キュアパインが導き出したノーザの肉体の秘密、それは・・・
「ノーザの身体は生きていない!生命活動を行っていないのよ!!」
「「ええっ!?」」
あまりに突拍子な結論に、トイマジンとキュアベリーが同時に声を上げた
だが、キュアピーチは違った
「そうか!あの時、長老が言ってた・・・」
キュアピーチはクローバーボックスを取りにスウィーツ王国へ赴いたときの事を思い出した
長老がキュアピーチにラビリンスの秘密について語ったのだ
「ラビリンスは生命まで管理された完全なる管理国家。生命の時間までもメビウスによって決められている
中には、生命活動時間を止めた状態で保存されている人間もいるのだと
メビウスが必要と思ったときに時間は動き、起こされる
恐るべき管理国家
それを全てのパラレルワールドで実践しようとしているメビウスの野望を何としても打ち砕かなければいけない
決意を新たにした瞬間だった
「もしも、長老の言うとおり、生命活動時間を止めたまま動けるのが、ノーザの秘密なら・・・確かめてみるわ!」
そういうと、キュアエンジェルは突如変身を解いた
「な・・・なんで!?」
ベリーの驚きにラブは笑顔答える
「カオルちゃんに教えもらった技を使うためにはプリキュアの力は余計なのよ!」
「こ・・・殺されるわ!ノーザの一撃は・・・プリキュアのままでも必殺の力があるのよ!」
先ほど付けられた胸の傷を見せるパイン
「ブッキー、心配しないで!一度だけ使った事があるんだよ・・・あれは・・・」
そう言うとラブは腰を落とし、両手を構えた
空手の構えだ
「あの構えは・・・!!」
トイマジンは思い出した
おもちゃの国の戦いで、自らがキュアピーチ向けた刺客、李小龍のフィギュアーツとの戦いの事を
キュアピーチがノーザに向かう際、振り向く事無くキュアベリーに言った
「頼んだよ・・・美希・・・」
「ラブ・・・」
これより、ノーザ対桃園ラブの戦いが始まる
先制攻撃は・・・ノーザ
「ふんっ!」と気合と共に衝撃波を繰り出した
ドゴオッ
床が砕け散る
ラブは、空中でふわりと浮いていた
さらにノーザとの距離1メートルの所で着地
「ぬうっ!」
ブオン
ノーザの拳が空を切った音だ
バババッ
これも同じ
ベコッ
ラブの生身のパンチがノーザの顔にヒット
バッ
ノーザの拳はまたまた空を切る
ベキッ
ラブの生身の蹴りが決まった音だ
ブアアッ
ノーザの大振りなパンチがラブの服をかすめた音
ラブはまるで羽毛のような動きで相手の攻撃をかわしている
「ラブちゃん・・・何時の間にあんな動きを・・・」
「以前、せつなと2人でカオルちゃんと特訓していたのは・・・この事だったのね!」
ラブの格闘の教科書のような戦い方に目を丸くするパインとベリー
「それよりも、美希ちゃん!今のうちにっ!!」
「え・・・ええ!わかってるわ!」
と、口では言いながら、ラブの動きに見とれてしまい、慌てながらエスポワールシャワー・アイスブランドを展開し始めるベリー
「ちょ・・・ちょっと美希ちゃん!!」
「え?」
「それってただのエスポワールシャワーよ!」
パインに突っ込まれて漸く間違いに気付くベリー
慌てていたのが原因で、奥義では無く普通の技を展開してしまっていたのだ
「・・・いや・・・あたし・・・なんか凄いプレッシャーで・・・!」
「?」
ベリーはパインに心情を吐露する
「ほら・・・今まではいつもラブやせつなに最後の期待がかかっていたでしょ・・・
あたしはやるだけやって倒れていたって良かったけど・・・こんな風にみんなから期待をかけられて最後の頼みにされる事なんてなかったから・・・
な・・・なんか情けないけど・・・思うように身体が動かなくなって・・・」
「・・・・・・美希ちゃん!それだけ強くなった事でしょ!ここまでレベルアップした力を今使わなくてどうするの!
・・・ラブちゃんが・・・あんなに・・・!!」
落ち込むベリーを必死に慰めるパイン
2人の耳に
「うわああああ!!」
トイマジンの悲鳴が飛び込んだ
その声にラブと戦況を見る2人
ドンッ!
ノーザのパンチがラブの腹部を直撃した
「ラ・・・ラブちゃんっ!!」
手ごたえあり!
ノーザが手ごたえを感じニヤリと笑みを浮かべる
誰もが桃園ラブは『死んだ』と思われた
が!
ふわりと側転し、何事も無かったかのように両足で立った
「・・・今の私の体は風に舞う木の葉の如く相手の攻撃を吸収して受け流す!
東方流武術の極意の一つ・・・」
「・・・東方流・・・イースターか・・・」
ノーザがぽつりと漏らす
「イースター?東方流の師匠は通りすがりのドーナツ屋さんだよ」
「・・・・・・」
「それよりも・・・一発受けてやっぱり確信を高めたよ!あんたの身体は異様に冷たい!
長老の言うとおり!!ノーザ、あなたの身体の時間は止まっている!!」
キュアピーチはノーザを指差した
「なるほど・・・スウィーツ王国長老の入れ知恵か・・・ならばこの秘密を知っていても不思議ではない」
ノーザも桃園ラブの推理に興味を持ったのか、攻撃の手を止めた
「でも・・・ラブ!時間が止まっているのなら身動きが出来ないはずよ!」
美希の疑問にラブはすぐに答えた
「・・・いいえ違うよ美希たん。時間管理を戦闘に応用しているのよ
・・・理由は分かっていないけど、ノーザは身体の時間を停止しているにもかかわらず、自らの意思で動いる
時間そのものが止まった、言わば不滅の肉体だからこそ、ダメージは皆無だし、いかなる物理攻撃も受け付けない!!」
ラブの推理はここまでだが
ノーザの答えは・・・
「・・・その通りだ」
「やった!正解ゲットだよ!」
ブイサインのラブ
それに対しノーザは冷静に
「だが!わからんのか?自分で死刑宣告を読み上げているという事が!」
時間が止まったまま戦える・・・それすなわち無敵という事
勝ち目など万に一つもない!
「心配いらないわ・・・美希たんの技なら通じるわ!動いている時間の空間ごと凍らせる事の出来る・・・エスポワールシャワー・アイスブランドなら!!」
再び、生身のままでノーザに立ち向かうラブ
「所詮は枯葉。掴めば引きちぎれる!・・・千切れろ!人間!!」
グオオオオオッ!
ノーザは大きな手でラブを掴みかかろうと襲い掛かってきた
「ラブちゃん!!」
パインが叫ぶ
ラブはノーザの両手を上手に避け、拳を握る
バコオオオオッ!
強烈な一撃がノーザの顎を打ち抜いた
ぐらりと態勢を崩すノーザ
「はあああっ!」
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガ
パンチのラッシュ、ラッシュ、ラッシュ!!
ラブが一方的にノーザを殴る
パインは親友の動きに驚嘆した
『相手がノーザでなければ最初の一発で決まっていた!本気のラブちゃんってこんなに強かったなんて!』
キィィィィィィィィイイイインッ
周囲の空気が急激に冷え込んだ
「美希ちゃん!」
その理由は、ベリーソードの宝玉に冷気を集めているからに他ならない
「ここで・・・ここで決められなくて何がキュアベリーよ!やってやる!やってやるわ!!
死んでもこのエスポワールシャワー・アイスブランドを当ててやるわっ!!」
キュアベリーの目に、迷いはもう無かった

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