演奏会のご案内と演奏会終了分の記事、ご報告以外の記事を投稿するのはスイスを飛び立つ直前以来。
「帰路に就きます」という記事を投稿した後、ジュネーヴで滞在していたホテルを出発し、ジュネーヴ国際空港に到着すると、ものすごい人! 人、人、人でごった返してしました。こちらの連休と重なり、休暇を海外などで過ごそうとする人々が一気に押し寄せたようです。
保安検査場の前にはこれまたすごい人の数。通過するのに1時間かかりそう。今は基本的にヨーロッパ間を飛ぶ飛行機は全員乗っていなくても出発します。中村貴志は果たして搭乗できるのか?
しかし、そこへ女神が現れて、別の保安検査場に案内して下さいました。入り口はたった一つしかありませんが、ほとんど人が並んでいませんでした。空港関係者あるいは航空会社関係者専用だったのか?とにもかくにも、数分で搭乗口までたどり着くことができ、一安心。
と思いきや、われわれが乗る飛行機の出発が遅れる模様。30分遅れで搭乗開始、滑走路上でも停止して、結局1時間遅れで経由地アムステルダムに向けてジュネーヴを出発。
問題は乗り継ぎ。行きは乗り継ぎに5時間近くありましたが、帰りは70分しかありません。どれだけ急いでも、乗り継ぎには30分かかります。日本に向かう飛行機には到底間に合いません。大陸をまたぐ国際線は団体客であれば待ってくれますが、こればっかりはアムステルダムに着いてみないとわかりません。
ありがたいことに、アムステルダム発成田行きのオランダ航空機は待っていてくれ、40分遅れで帰国できました。ただ、スーツケースだけは間に合わず、1日遅れで到着。しかし、帰国の際はスーツケースが遅れてもさほど問題はありません。航空会社が宅配を手配してくれたので、宅配便代が浮いて反って良かったかも(笑)。
8日(日)の朝、成田国際空港に帰国しましたが、そのまま帰宅せず、横浜へ。
スイス演奏旅行に旅立つ前、ホームページ上で面白い企画を見つけました。それは
フィリアホールで開催された「マエストロの白熱教室2014 指揮者・広上淳一の音楽道場」。広上さんの母校で、現在教授を務められている
東京音楽大学指揮科の公開授業のようなものです。
僕は広上さんのアシスタントを2回させて頂きましたが、リハーサルの手話が素晴らしく、飲みにも連れて行って、貴重なお話しをたくさんして下さいました。せっかく関東に降り立ったのですから、訪れないわけにはいきません。
まず感じたのは東京音楽大学指揮科の充実ぶり。指揮法の先生だけでなく、器楽奏者あるいはオーケストラの奏者の立場からアドバイスする先生もいますし、オーケストラを使った実践的な授業も多い。近年東京音楽大学出身の指揮者の活躍が目覚ましいのもうなずけます。
今回は指揮科の学生1年から大学院生、聴講生までが参加。そして、今や指揮者としても活躍している
NHK交響楽団の首席オーボエ奏者、茂木大輔さんも参加されました。茂木さんは素晴らしいキャリアがあるにも関わらず、東京音楽大学指揮科の入学試験を受けられ、大学と大学院で学ばれました。このような音楽家が他にもいるのに驚きました。東京音楽大学指揮科にそれだけの魅力があるからでしょう。今回はヴィオリストの川本嘉子さんとハーピストの篠崎史子さんも指揮科の聴講生として参加されました。
まずは学生が数人指揮しました。指揮の仕方(上手下手)によってオーケストラの音が変わります。広上さんからはそれぞれの学生に対して的確かつ厳しい指摘が飛びます。プロは厳しい世界。とことん自分を見つめ、自分の音楽を追求し、さらけ出さなければ、オーケストラはついてきません。それは非常に苦しいこと。音楽が好きなだけではやっていけません。
その後、茂木さんが指揮されました。指揮者としても十分なキャリアがあるにもかかわらず、指揮台に上がられると緊張され、楽譜をめくる手が、指揮棒を握る手が震えていました。先生を前にすると、学生に戻ってしまうんですね(笑)。しかし、指揮は素晴らしく、オーケストラそれまでとは打って変わって、表現力がグンと増しました。今回茂木さんの指揮を初めて拝見しましたが、音楽的かつわかりやすく、奏者を自分のやりたい方向に上手く導いておられました。
茂木さんに続いて、篠崎さん、川本さんが指揮されました。失礼ながら、指揮はそんなにお上手ではありませんが(笑)、全身から自らの音楽がほとばしっていて、オーケストラはそれに突き動かされて、演奏していました。もちろん指揮法(振り方)も重要ですが、やはりいちばん大事なのは音楽です。「音楽しよう」、「音楽したい」というエネルギー。
茂木さん、篠崎さん、川本さんのお三方は音楽家として十分なキャリアを積まれました。言い換えれば、今までにとことん音楽を突き詰めてきたということ。ここまでこないと、真のプロと言えないでしょうね。音楽が好きじゃなければ、やっていけません。
3時間(休憩を含む)という長丁場でしたが、飽きることなく、時差ボケの眠気に襲われることなく、有意義な時間を過ごせました。
関東滞在はこれで終わりではなく、今度は東京都の台東区のミレニアムホールへ。
台東区生涯学習センター内の施設ですが、クラシック専用といっても差し支えなく、音響が良く、内装も上品で、素晴らしいホールです。
ここで開催された
第36回ジュニア・ギター・コンクールにわが同志でギタリストの
大矢修三氏の娘さんが出場されたので、その勇姿を見に訪れました。
娘さんが弾いたのは荒木とよひさ作曲の名歌『四季の歌』を変奏曲にしたもの。歌謡曲と侮るなかれ、グリッサンドあり、ギターのボディーを叩く特殊奏法ありの凝った編曲で、難易度は結構高い。娘さんは銀賞を受賞! おめでとう!
帰りは大矢氏ご一家と一緒に名古屋行きの最終の新幹線で帰ってきました。日曜日の最終とあってか、指定席は満席。自由席も乗車率100パーセント超えでした。われわれはそれを見越して、いちばんに乗り込み、席を陣取ることができました。
帰りの車中は周りの目を気にすることなく、大矢氏と僕は酒盛り(笑)。名古屋まで熱く語り合いました。
それからは日本の慌ただしい日々に戻りました。作編曲が大変でしたが、ようやく一段落つきました。
しかし、次の予定が詰まっています。ミュージカル『本能寺が燃える』以来の大作、瑞浪市制60周年記念事業で上演されるミュージカル『櫻堂ものがたり』の作曲に取り組みます。ソリスト、合唱、2管編成のオーケストラと編成も大きい。完成の目標は7月いっぱい! 目標は大きく(笑)。
大作に取り組むのに、室内楽の編曲を引き受けてしまった…。しかも、結構長い…。CoCoRoniの編曲もある…。
勤勉に取り組みます。今まで勤勉に取り組んでいなかったわけじゃないですが(笑)。