自作のミュージカル『本能寺が燃える』大阪公演の本番が刻々と迫っています。
突き詰めて、悩み抜いて、最後の最後まで粘って、何回も推敲して、やっと改訂作曲を終え、先週末に楽譜を奏者に送りました。これで曲のほうは一安心。今回はかなり苦しみました。その分、良いものに仕上がっていると思います。
今日は荒通し稽古でした。これは、一度通してみて、できない箇所、苦手な箇所を把握するというような稽古。。また、今まで各場面毎に稽古していたことをつなげて通してやることによって、全体の流れを把握する意味合いもあります。
膨大な台詞がある明智光秀役の秋本靖仁さんと帰蝶(お濃)役の楠永陽子さんは台詞が自分の言葉になり、さらにドラマが深まりました。ただ、台詞のほうに気をとられてか、歌詞のがあやふや(笑)。
常に安定していた語り部・南光坊天海役の福嶋勲さんと足利義昭役の田中良和さんは抜群の出来。
ここにきて、斉藤道三役の伊藤正さんがグンと良くなりました。「まむし」として恐れられ、国主にまで上り詰めた男の強さ、娘、帰蝶を可愛がる父の優しさ、そんな娘を尾張との和睦のために嫁がせなければならない父の苦悩が明確に出てきて、前半のキー・パーソンとして圧倒的な存在感を示されました。
織田信長役の瀬田雅巳さんも躍進中。瀬田さんの中でご自身の信長像が徐々にできつつあり、信長の狂気な側面が出てきました。
このミュージカル『本能寺が燃える』やオペラに携わる度に、こういった歌手たちの役作りに感心します。すごいなぁと思います。僕にはできないなぁ(笑)。
ご来場頂く皆様、ご期待下さい!
『本能寺が燃える』は来年1月27日にも岐阜県瑞浪市で上演されます。その際のバックはフル・オーケストラ! 現在、急ピッチでオーケストレイションをしています。すごく楽しい! 大阪公演で音楽的な土台を作るのに苦しみましたが、しっかりしたものができたので、その分楽。これは作・編曲家なかむらたかしとしての現段階での集大成になるでしょう。
一方で、9月8日に指揮するW.A.モーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』の楽譜を読み直しています。モーツァルトの三大オペラのひとつで、よく上演されますが、僕はモーツァルトのオペラの中でこれが最も難しいと思っています。古典派時代、様式の制約がかなりあるにもかかわらず、斬新な手法を使ったすごく劇的な音楽が随所にみられ、僕は圧倒されます。そんな刺激的な音を上手く表現したい。
圧巻なのは3つのオーケストラに拍子もメロディーも違う3つの音楽を同時に奏でさせること。そして、それがまったく不自然ではない。モーツァルトは心に迫るメロディーを作ることでも天才ですが、本当の天才性はこういったことができる構成力にあると僕は思います。この公演では僕が小編成のアンサンブルに編曲しますが、さて、これをどうやって編曲するのか…?