました。
次回の演奏会は来年10月30日にいずみホールで開催されます。LA FENICEはこれまで主にオーケストラ伴奏による作品を取り上げてきましたが、次回はいずみホールの素晴らしいパイプ・オルガンの伴奏で歌います。団員たちも私も非常に楽しみにしていますが、ソリストやオーケストラに頼る部分の多かったこれまでの作品とは違い、合唱の比重がグッと大きくなります。LA FENICEの実力が問われる重要な演奏会となるでしょう。
昨日は曲目の一つとなる木下牧子さんの『光はここに』(立原道造の詩)の第1曲『序の歌』の音取りをしました(というより、初見大会)。この組曲は日本の作品としては数少ない混声合唱とパイプ・オルガンという編成です(ちなみにオーケストラ版もあり、その初演を指揮されたのはLA FENICEの指揮者の本山秀毅先生)。私が取り組みたいと思っていた作品の一つで、LA FENICEの皆さんと一緒に取り組めることをうれしく思います。
木下牧子さんは私の大好きな作曲家であり、彼女の作品は私の青春時代の音楽。私が高校生の時(30年も前!)は木下牧子さんがブレークした頃で、特に高校生や大学生の合唱団はどこもかしこも彼女の作品を取り上げていました。特に彼女の合唱作品としては処女作となる混声合唱組曲『方舟』、合唱部だった当時の私も指揮しました。プロの音楽家になってからも度々木下さんの作品を取り上げていますが、小品が多く、『光はここに』のように骨太の組曲に取り組むのは本当に久しぶり。ここ1ヶ月ほど時間を見つけては『光はここに』(2008年初演)をコツコツと譜読みしましたが、『方舟』(1980年初演)から一貫する彼女の語法があり、こういった大曲にしかない「木下牧子サウンド」にどっぷり浸かり、青臭くもある青春時代を懐かしく思い出しました。
さて、LA FENICEの『光はここに』の初回練習(初見大会)は木下さんの独特な和声に手こずると思ってましたが、以外とすんなりいき、実際に「木下牧子サウンド」を体感できて幸せでした。
次回の演奏会では私も指揮台に上がります。私が指揮する曲は決まっていませんが、本当に楽しみです。