就寝中、右足がなんとこむらがえりに…。人生の中でいちばん痛かったかも…。僕の不規則な生活ゆえ、こむらがえりにならないように案じて下さった方がいらっしゃいましたが、まさかドイツでなるとは…。
それでも、時差ボケは出ず、7時30分に起床。僕は時差ボケがまったくと言っていいほど出ないのです。これも不規則な生活ゆえだし、どこでも寝られるという僕の特性ゆえ。すごく良い天気。
実はモア家に家族が増えました。柴犬のゴマちゃん。ベルギーに行った時に買ったんだとか。
皆で一緒に朝食をとります。昨日マリトンのソリストを務めたフランツ‐ペーターもシュテファンの家に泊まりました。
それぞれ所用があって、男3人でボンの市街地に出かけました。昨日は逆光で上手く撮れなかったルートヴィヒとめでたく記念撮影。
所用を済ませた後、フランツ・ペーターは
フルダに帰って行きました。
シュテファンと僕は自転車に乗って、
国立歴史博物館(Haus der Geschichte der Bundesrepublik Deutschland)と
ボン市立美術館(Städtisches Kunstmuseum Bonn)に向かいました。僕がボンに訪れるのは今回で4回目ですが、今まで仕事だったため、観光らしい観光をしたことがないのです。今回は仕事ではないので、色々と観光をしたい。まずはオーソドックスに博物館と美術館に行こうという次第。
ライン川沿いを走ります。天気が大変良いので、気持ちが良いし、景色も良い。
15分ほどで到着。博物館と美術館は並んであります。
どこでどう間違えたか、学生料金で入館できることに。アジア人は若く見られますが、僕は今まで一度もそんなことなかったのに。これって、若返っているということか(笑)。どちらにしても、得しました。
博物館はイギリス人の現代美術家
リアム・ギリック(Liam Gillick)の展示とアフガニスタンの特集をやっていました。ギリックの作品は、アヴァンギャルドにみられる既成概念を破壊するものではなく、空間を上手く彩り、時には家具としての機能性をも備えています。日常生活に上手くモダン・アートを取り入れるかを目指しているのでしょうか。アフガニスタンの展示は、当たり前ですが、ドイツ語で解説されていたので、すべてを理解したわけではありませんが、アフガニスタンの古い遺跡から出土した資料を展示し、古代から都市文明が存在していたことを紹介するとともに、ヨーロッパとの交易を解説していました。欧米はアフガニスタンを敵対視する面もありますが、こういった文化のう紹介は素晴らしいことだと思いました。
美術館はこの地元の美術家の作品を蒐集しています。20世紀の美術が中心。20世紀の美術が大好きな僕には楽しめました。シュテファンは途中で脱落して、カフェで一人休んでましたが(笑)。
シュテファン邸に戻って昼食。懐かしい方と一緒に。名古屋出身でドイツにて活躍されているテノール。元気そうで何より。僕がシュテファンの所に来ていると聞いて、いらっしゃったのでした。まぁ、僕に用事があったのですが。ドイツで日本人が音楽をやっていくのは日本においてよりも大変ですが、日本では決して味わうことのできない大きな喜びがあります。是非今後も頑張ってほしい。活躍を祈っています。
ゆっくりと昼食をとった後はゴマちゃんと一緒に散歩へ。ライン川にかかっているケネディ橋を渡って対岸へ。
橋を渡っただけで、街の様子がガラリと変わります。こちらは住宅街、そして田園地帯。街中にあるシュテファンの家から15分歩いただけで、自然あふれる風景に変わるのです。これがドイツらしいし、特にボンはそう。本当に素晴らしい。
コマちゃんがライン川の川岸を走り回ります。最近は上流のほうで雨が多いらしく、水かさが増しています。普段はもっと岸があるように記憶しています。しかし、ゴマちゃんにはそんなことはどこ吹く風で、川遊びをしてご満悦の様子(笑)。
われわれは野道を進みます。何度も言いますが、ここはボンの市街地から歩いて15分の所です。ボンは都会っ子の僕でも楽しめる市街地がある一方、ほんの少し歩いた所に豊かな自然があります。そして、高い文化があり、ボンの人々は人柄が良いし、街自体の雰囲気が慌ただしくない。僕はボンが大好きだ!
しばらくすると、閑静な住宅街に入り、教会の尖塔らしきものが見えました。
聖マリア・聖クレメンス教会。1151年に建てられたという、かなり古い教会です。この教会は文化財として重要なだけでなく、すごく珍しいとのことでシュテファンが案内してくれました。
礼拝堂に入る扉の取っ手がヘビです。
ヘビの取っ手というだけでも十分変わっていますが、礼拝堂が普通の教会とは違うらしいのです。
歴史の重みは感じるものの、これといって変わっているという感じはしません。天井は吹き抜けになっています。どうやら2階があるようです。
2階に上がってみると、そこにもうひとつ祭壇がありました!
なんとこの教会は二層構造になっているんです。これはケルン大司教の家族のために建てられましたが、領民にも解放され、1階が領民用の教会、その上に領主用の教会が載るという構造になりました。このような構造から二重教会(Doppelkirche)とも呼ばれています。この教会の壁に描かれているフレスコ画も非常に重要だとのこと。
2階にはかなり古そうなパイプ・オルガンがありました。一体どんな音がするのでしょうか?
そして、その横にはグレゴリオ聖歌の写本がありました。
今一度外に出ると、階段がありました。
それは回廊へと続く階段でした。
歴史の重み、キリスト教の荘厳さをずしりと感じて、二重教会を後にしました。
長い散歩なので、終わりがけに休憩することにしました。ここはドイツなので、こういう時はビールでしょう(笑)。僕が飲んだのはケルシュ(Kölsch)というケルンのビール。運動した後の1杯は堪えられませんな。ライン川を眺めながらビールを飲むというのも乙。ちなみに、ライン川の向こう岸に見える2つの尖塔がシュテファンがカントルを務めているシュティフツ教会。
こうやって、のんびり散歩して、休憩中にビールを飲むという生活も時には良いなぁ。
ゴマちゃんはこの間大人しく待っていてくれました。ボンに来て思ったのですが、ボンの犬たちは穏やか。何匹もの犬とすれ違いましたが、1回も吠えられなかったし、飛びつかれもしませんでした。ボンの人々の気質が犬にも伝わっているんですね。
帰宅したら、もう夕食時。旧市庁舎の隣にあるレストランで食事しました。日本のカフェも最近外の席がある店が多くなってきましたが、ドイツはそれが当たり前。この時期、昼間は暑いですが、夜になると涼しいので、気持ちが良い。僕はビールを飲みながら、シュニッツェル(ヨーロッパのカツレツ)を食しました。食事しながら、色々とおしゃべりしました。シュテファンは僕のブログを読んでくれています。「スイスの演奏会はどうなった?」とツッコまれました。「スイス演奏旅行2009」が最初の記事からまったく進んでいないことを言われてしまった(苦笑)。「おまえの乗った飛行機はまだ到着しないね」…。早く筆を進ませなければ!
夕食後、大人しく家に帰ってきて、就寝。明日シュテファンは朝が早い。
3日目前編へと続く