お陰様で寺岡清高指揮大阪シンフォニカー交響楽団との『第九』週間が無事終わりました。同じ指揮者、同じオーケストラの下で3つの『第九』の合唱指揮を連続してさせて頂けたことは非常に貴重な経験になりました。本当にありがたいことです。
昨日の"河内長野ラブリーホール合唱団"の『第九』演奏会で今年の仕事納めでした(とは言っても、まだ編曲はしますが)。今年は今までで最も多くの『第九』の合唱指揮をさせて頂きました。2009年の総括は改めてするとして、今年の『第九』を振り返ってみたいと思います。
僕がクラシック音楽に目覚めたのは中学2年生の夏休み。宿題でL.v.ベートーヴェンの『交響曲第9番』を聴いて、感動したのがきっかけです。ですから、『第九』は僕の原点であり、僕にとって最も大切な作品です。
高校1年生で初めて『第九』を歌って涙を流すほど感動し、合唱とオーケストラを寄せ集めて学校祭で第4楽章を指揮しました。大学生の頃は合唱のバイトで歌い、大学卒業後は合唱指揮者あるいはソリストとして毎年のように『第九』に関わることができています。また昨年は第4楽章を指揮しました。これはなんて幸せなことでしょう! また、自分のことながら、『第九』がきっかけでクラシック音楽の道に進むことを決意した少年が毎年『第九』に関わることができているのはすごいとも思っています。
今年ほど深く『第九』に関わることができて年はありませんでした。『第九』に接した期間も長かったですし、合唱指揮した合唱団も多かったですし、内容も非常に深められましたし、どれもが素晴らしい公演となりました。これも偏に2つの楽団のお陰に他なりません。
僕が関西での活動を開始してすぐの頃である2004年の4月26日、初めてオペラの合唱指揮をさせて頂きました。初めてだというのに、大阪国際フェスティバルという大変大きな舞台で、演目はG.プッチーニの『ラ・ボエーム』、指揮・演出が井上道義さん。大舞台にもかかわらず、裏は準備不足でかなりバタバタして非常に苦労しましたが、公演は大成功でした。
この仕事ぶりをセントラル愛知交響楽団の楽団員のお一方がご覧になり、高く評価して下さいました。そして、翌年セントラル愛知交響楽団は僕を「悠久の第九」の合唱指揮者に抜擢してくれたのでした。これは、反体制と言うのは大袈裟かもしれませんが、どの団体や集団にも属さず、コネもなく、コンクールの受賞歴もないない僕に与えられた名古屋での最初の大きな仕事でした。飛び上がるほどうれしいものでした。
そんな「悠久の第九」の合唱指揮も引き受けて今年で5年が経ちました。この年月は決して短いものではありません。それまでの重みが合唱団との間にも、セントラル愛知交響楽団との間にも、確固たる信頼関係を築くことができました。今年は大変苦労しましたが、それを乗り越えて、オーケストラの団員たちからも合唱の出来に高い評価を頂くことができましたし、合唱団からも「悠久の第九」の合唱指揮は僕でないといけないというお言葉を頂きました。
セントラル愛知交響楽団と僕との関係は来年からさらに深まるでしょう。また、"悠久の第九合唱団"の新たな可能性を探っていく時期が来たとも感じています。それがどういう形で現れるかはお楽しみ!
大阪シンフォニカー交響楽団は2003年9月15日に開催された演奏会のソリストにこの僕を選んでくれました。これは関西でお引き受けした初めての大きな仕事でした。僕の現在にまで至る関西での活動はまさにこの演奏会がきっかけだったのです。翌年3月に関西歌劇団に客演してオペラにデビューし、その後関西歌劇団の大きな舞台に2つ立たせて頂き、2つの大きな舞台で合唱指揮を担当させて頂きました。そのオーケストラ・ピットにいたのはいつも大阪シンフォニカー交響楽団でした。ここでの合唱指揮の仕事ぶりを評価して下さり、2007年12月26日の「感動の第九」のピンチヒッターに僕を呼んでくれました。そこで出会ったのが僕の最も敬愛する指揮者、寺岡清高さん。本当はこれで終わるはずでした。しかし、寺岡さんが強く後押ししてくれたお陰で、その翌年からの「感動の第九」の合唱指揮もさせて頂けることになったのでした。
しかし、それだけでは終わりませんでした。合唱指揮者を替えたいという相談に大阪シンフォニカー交響楽団は僕を推薦してくれたのでした。それが今年4月29日の「堺第九」と12月23日の「ときめきの第九」です。それだけではありません。寺岡さんとのつながりで、僕が注目していた"河内長野ラブリーホール合唱団"の『第九』演奏会にも呼ばれました。いずれの団体も素晴らしく、関係者皆のお陰で、非常に有意義な練習を重ね、感動的で素晴らしい本番を迎えることができました。合唱指揮者として高い評価も頂くことができました。推薦してくれた大阪シンフォニカー交響楽団には僕のほうから御礼を申し上げなければならないのに、逆に御礼を言われました。楽団員からも評価を頂きました。これは合唱指揮者冥利に尽きますし、これこそ音楽家「中村貴志」としての大きな喜びです。
来年も皆様とお会いできることになっております。心から楽しみにしています!
僕は本当に出会いに恵まれています。今日しみじみそう思いました。出会うことのできた皆様に心から感謝しています。"Brueder(仲間)"である皆様とともに来年も音楽の高みを目指していきます!