2016年7月も今日で終わろうとしています。「いつの間に…」という感じです。
この7月は指揮・指導の仕事はそんなに忙しくありませんでしたが、編曲や今後の演奏会の準備で忙しく、徒然を更新する余裕がありませんでした。
また、精神的な余裕もありませんでした。7月に入ってなんと悲惨なテロや事件が多かったことか!目をそむけたくなる現実、受け入れ難い現実。しかし、受け入れざるを得ない。われわれが生きている今この地球上で起きたことなのだから。僕の中で色々な考えが渦巻いて、これらの惨劇に簡単には言葉を発することができません。犠牲となられた方々のご冥福を心から祈るとともに、自らに課せられた使命を果たすのみ。
混声合唱団 スコラ カントールム ナゴヤと合唱団 ルークス スペイの
「ジョイント・コンサート」の本番が迫り、練習も大詰めを迎えました。ルークスが単独で歌う佐藤眞作曲の『土の歌』を、スコラが単独で歌う『水のいのち』を、両団の合同で歌うG.フォーレ作曲の『レクイエム』を今歌う意義を強く感じずにはいられません。このコンサートの曲目は1年以上前に決まっていました。世界がこんな状況になろうとは誰も予想していませんでした。単に団員の楽しみで終わってはいけない。この作品のメッセージを読み取り、歌う意義を感じ、ご来場下さる方々の心に染み入るような音楽を作り上げなければなりません。
先週から4月以来の河内長野ラブリーホール合唱団の指導に伺っています。次回の演奏会で取り上げるメイン、J.ブラームスの『ドイツ・レクイエム』の第6楽章の練習をしています。レクイエムは鎮魂曲と日本語に訳されますが、本当は死者の魂を鎮めるのではなく、死者に永遠の安息が与えられるように祈る曲です。それにはラテン語の典礼文がありますが、ブラームスはレクイエムの典礼に全く囚われることなく、M.ルター訳のドイツ語による聖書から聖句を選び、独自に構成しました。聖句の選択や構成が本当に見事。『ドイツ・レクイエム』と題されていますが、むしろ生きる者への慰めという側面が強く、演奏する者、聴く者の心身に染み渡ります。河内長野ラブリーホール合唱団の『ドイツ・レクイエム』が大きな慰めとなるよう、本番までしっかりと向き合って、練習していきます。