何かおすすめのアルバムある?と問われれば、ここ数年迷わずコレとすすめするアルバムは、《ウォーレン・ジウ゛ォン「The Wind」》彼の本当の意味のラストアルバム。
このアルバムと出会うまで、実は彼の事は何も知らなかった。今現在でも人に自慢出来る程の知識は無い。拾い集めた拙い知識によると、彼は暴力や死を題材にウィットとブラックユーモアを込めた歌をずっと唄って来たらしい。そんな彼は56歳で癌の告知を受ける、それも手遅れと。 以前「やる事が沢山あるから、寝るのは死んだ時でいい」と唄った彼は、歌の通り最後の力を振り絞りラストアルバム〈The Wind〉を完成させた。ちなみに、このアルバムのゲストミュジシャンの名を聞いただけで彼のやって来た事が想像出来る。B・スプリングスティーン、ライ・クーダー、ドン・ヘンリー、トム・ベティ、エミルー・ハリス、ジャクソン・ブラウン等々、豪華。
このアルバム一曲目から染みてくるが、三曲目のボブ・ディランの「天国への扉」のカバーは物凄いのヒトコト。死に直面していながらこの歌を唄うってのは、いくらブラックユーモアでも・・なんて思って聞くと、スバラシイ演奏にまず感動。そしてサラッと自然に唄っている事が逆にリアルに訴えかける。ましてや天国の扉を「開けてくれ」と歌詞をプラスして歌われると、なんて言ったら良いのやら。全体的に優しい気持ちが伝わって来る歌ばかりなのだが、9曲目の「プリーズ・ステイ」と11曲目「キープ・ミー・イン・ユア・ハート」は個人的に気に入ってる。たけど、なんでこんなに優しく成れるのかね。
このアルバム制作中に受けたインタビューで、新たに知った事は有るかと聞かれ「Enjoy every sandwich」と答えている。今まで、スタジオで忙しさにかまけて、ただ空腹を満たす為だけに食べていたサンドイッチ。 最後かもしれないと想いながら食べたら、今更ながらハッとするくらい旨かった事に気が付いたんだろう、たぶん。
彼の死後、発売された、トリビュートアルバムの題名が「Enjoy every sandwich」粋だね。このアルバムも凄い。


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