10月31日の大阪交響楽団「第114回名曲コンサート」はマエストロ川瀬賢太郎さんの素晴らしい指揮に導かれてオーケストラも合唱も熱演、名演で、大きな感動と幸せに包まれて、無事1日2回公演を終えました(後日記事にしたいと思います)。
その余韻が残る中、昨日も大阪交響楽団の仕事。
まずは今日から始まる今年度の「文化庁”子供のための文化芸術 体験機会の創出事業”」、いわゆる文化庁公演のリハーサルに立ち会いました。オーケストラに限らず、プロの様々な芸能団体が学校を回り、生のパフォーマンスを児童や生徒たちに届ける文化庁主催の文化事業です。
2014年に大阪交響楽団から委嘱を受け、文化庁公演用の楽器紹介メドレー『オーケストラの仲間たち』を作編曲させて頂きました(各楽器が活躍する名曲の一部を取り出してつなぎ合わせ、ナレーションを入れてオーケストラを解説していくという構成)。それ以来ほぼ毎年取り上げて下さっていますが、後半のメイン・プログラムに合わせて編成が変わり、その度に手直ししていました。
今年度はこれまでの版を統合して、どの編成にも対応できる一つの楽譜を作ることになりました。しかし、それはとてつもなく難しいこと。2管編成と3管編成では特に木管楽器の音の重ね方が変わってきますし、チェレスタやピアノが入るか入らないかで全体の響きが変わってきます。かなり難しかったですが、試行錯誤して完成させました。
当初、今年度の大阪交響楽団の文化庁公演は6月から始まる予定でした。それに合わせて改訂作業を進める予定でしたが、ご承知の通り、新型コロナ・ウィルスの影響で学校関係は大きな影響を受け、文化庁公演は全く先が見えない状態。それでも、4月の初めには大方の改訂作業終え、最後の詰めと楽譜を清書するだけの状態にしておきました(楽譜の清書がいちばん大変で、時間がかかるのですが)。
その後はスケジュールが決まったと思ったら、延期か中止。9月の半ばに10月16日から始まるとなって、顔が真っ青、間に合うのか?…9月22日の大舞台「テアトロ トリニタリオ 2020」を終えた後、遅寝早起きで大急ぎで仕上げの作業に入り、できた楽譜から送って10月2日に納品を完了しました。全てが完了したら、10月中の文化庁公演は全て延期か中止に。結果的にはちょうど締め切り(本番1ヶ月前)に間に合う形になりました。
実はまだ全ての文化庁公演はスケジュールが確定せず、今も大阪交響楽団は右往左往していますが、昨日は今日の公演のリハーサルにこぎつけた次第。
今回は楽譜を統合するだけでなく、一部の楽器の楽曲を差し替えたり、自作部分のオーケストレイションをやり直したり、打楽器の部を増強したりして、結構大掛かりな改訂となりました。子供たちがどんな反応をするか楽しみ。
文化庁公演のリハーサルの後は大阪交響楽団特別演奏会「感動の第九」の合唱練習へ。
今年は特別な思いがあります。
一つはL.v.ベートーヴェン生誕250年という記念の年に、音楽の人類遺産とも言えるこの至高の作品に取り組めること。もう一つは新型コロナ・ウィルス禍において「感動の第九」を開催すること。主催者である大阪交響楽団は色々と大変でしょうが、開催することを決断したことに敬意を表します。
人類は今、苦境に立たされています。全員が現段階では新型コロナ・ウィルスに対してなすすべはなく、脅威にさらされています。しかし、この時だからこそ「苦悩から歓喜へ」を表しているベートーヴェンの『交響曲第9番』を演奏することは大きな意義があると思います。
今年は新型コロナ・ウィルス禍ということで、一般参加者は100名限定と例年に比べてかなり少ないですが、オーディションで選ばれた精鋭たちの大阪響コーラスの有志35名ほどが参加して核となり、頼もしい限り。大きな手応えを感じて、初回の練習を終えました。
健康第一、安全第一で本番まで突き進みます。