ノーザの最強宣言が飛び出した
それがあながちはったりでは無い事は、先ほどの圧倒的戦闘力の一端で理解できる
しかし、しかしだ
「それって、あんたがメビウスよりも強いって事?」
ベリーの疑問は皆のそれと同義だ
「・・・・フッ」
すますノーザ
「バカ言っているんじゃないわ!じゃあ何?あんたがラビリンス本当の大ボスだって言うの!?
あのメビウスよりも・・・上だとっ!?」
「・・・・フッ」
すますノーザ
「すましてないで何か言ったらどうよ!」
漸くノーザが口を開いた
「・・・お前達の頭の出来では私とメビウス様の間柄を理解できまい。最初の問いだけお答えしよう
・・・お前の言うとおりだ!」
「じゃ・・・じゃあ本当に・・・!?」
「美希ちゃん・・・強いかもしれないわ」
「ブッキー」
「あの力は人智を超えいる!いつか戦ったメビウス以上かも」
ノーザが一歩踏み出した
「感謝しながら死んでいけ・・・!これほどの相手に殺されるなど、何百年生きていてもまずありえない事!!
うぬらには過ぎた冥土の土産だわ!!」
更に一歩前に出る
『・・・う・・・打つ手がない・・・!』
両腕を失ったトイマジン、ノーザをひと睨みしてから視線を変えた
『だけど・・・そう簡単には・・・やられないよ・・・!』
キュアピーチはエンジェルフォームになって立ち上がりながら、とある方向を見た
『確かに万策尽きたかに思うけど・・・足止めさえできれば・・・最後の手段が・・・』
キュアパインも視線をとある人物へ
3人が見たのは同じ人物とは・・・『キュアベリー』
胸に共通する言葉は・・・『エスポワールシャワー・アイスブランド』
ベリーの背中に視線が集まり、それがプレッシャーとなって襲い掛かる
『うう・・・何か異様に期待があたしに集中している感じが・・・』
皆の期待『だけ』がプレッシャーではない
いくら絶対零度の一撃である超必殺技であっても、反射攻撃をされたらアウト
ましてや相手は『自称』ラビリンス最強のノーザ
よほど上手いタイミングで撃たないといけない
自分に不利なファクターが多すぎるのだ
「・・・キュアベリー!」
トイマジンが小声で話しかけてきた
「ボクをもう一度戦える状態に回復して欲しい!何とか羽交い絞めにするくらいには持ち込むから・・・そしたらかまわないから、超必殺技をぶちかまして!」
「そ・・・それじゃああなたも巻き添え・・・」
「バカ!迷っている暇なんてないよ!・・・わかってるだろ!」
ザッ!
「うっ・・・」
キュアベリーの耳にノーザの足音が響く
「・・・全員殺されるよ!確実にっ!!!」
「わかった・・・」
キュアベリーは、素早く『癒しの力』でトイマジンの両腕を復元した
全員、再び戦闘態勢に入る
ノーザとの力差は感じている
しかし、それを理由に絶望するわけにはいかない
この世界の平和の為にも
「・・・まだやる気満々だな。その潔さは立派だ。まがりなりともメビウス様と一戦交えただけの事はある」
ノーザはいたく感心した
「・・・ありがとう!後は決めの一発だよ。さっきボクが言った事を忘れないで!」
トイマジンは拳と手首をゴキゴキと鳴らし、回復してくれたベリーに礼を言った
「ちょ・・・いくらあなたが金属生命体とかでも犠牲になんか出来ないわ!」
「・・・ふん!つまらん躊躇をしてたらみんな死んじゃうよ!ボクひとりの命で済むなら安いと思って!」
「けど・・・!」
「おもちゃは元々子供達の為にあるんだ・・・ボク達を愛してくれた子供達の未来の為なら!」
「美希ちゃん・・・」
キュアパインは薄っすらと涙を浮かべながら、ベリーに話しかける
「・・・みんな・・・美希ちゃんに賭けているのよ・・・」
「・・・ブッキー」
「そういう事!・・・行くか、キュアエンジェル!」
「待ってました!ブッキーは飛び道具で勝負して!!」
「わかったわ!」
キュアパインはフルートを構える
「「行くよ!第2ラウンド!!」」
キュアエンジェルとトイマジンがノーザに向かい出撃!
「てぇりゃあああああああっ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
キュアエンジェルのパンチとキックのコンビネーション!!
「うおおおおおおおおおおっ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
トイマジンのパンチのラッシュ!!
だが!
「うそ!ラブちゃんとトイマジンの同時攻撃が当たらないっ!!」
キュアパインにはそう見えていた
・・・事実は違った
「あ・・・当たってないんじゃない!!」
バンッ!
確かにトイマジンのパンチがノーザの頬にヒットしている
「・・・今迄と同じ!何発かは確実に決まっている!」
キュアピーチのキックはノーザの顔面を捉えている
「く・・・くそっ!こうなったら!!」
トイマジンは素早くノーザの背後に回りチョークスリーパー!
「これでどうだあ!!」
ぐぐぐぐぐぐぐ
自慢の腕力でノーザの細い首ごと頚動脈を締め付ける
しかし!
ガツッ
ノーザが自分を締め付けるトイマジンの右手に手を掛け・・・
バキッ!
鋼鉄の腕を握りつぶした
「なっ!!」
驚くトイマジンの腹部に
ズンッ!
強烈な肘撃ち
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ
トイマジンは『振り出し』に戻された
「お・・・お早いお帰りで・・・」
青ざめ出迎えるキュアベリー
「ち・・・ちくしょう!押さえとく事も出来ないなんて!!」
トイマジンは苦虫を噛み潰す
この瞬間、ノーザの標的はキュアエンジェルに絞られた
キュアエンジェルの目前にノーザの掌底が飛ぶ
「しまっ・・・!」
攻撃に反応し切れなかったキュアエンジェル
直撃は免れないと思った、その瞬間
黄色いダイヤがノーザ目掛け飛んでいた
「プリキュア・ヒーリングプレアー・フレッシュ!!」
キュアパインの後方支援だ
しかし、ヒーリングプレアー・フレッシュの直撃の中、ノーザは何食わぬ顔で歩み続ける
足止めにすらならない
ザンッ!
ノーザが黄色いダイヤを手刀で真っ二つに斬った
さらに、その衝撃波がキュアパインに襲い掛かる
ドガアアアアアア!!
「きゃあああっ!!」
キュアパインはさらに後方に吹っ飛ばされ、壁にぶち当たった
「ブッキー!」
「み・・・美希ちゃん・・・ヒーリングプレアー・フレッシュが無かったら私、間違いなく真っ二つにされていたわ・・・」
パインは胸の傷を押さえながら弱弱しく呟いた
現状、両足で立っているのはキュアエンジェルとキュアベリー
「手に負えないわ!!・・・みんなには悪いけど、エスポワールシャワー・アイスブランドを作る時間すら稼げないじゃない!!」
ベリーは唇を噛む
「・・・美希ちゃん・・・あれ・・・」
ヨロヨロと立ち上がったキュアパインがノーザの顔を指差す
「ノーザがどうしたの?」
「綺麗な顔・・・」
「な・・・何言ってるのよ!この非常時に!」
「・・・そういう意味じゃないのよ・・・」
慌ててベリーの誤解を解こうとするパイン
「・・・ノーザって仮面の時ですら相当の攻撃を受けていたのよ。効かなかったけど、ヒーリングプレアー・オーバードライブがまともに顔面に入ってる。
なのに・・・あの顔にはキズひとつない!」
生命活動を異常促進させ破裂させる『ヒーリングプレアー・オーバードライブ』
それを受ければたとえノーダメージだとしても、その皮膚に痕跡くらいは残るはず
無敵と不死身は全く違う
『ヒーリングプレアー・オーバードライブ』を受けて、何の影響も無い・・・それは・・・つまり・・・
キュアパインは一つの結論を導き出した
「ノーザは・・・あの身体は生きていない!!生命活動を行っていないわ!!」

0