せつな=ヒュンケル編 第4話です
前回まではこちら
http://black.ap.teacup.com/ayrtonmoa/1419.html (第1話)
http://black.ap.teacup.com/ayrtonmoa/1421.html (第2話)
http://black.ap.teacup.com/ayrtonmoa/1427.html (第3話)
赤いプリキュアスーツを纏ったサウザーのハーケンディストールをまともに喰らい、イースは大の字に倒れた
もはやここまでか!?
「う・・・うう・・・」
わずかに指を動かすせつな
大幅な体力低下から、スイッチオーバーが解け、せつなの姿に戻ったしまった
「・・・死にきれんとみえるな。だがトドメは刺さん。そのままもがき苦しんでゆっくり死ね。そして、ハープは返してもらおう。」
サウザーが手を伸ばすと、せつなは立ち上がりハープを手にとった。
「まだムダな足掻きをするのか。」
「ハープは渡さない・・・あなたが邪悪な存在だとわかっている限り・・・そして、この先には行かせない・・・ラブは・・・いまや地上の人間全ての希望なのだから・・・」
「希望だと・・フンッ!くだらん!!地上のゴミ共よりもメビウス様の意思こそが大事なのだッ!!」
「・・・・・!」
ぐぐぐぐぐぐ・・・
せつなは膝をつきながら立ち上がろうと体を起こす
「なっ!?おまえ・・・まだ!?」
「『メビウス様の意思』・・・かつて私もそうだった・・・メビウスの命令こそ全てだと・・・その他はどうでも良いと考えていた・・・悪魔に魂を売り、全てを破壊してやりたいと思った。
けど・・気づいたわ。いや、仲間達が気づかせてくれたのよ。人間の幸せってのもまだまだ捨てたものじゃない事をね!」
「笑わせるな!!祖国を捨てた裏切り者に何がわかる!!」
サウザーは再び槍を振るう
カッ!
せつなは大きく目を開いた
しゅっ!
槍の先は彼女の肩の上を通過した
(バ・・バカな!心臓を狙ったのに・・・まさか奴がオレの攻撃をかわした!?)
「あなたの攻撃は見切ったわ!」
「何だとおっ!?」
「正直、今までの私はお前らを倒し、更なる戦闘に備える時を考えて余力ばかりを考えていたわ
だから、必要以上に大きな間合いでお前の攻撃をかわそうとしてしまった。
けど、今は『くらってもいい』という覚悟でお前の攻撃を受けている!それ故、紙一重で致命傷だけはさけられるようになったのよ!」
「・・・うううッ!なめるなあああああああああっ!!!」
槍による突きの連続攻撃
シュ、シュ、シュ、シュ、ビュッ、ビュンッ!
せつなは全ての攻撃を文字通り紙一重でかわしていく
「!!??」
焦りから生じた隙をせつなは見逃さない
一気に間合い詰めてをハープを振り下ろす
ガシィッ!
重い一撃にサウザーはさらに狼狽する
「ど・・・どこにこんな力が残っていたんだ!?それに・・・先ほどよりも速い!!」
「こ・・・これが生命を賭けたときの人間の力よ!」
「そ・・・そんな物認めんッ!」
サウザーは槍を短く掴んだ
ズサアッ!
「ぐ・・・ああああっ!!」
胸を切られ悲鳴をあげるせつな
ドサッ
ハープを手放し、再び地面に伏せた
「せ・・・接近戦に持ち込むとは考えたものだが・・・ひとたび距離さえ保てば、槍に勝てる武器は無い!!」
「う・・・ううう・・・」
小さな呻き声をあげながら、わずかに遠いパッションハープをさぐるせつな
「もはや身動きすら出来んはず・・・このまま心臓を一突きに・・・」
「・・・うう・・・く、苦しい・・・私も元幹部の端くれ・・・ひと思いに必殺技で・・・」
「フッ!ついに諦めたか!いいだろう!裏切り者の処刑は派手にやらんとな!」
ブオンブオンブオン・・・・
サウザーはせつなを見下ろしながら、頭上で槍をプロペラ機のように回転させる
(・・・ハーケンディストール!)
「ハープはおろか、人間状態のその身で受ければ確実に真っ二つだ!!
惨たらしく死ねっ!!!!」
サウザーが飛び上がり、槍を天高く振り上げた!
「ハーケンディストールッ!!!!!!」
三日月の閃光がせつなを襲う
「・・・かかったわね!イチかバチか・・私の生命を囮にした最後の罠に!!」
「何イッ!!」
バッ!
せつなは首飾りのチェーンを取り出した
「お前と私の武器が描く闘気の形を良く見ろっ!」
バチイイイイイイイイイイイイイン
チェーンが槍を受け止め輝きを放つ
「じ・・・十字架!?」
「惜しい・・・クローバーよ!」
グランドクローバー!!!!
ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッツ
天高く光の柱が伸びてゆく
サウザーはそれに飲まれ吹っ飛ばされた
(バ・・・バカな・・闘気を込めた自分の武器を隠し持っていたのか・・・!?
だが・・・奴は完全に無防備のはず・・・)
ドシャアアッ!
サウザーは頭から墜落した
「ど・・・どこにそんな武器を・・・?」
「・・・これが・・・」
チャラッ
せつなは首に携えたチェーンを取り出した
「これが私に残された・・最後の武器よ!」
それは飾りの無いただのチェーン
「そ!そんなチャチなチェーンで・・・!?」
「このチェーンは誰にも切れない・・・私とラブを繋ぐ絆の証なのだから!!!」
ラブから貰った初めてのプレゼント
先端の部分は壊して消えたけど、そのチェーンは今でもせつなは身に着けている

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