2021年1月17日(日) 無事終了
名古屋市中川文化小劇場
主催
名古屋大学グリーンハーモニー
1.アラカルトステージ〜54年分の感謝を込めて〜
大中恩 わたりどり
木下牧子 春に
信長貴富 未来へ
指揮:大西悠斗 客演ピアノ:古木毬央
2.正指揮者ステージ
佐藤賢太郎 混声合唱とピアノのための組曲「歌声は変わらず」
指揮:大西悠斗 客演ピアノ:古木毬央
3.客演指揮者ステージ
なかむらたかし
坂村真民の詩による無伴奏混声合唱小曲集
「あとからくる者のために」(初演)より、
「流れのなかで」「花」「バスのなかで」「あとからくる者のために」
客演指揮:中村貴志
アンコール
木下牧子 鷗
客演指揮:中村貴志
新型コロナ・ウィルス感染拡大で入場制限がありましたので、ご案内しませんでしたが、緊急事態宣言が愛知県下にも発出される中、名古屋大学グリーンハーモニーの「第54回定期演奏会」が開催できたことを何よりうれしく思います。
ちょうど1年前、「
第53回定期演奏会」を終え、この演奏会に向けて動き出した途端、新型コロナ・ウィルスが猛威をふるい、名古屋大学グリーンハーモニーの活動は休止に追いやられました。大学のサークル活動に対する処置はとても厳しく、対面で活動ができるようになったのは昨年の10月になってから。名大グリーンハーモニーの今年度の合唱活動は実質3ヶ月半という本当に短いものでした。
サークル活動の休止でどの団体も新入生の勧誘活動が思うようにできなかったでしょう。名大グリーンハーモニーも例にもれず、今年度新たな入団者はいませんでした。近年団員数の低下が顕著だったこの団には大きな痛手で、現役生たちは今年度でその活動を最後にするという苦渋の決断を下しました。
しかし、現役生にとっては今年度が3ヶ月半という短い活動期間であっても、人数が少なくても、それが全て。新型コロナ・ウィルス感染拡大防止の様々な制限がかかる中で懸命に合唱しました。だからこそ、この演奏会が開催できて本当に良かった。本番では団員たちの思いが一つとなり、熱い思いのこもった演奏が繰り広げられました。
私個人としては、新型コロナ・ウィルス禍で仕事が次々とキャンセルになり、突如空いてしまった時間を活用して作曲した坂村真民の詩による無伴奏合唱曲を、名大グリーンハーモニーの学生たちが取り上げてくれたことが大きな喜びでした。新型コロナ・ウィルス禍で多くの人たちが苦難に直面し、新たな生活様式、新たな価値観を模索する中、「生きるとはどういうことか」「今後(残された人生)をどう生きていくのか」を問うたこの作品に、学生たちは真摯に向き合い、清々しい響きとハーモニーで命を吹き込んでくれました。
私と名古屋大学グリーンハーモニーとの関わりは21年に及びました。この間にたくさんの学生たちと接し、また記念定期演奏会では熱き卒団生の方々と合唱をともにしました。この中の多くが現在も合唱を続け、あるいは合唱に関心を持っています。名古屋大学グリーンハーモニーという形は消えても、その精神は関わった者たちの心に宿り、合唱界において大きな力となることでしょう。
人類は幾度も疫病のパンデミックを経験してきました。その都度乗り越え、今があるのです。人々が合唱することは途絶えず、その歴史は綿々と続いています。名古屋大学グリーンハーモニーの活動休止は各々における合唱活動の終焉ではなく、新たな出発点です。名古屋大学グリーンハーモニーに関わった皆が新たな一歩を踏み出されることを望みます。
私にとって名古屋大学グリーンハーモニーとの21年間はかけがえのない大きなものです。これを糧に邁進していきます。