米、中東和平会議にシリア招待へ…国務長官が表明
【ニューヨーク=貞広貴志】ライス米国務長官は23日、ブッシュ大統領が11月開催の意向を提案している中東和平に関する国際会議に関し、米国と 対立関係にあるシリアを含めてアラブ諸国を招待することは「自然なことだ」として、会議への広範なアラブ諸国の参加に期待を表明した。
ニューヨークで開いた中東和平に関する米露と欧州連合(EU)、国連による4者協議後の記者会見で発言した。
ライス長官は、「正式な招待状はまだ出されていない」としながらも、イスラエルの全占領地撤退などと引き換えにアラブ諸国が対イスラエル関係を正 常化するというアラブ和平案をつくったサウジアラビアを始め、同案について国際社会への働きかけを行っているアラブ連盟関係各国が多数参加すべきだとの考 えを強調。ただ、参加する国家は、暴力行動を放棄し、イスラエル・パレスチナ紛争の平和解決を目指すとの「確約」を行う必要があるとして、特にシリアを念 頭に強硬路線の転換を求めた。
(2007年9月24日20時57分 読売新聞)
東京新聞
『イスラエル、来年イランを攻撃も』 消息筋、核施設空爆を示唆
2007年9月25日 朝刊
【ニューヨーク=石川保典】イランの核問題をめぐり、米誌ニューズウィーク(電子版)は二十三日、イスラエル消息筋の話として、同国が来年にもイランを攻撃する可能性があると報じた。
消息筋は「今年は外交努力がイランを止めるかどうか鍵を握る年」と指摘。イランが国連安全保障理事会決議に従わずにウラン濃縮活動を停止しない場合など、「外交努力が年内に実を結ばなければ二〇〇八年は行動を起こす年になる」と、核施設を空爆する可能性を示唆した。
一方、フランスのサルコジ大統領は、二十四日付の米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで「自分としては『戦争』という言葉は使わない。制 裁、交渉、協議を通じてイランを説得する。そのことに有益でないことは聞きたくない」と語り、「最悪の事態、つまり戦争に備えなければならない」と述べて 波紋を広げたクシュネル仏外相の発言を、打ち消した。
イランのアハマディネジャド大統領は、二十三日放映された米テレビのインタビューで「現在の政治状況で核爆弾は役に立たない」と、核兵器開発を否定した。
攻撃の時期・方法 専門家割れる見解
2007年9月25日 朝刊
【カイロ=萩文明】イランの核開発を安全保障上の最大の脅威とみるイスラエルは、米国と同様、軍事攻撃を選択肢として排除していない。「攻撃計画」は過去、米英メディアなどで頻繁に報じられてきたが、「いつやるか」については、専門家の間でも意見が分かれている。
オルメルト首相は二〇〇六年五月、米メディアに、イランが「数カ月以内」に核兵器製造の技術を取得すると発言。「数年先」とみる米国と比べて、切迫した危機感を抱いていることをうかがわせた。
しかしその後、イランの計画は想定より遅れているとの見方が強まっており、早期攻撃論を修正する論調もある。
強硬派の野党リクード党首のネタニヤフ元首相は今月九日の国際会議で「イランが核兵器を持つまで二年半ある」と発言。裏を返せば、米誌が攻撃時期として報じた「二〇〇八年」よりも、時間的余裕があることになる。
イランの核開発が進めば空爆の可能性も高まる図式だが、単独攻撃に出る場合でも米国の事前承認が必要となる。
また、イスラエルはイランのミサイルの射程内にある。核施設と報復力を短時間でたたくことが単独で可能かどうかは専門家の見解も分かれており、「米軍との共同作戦が望ましい」との指摘もある。
シリア施設から北の核物質 空爆前イスラエルが押収 英紙報道
2007年9月24日 朝刊
【ロンドン=岡安大助】二十三日付の英紙サンデー・タイムズは、米国とイスラエルの消息筋の情報として、今月六日にイスラエル軍機がシリア北部の 軍事施設を空爆する前にイスラエル特殊部隊が同施設を急襲し、北朝鮮製の核物質を押収していたと報じた。米国は核物質を確認した上で空爆を承認したとい う。
イスラエルの突然の空爆をめぐり、米メディアでは北朝鮮によるシリアへの核開発協力疑惑を指摘する報道が過熱。米国とイスラエルはノーコメントの 姿勢を貫き、シリアは「でっちあげ記事に価値はない」と否定してきた。しかし、イスラエルの核物質押収が事実とすれば北朝鮮によるシリアへの核技術供与を 裏付ける有力な証拠となり、今後の米朝関係や六カ国協議の行方に大きな影響を及ぼしそうだ。
同紙によると、六月に就任したイスラエルのバラク国防相が、シリア北部の軍事施設に注目。数カ月にわたる監視活動の結果、北朝鮮技術者が出入りし核物質が持ち込まれている可能性があると今夏、ブッシュ米大統領に伝えた。
イスラエルはシリア空爆計画を作成したが、米側がいったんストップをかけ核開発を示す明確な証拠を要求。このため、同国防相の指揮する特殊部隊「サエレット・マトカル」が同施設を急襲した。日時は不明だが、この攻撃で北朝鮮技術者数人が死亡したもようだ。
イスラエルは押収品を調査し、核物質が北朝鮮製であることを確認。その後、米国はイスラエルの空爆を認めたとしている。
朝鮮中央通信によると今月二十一日、シリアの与党幹部が平壌を訪れ崔泰福(チェ・テボク)朝鮮労働党書記と会談した。サンデー・タイムズは、この問題で対応を協議したことを裏付ける動きとしている。
産経新聞
イスラエルがイラン核施設空爆も、米誌
シリアの核関連施設を空爆したとされるイスラエルについて、米誌ニューズウィーク(電子版)は23日、同国 がイランの核・ミサイル施設も空爆に踏み切る可能性を伝えた。イスラエル政府筋は、イランがウラン濃縮活動の年内停止に応じない場合、「2008年は行動 を取る年となる」と警告した。
同筋は「07年は外交努力でイランを止められるかを見定める年だ」と 指摘し、向こう3カ月以内の結果で軍事行動の要否を判断するとの構えを示した。F16戦闘機などによる空爆について、イスラエルの元情報高官は、対空兵器 の破壊も必要になるとして、「数日から数週間」を要するとの見方も示した。
米政府はイランの核開発を容認しない姿勢を強める一方、実際の核兵器取得は2010〜15年になると判断を示している。このため、現状での軍事作戦には消極的な判断が米側では依然支配的だとしている。(ワシントン 山本秀也)
(2007/09/24 19:49)
【9月23日 AFP】9月6日のイスラエル軍によるシリアの秘密軍事施設への空爆直前に、イスラエル特殊部隊が潜入し、核物質を奪取していたと、23日付けの英週刊紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)が伝えた。
シリア北部Dayr az-Zwarの軍事施設からイスラエル軍特殊部隊が奪った核物質は、イスラエルに持ち帰られ分析された結果、北朝鮮で作られたものだったと、同紙は信頼できる情報筋の話として報じている。
米国およびイスラエルの政府関係者の発言によると、イスラエル軍は同施設を数か月間調査していたという。特殊部隊による作戦が実行された日付については触れていない。
同紙は匿名の米高官の話として、米政府はイスラエル軍によるシリア空爆の承認に先立ち、シリアによる核開発あるいは関連した活動の証拠を求めていたとしている。
特殊部隊・Sayeret Matkalの作戦は、エフド・バラク(Ehud Barak)国防相が直接指示を出して行われたという。
同紙は、バラク国防相は6月の就任以来、シリアのこの軍事施設について非常に強い関心を示していたと伝えている。
米政府は21日、イスラエル軍による空爆はシリアへの核開発協力が引き金となったのではとの疑問に答えようとしない北朝鮮を「注視」していると発表している。
疑惑が真実であった場合、不人気のイラク戦争で求心力を失ったジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が成功と賞賛する対北朝鮮外交に暗雲を投げかけることになる。
北朝鮮政府はこれまで、シリアへの核開発協力の事実を感情あらわに否定してきた。また一部メディアもイスラエル軍による空爆は厳しい財政事情の北朝鮮からシリアへ輸出されたミサイルを標的にしたとの見方を示している。
ダナ・ペリノ(Dana Perino)報道官は、イスラエル軍がシリアの核施設を空爆したのではとの報道に対しコメントを拒否したが、米政府の対北朝鮮外交が弱腰であることを示しているのではとの問いには即座にこれを否定した。(c)AFP

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