フレッシュプリキュア 第42話 ラビリンスからの挑戦状.1 生還
思わぬ超魔生物ウエスターの援軍によって、元の世界に脱出できたピーチ、ベリー、パインの3人
だが、その肉体と精神に受けた傷は余りにも大きく・・・
ミユキ達の元に戻ってこれたのは12時間後の事だった
「みんな!無事だったのね!!」
ミユキの声が弾む
3人はとり合えずブイサインで答えた
表情は全く冴えていないが
「・・・あの後、ラビリンスは空中戦艦を使って日本中に無差別攻撃を繰り広げてきたわ・・・」
ミユキ曰く
空からひとつひとつ柱を落としていった
博多
仙台
札幌
松山
の順に4本
「・・・で、でもラブちゃん達が生還できてよかったわ!・・・せつなちゃんやタルトだって死んだって決まったわけじゃないし・・・きっと!」
「・・・だといいんだけどね・・・せつなとタルトはメビウスの技をまともに食らっちゃったし・・・ウエスターが現れなければ、私もラブも、ブッキーも死んでた・・・」
そう吐き捨てるように言って美希はベンチに寝転んだ
「惨敗・・・ね・・・」ピーチも力なくその場に座り込む
「タルトちゃん・・・」パインの表情も暗い
ミユキは思った
・・・だめだわ。ラブちゃん達はメビウスの真の恐ろしさを肌身で味わってきたんですもの
直接戦っていない私たちが励ましを言っても何の効果もない・・・
「もう・・・今更どうあがいたって仕方ないのかな・・・」
美希が虚ろに空を見上げて呟く
「・・・だめじゃない!お嬢ちゃん達、そんな事いっちゃあ。」
「?」
男のハスキーボイスに誰もが振り向く
「君達は・・・『プリキュア』なんだろう?」
「「「カオルちゃん!」」」
「・・・ミユキちゃんから大体の話は聞いたよ。でも、君達が本当に『伝説の戦士プリキュア』なら、そんな弱音を吐いちゃだめだぜ」
「か・・・カオルちゃん、プリキュアって知っているの?」
「もちろん!ドーナツ屋に知らない事は無いってね、ぐはっ!」
カオルは少し話をした。ほんの1年程前の話を
前の職場を離れ、夢も失い路頭に迷っていた時の事だ
強がっていたが内心は不安で一杯だった
先のことも見えない
自分で次にやりたい事も見えない
その時、一人の少女に出会った
桃色の髪の子はこう助言してくれた
「何もしなければまさに、何も始まらないよ。ジタバタしてたら、なんとかなるなる!」
柄にも無く笑っちゃったよ
でもって、やけくそでドーナツ屋始めたら、上手くいった
なんともならないと思って動いたら、本当に何ともならない
けど、何とかなると思って動いたら、何ともならない事が、何とかなるかもしれない
生き物なんざ、気持ちの持ちようさ
ラブ「・・・ジタバタしてたら」
美希「何とかなるなる、か」
祈里「・・・もう一度だけ」
「「「ジタバタしてみますか!!!」」」
大阪、上空
ドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
通天閣の真横に、巨大な柱が打ち付けられた
それは周りの街を焦土と化し、我が物顔でふんぞり返る
空中戦艦デウスエクスマキーネ
ラビリンス最大にして最高の戦力、時空(そら)を飛ぶ戦艦だ
「味気ないな」
メビウスがポツリと言った
プリキュアは全滅
地上に抵抗する力が無くなったとはいえ、ここまで何の邪魔も無く事が進むとなるとそう言いたくもなる
「・・・そうでもないと思いますが」
トランプ占いをするのはサウラーだ
不思議な力で空中に固定させたカードを一枚引き抜く
出てきたのはスペードのA
「・・・嫌なカードだ。何度占ってもこのカードが出るんですよ」
「まだ、余にたてつく分子がくすぶっているというのか?・・・サウラーよ」
「さあ・・・ただ大きな不安要素があるのは間違いないでしょう。ボクのトランプ占いは外れた事がない」
その一言でメビウスはある事を決めた
「・・・燻り出してみるか・・・その為に・・・『あれ』を捕らえてあるのだからな・・・」

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