全然ガッツンガッツン盛り上がってないじゃないっすか!
ああ、これは……。これは、あの感じに似ている。
数年前のウェブサイトに必ずといっていい程設置されていたBulletin Board System。すなわち掲示板。
それまで色々な人が議論を交わしたり告知をしに来たりとまずまずの盛り上がりを見せていたそれに、いざ自分が書き込みをしてみるとどうだろう?
先ほどまでの盛り上がりが嘘のように、辺りには静寂が漂うばかりで、それ以降しばらく新規の書き込みがされなくなってしまい、自分の書き込みが掲示板の一番上、すなわち最新の投稿として誇らしげに長期間掲載されており、私は数時間置きにウェブブラウザをリロードしては、次第に焦りを隠せなくなっていった。
自分はこの掲示板の空気を何か著しく汚してしまったのか。自分の書き込みによってこの掲示板は致命的なシステム障害を起こし、誰も書き込みできない状態になってしまったのか。ああ、自分は人生最大の失敗を犯してしまったのではないか。これはもしかして意図的に実行された仲間外れなのではないか。あいつムカつくから無視しようぜ、なのではないか。私の精神はすでに極限状態を迎えようとしていた。
私は震える手でキーボードをタイプして文字を打ち込んだ。「投稿」ボタンを押下した。私は罪を犯した。偽名を使って掲示板に新規投稿をしたのだ。
そうして、自分の名前による書き込みが掲示板の一番上に表示されている状態、すなわち「私が書き込みを行うと更新が止まる現象」を回避することには成功したが、それによって掲示板のシステム障害などそもそも発生していなかったことを知ることになったし、何より自意識過剰すぎる自分の性格や、偽名を使ってしまったことへの罪悪感などに押し潰されそうになった私は、半狂乱になって謎の言語を喚き散らしながら町内を3周もした挙句、中央公園で子供たち相手に出来もしないバック転を披露して首の筋を損傷して絶命したのである。
そう、あの感じ。もはやトラウマとも言えるあの感じ。今がまさにそう。そして歴史は繰り返す。
お忙しい中、私の戯言にお付き合いいただきありがとうございました。
シカ
ああああ!また偽名を使ってしまったぁぁあああ!!!!
もうしません!すいません!!あべし!!!
Ape

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