G.ヴェルディ生誕200年記念
ガラ・コンサート
2013年11月24日(日) 無事終了
三井住友海上しらかわホール
主催 コンチェルト ヴィヴァーチェ 名古屋
後援
中日新聞社
協力 ミュージック・ステーション
指揮・編曲:中村貴志
ソプラノ:
吉田恭子、原田幸子
テノール:岡田尚之
※当初予定しておりました塚田裕之はインフルエンザのため、出演できませんでした。
バリトン:
谷友博
バス・バリトン:
稲垣俊也
語り:加藤純子
管弦楽:
愛知室内オーケストラ
合唱:
混声合唱団スコラ カントールム ナゴヤ
オール・ヴェルディ・プログラム
歌劇「ナブッコ」より、
ヘブライ人捕虜たちの合唱「行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って」
(合唱:混声合唱団スコラ カントールム ナゴヤ)
歌劇「リゴレット」より、
ジルダとマントヴァ公爵の二重唱「貴族や王子様じゃないほうが良いわ」
(ジルダ:原田 マントヴァ公爵:岡田)
ジルダのアリア「慕わしい御名」
(ジルダ:原田)
リゴレットのアリア「悪魔め、鬼め」
(リゴレット:谷)
歌劇「シチリア島の夕べの祈り」より、
プロチーダのアリア「おお、パレルモよ」
(プロチーダ:稲垣)
歌劇「イル・トロヴァトーレ」より、
レオノーラとルーナ伯爵の二重唱「聞いておるか?」
(レオノーラ:吉田 ルーナ伯爵:谷)
歌劇「椿姫」より、
ヴィオレッタとアルフレードの二重唱「おお、なんて蒼白い顔なの!」
(ヴィオレッタ:原田 アルフレード:岡田)
ヴィオレッタのアリア「不思議だわ!」
(ヴィオレッタ:原田)
歌劇「アイーダ」より、
アイーダのアリア「勝ちて帰れ!」
(アイーダ:吉田)
凱旋行進曲
(合唱:混声合唱団スコラ カントールム ナゴヤ)
歌劇「ドン・カルロ」より、
ドン・カルロのアリア「私は望みを失った」
(ドン・カルロ:岡田)
フィリポ2世のアリア「一人寂しく眠ろう」
(フィリポ2世:稲垣)
ドン・カルロとロドリーゴの二重唱「この魂に愛と希望を吹き込みし神よ」
(ドン・カルロ:岡田 ロドリーゴ:谷)
歌劇「運命の力」より、
レオノーラとグアルディアーノ神父の二重唱「さぁ、これで二人きりだ」
(レオノーラ:吉田 グアルディアーノ神父:稲垣)
アンコール
歌劇「椿姫」より、乾杯の歌
コンチェルト ヴィヴァーチェ 名古屋(CvN)がイタリア・オペラの巨匠、ヴェルディの記念の年に企画した実力派歌手たちと合唱、オーケストラによる音の饗宴。CvNは準備期間を含めて今年で5年。その集大成となるコンサートであり、中村貴志30代最後の自主企画と位置付けていました。
僕のスケジュールが押して、最後のほうはバタバタしましたが、編曲も含めて全ての準備を整えて迎えた11月21日(木)、オーケストラ練習の日。順調に進んで昼の大休憩に入った頃、テノールの塚田裕之さんがインフルエンザで出演不可能という知らせが入ってきました。目の前が真っ暗になりましたね。
しかし、なんたる幸運! 本番翌日にイタリアへ旅立つけれどもスケジュールが空いていて、同じ曲目を歌うことができる岡田尚之さんが代役を引き受けて下さいました! まさに救世主! ソプラノの吉田恭子さんが岡田さんとの共演経験があり、一押しでした。22日(金)のオケ合わせで初めてお会いしましたが、抜群に安定した美声に素晴らしい音楽性をお持ちで、僕の不安は一掃されました。
本番では全ての歌手が実力をいかんなく発揮し、ヴェルディの人間模様を掘り下げた深遠な音楽が繰り広げられました。
混声合唱団スコラ カントールム ナゴヤも素晴らしい合唱を披露してくれました。練習期間が短く、しかも慣れないイタリアものでしたが、本当によくやってくれました!
愛知室内オーケストラとの初共演は今から4年半前、
Concerto vivace I「Viva Opera! オペラ・ガラ・コンサート」でした。それから度々ご一緒し、集大成と言えるこのコンサートで共演できましたことを大変うれしく思います。団員が一丸となって、真摯に音楽と向かい合う姿勢に毎度心打たれます。イタリア・オペラの指揮に慣れていない僕によくついてきて下さいました。
「みずなみニューイヤーコンサート」でお世話になっている加藤純子さんの語りは、お客様をヴェルディの音楽の世界へと誘ってくれました。
僕はイタリア・オペラの経験が非常に少ない(オペラ自体少ない)。大学時代はイタリア・オペラが嫌いだったので、ほとんど勉強していません。レッスンではイタリア・オペラのアリアを嫌々歌うので、「お前のイタリア・オペラは聴きたくない!」と専攻の先生から匙を投げられるほど(その後、フランスものを勉強する)。そして、何を隠そう、ヴェルディのオペラは物語をひとつも知らなかった! そんな僕が「ヴェルディ・ガラ・コンサート」を指揮する日が来るなんて思いもしませんでした。
それゆえ、イタリアもの独特のルバートにつけるのは難しかった。ゲネプロでは大幅にずれた所が何ヶ所もありましたし、3回も止まってしまいました…。歌手たちがオケ合わせでやらなかったことをやったということもありますが(笑)。オペラに慣れた指揮者なら、上手くできることなんだろうなぁ。
しかし、本番はすべてが上手くいった! 神経は張り巡らしているけれども、一方では今繰り広げられているパフォーマンスに冷静に寄り添う、音楽の中に身を置く。こういう感覚が指揮する上で重要だと良い経験になりました。
暖かいお客様、素晴らしい出演者たち、献身的なスタッフの方々に支えられ、このコンサートを無事に終えることができました。素晴らしいコンサートになったと自負しています。
一人では何もできない。皆様のご支援があってこそなしえたこと。皆様に心から御礼申し上げます。ありがとうございました!
音楽家「中村貴志なかむらたかし」、これからどうするか? しばらくゆっくり考えたいと思います。
終演後の記念写真。左から、堅実かつ情熱的な歌を聴かせた稲垣俊也さん、ドラマティックかつ繊細な歌で悲劇のヒロインを演唱した吉田恭子さん、美声とテノールらしからぬ(笑)音楽性を兼ね備えた岡田尚之さん、コロラトゥーラの確かな技術と軽やかな声で可憐な女性を歌い上げた原田幸子さん、ほとばしる声で聴衆を魅了した谷友博さん、僕、女優として鍛えられた声で聴衆をヴェルディの世界に導いた加藤純子さん。
もちろんのことですが、打ち上げも盛り上がりました。稲垣俊也さんの独壇場でした(笑)。おやじギャグ満載の一人漫談。打ち上げ会場は沸きに沸きました。
稲垣さんは敬虔なカトリック教徒であられます。稲垣さんの話しぶりにはゆるぎない信念とともに、全てを暖かく包み込むようなお人柄が出ていて、惹きつけられます。
来年からは神父として活動されるとのこと。そのために、オペラから引退するそうです。稲垣さん、歌って演じられ、笑いを取れる神父もありじゃないですか?(笑)