5月連休の半ばのある日、朝から雲ひとつない五月晴れ。新緑が眩い東山の北のほうへぶらりと足を延ばす。北白川から白川通りにかけては、京都らしい祇園とはまた趣きが異なる京都風景が表れます。最近は宅地化が進み、一般の住宅が多く立ち並んでいますが、山のほうへ一歩進むとまだ田畑が残り、市内とは一味違った京都の風景が楽しめます。
この付近には、一乗寺、修学院離宮、詩仙堂、曼殊院、赤山禅院、といった寺院が点在しています。それらは、観光客で賑わう市内の有名な寺社の喧騒をきらい、ゆっくりと静けさに触れたいという人が好んで訪れるお寺。言わば、京都にもう一歩深く入り込みたいといった人が散策するところか。
このあたりは、住宅が多く建っているので、生活道路が優先、観光バスは入ることが出来ません。参拝者の交通手段といえば、市バス、それでも目指すお寺までは、バス停から徒歩で20分はかかる距離にあり、あとは、タクシーか乗用車、それでも駐車場がないお寺もあります。
この日、久々に訪れたのは、比叡山西麓にある洛北屈指の門跡寺院「曼殊院門跡」。杉と楓の木立に囲まれた庭園は、桂離宮にも似て、洗練された美しさの中に、雅な趣が漂う。この新緑のなか、まるで紅葉を思わせるごとく「霧島つつじ」が真っ赤に咲いているのが印象的。五月の心地よい薫風が吹き抜ける書院にゆっくりと座して庭園を眺める、何事にも代えがたい贅沢な時間の流れのなかに浸る。休日だというのに、拝観者はそれほどでもなく、ゆっくりとした時間を過ごすことができました。
さらに歩きたい人は、京野菜畑の中の道を、北へ歩くと修学院離宮、赤山禅院へと散策するもよし。
<新緑が目映い大書院からの庭園>

<書院には心地よい薫風が吹き抜ける、庭には真っ赤な「霧島つつじ」>


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