三条陸版フレッシュプリキュア その10〜咆哮〜です
光と闇の力が同じ場所に存在するもの
相反するふたつの力が交わる場所
それを人は特異点と呼んだ
ふたつの力を全開にしたキュアパッションはアルティメットパッションに変身した
地上すべての命を掛けた正真正銘最後の戦いが、今始まる
「ば・・・・化物・・・・め!!」
「その通りだメビウス・・・お前以上のな・・・!!」
「ぬっ・・・ぬううううううううううううううっ!!」
メビウスはうろたえた
言い返す言葉が全く思い浮かばないからだ
そして、彼はこの戦闘で初めて自ら攻撃に動き出した
「切り刻んでくれるわっ!!!カラミティエンドォッ!!!!」
右腕の手刀がパッションの首筋めがけ放たれた
ドガアアンッ!!
「!!??」
手応えが・・・無い
それどころか、手が痺れる
それもそのはず
パッションはその小さな左手でカラミティエンドを受け止めていたからだ
「バ・・・バ・・・・」
次の瞬間
ザシュッ!
パッションの右手刀がメビウスの左脇腹を切り裂いた
「うがぁああああああ!!!」
初めて漏らす・・・悲鳴
だが、ダメージの余裕に浸っている余裕などこの戦いになかった
パッションは間合いを取り、すぐさま次の攻撃に備えていた
胸を張り、気合を溜め、さらに
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォン!!!!!」
まるでナキサケーベのような咆哮
メビウスはその様を見て思う
ち・・・違う!これはプリキュアではない!!
あの野獣のような殺気に満ちた目は・・・・!!
イース!!!
イースの闇の力を全開にした事により、隠されてた魔獣性までもが、イース級になったというのか・・・!?
「力が正義・・・!常にそう言っていたな・・・メビウス!!」
パッションのその言葉と同時に飛んできたのは、鉄拳!
ドゴッ!
ドガガガガガガガガガガガ!!
猛烈な鉄拳のラッシュ
「これがっ!!」
ドガッ!
「これがっ!!」
ドガッ!
すべてがメビウスの顎と頬を貫く
「これが正義か!?より強い力でぶちのめされればお前は満足なのかっ!!?」
ドガガガッ!
「弱い者が強い者に命まで管理されて!お前はそれで満足か!!?」
ドガガガガガガッ!
「こんなものが・・・!!!」
ぶうん
パッションは大きく腕を振りかぶった
「こんなものが正義であってたまるかあっ!!!!!」
ドギャアッ!!
強烈な一撃が顎を打ち抜いた
吹っ飛ぶメビウス
拳を収めるパッションの目には薄っすらと涙が
(こ・・・この目だっ!!
プリキュアに無くイースにあったものっ!!
底知れぬ殺気!!!
今の奴は・・・)
メビウスがパッションを下から睨む
パッションはメビウスは上から見下す
(完全無欠!!!??)
散々顎を打ち抜かれ、全身が震えるメビウスはもはや、それを認めざるを得なかった
しかし!
それでも負けられないのだ
負けるわけにはいかないのだ
理由はただひとつ
「余はラビリンス総統メビウスなり!!!!」
気迫を込めて、完全無欠の存在に挑む
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン
「・・・・ううう・・・ここは・・・どこや?」
タルトが目を覚ました
「タルト!」
「ピーチはん!」
「タルト、やばい状況で目を覚ましちゃったね」
「ベリーはん?ここは?」
生体質の壁に覆われた場所にタルトは尋ねる
「心臓部らしい・・・この空中戦艦のね・・・最上部からここへ落とされて閉じ込められたのよ」
「なんやてっ!?・・・パインはん!?」
既に脱出の行動は始まっていた
キュアパインがパインフルートを取り出し、技の発動態勢に入っていたのだ
「悪いの悪いの飛んでいけっ!プリキュア・ヒーリング・プレアー・オーバードライブ!!!」
パイン最大の必殺技
癒しのエネルギーをあえて過剰に与える事により、相手の生体回復促進機能を暴走させ、破壊する力だ
生命体相手には絶大な効果を発揮するが・・・
ボシュゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・
「!!」
力が発揮される事なく壁に吸い込まれてしまった
「ダメ・・・この壁はあらゆるエネルギーを吸い込んでしまう・・・でもまさかヒーリング・プレアーすら吸収してしまうなんて・・・!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
壁、いや部屋全体が小刻みに揺れている
ベリーは推測する
「タルトが元に戻ってた事を考えても、せつながメビウスに致命的ダメージを与えるか呪いの源を絶ったのは間違いないわ。
両者の激突で空中戦艦が崩れてももはやメビウスにはそれを維持する力は無いはず!
このままでは戦艦ごと地上に落とされてあたしたちは全滅よ!」
「美希たん・・・そんなの冗談じゃないよ!ここまで来て!・・・これなら!」
キュアピーチのフォルムチェンジ!
キュアエンジェルに変身し、両手に力を集める
「これならどうだあああ!!ラブサンシャイン・エンジェルハイロゥ!!」
物理エネルギーでは最大出力の技だ!
バアアアアアアアアァァァァァァッシュン・・・・
ダメだ
すべて吸い込まれてしまった
壁は無傷のまま
「だ・・・ダメか・・・これでも・・・ハァ・・・ハァ・・・」
力を使いきりキュアエンジェルは元のキュアピーチに戻ってしまった
「うっ・・・!?」
力を失い、眩暈でふらつくピーチ
「ラブちゃん!」
パインが背後に回り支える
「・・あ・・・だ・・大丈夫よブッキー・・・ちょっとクラっときただけ・・・」
「無理無いわ・・・ラブちゃんはせつなちゃんと2人でずっとメビウスと戦ってきたんだから・・・」
「・・・まだまだ!・・・行けるよっ!」
ピーチは力こぶをつくって、健在をアピール
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・
振動は続く
「だって・・・せつなが・・・あのせつなが・・・
全てをかなぐり捨ててまで闘っているのは何のためだよ・・?
こんな所で私達が犬死するわけにはいかないわ!!」
「せや!」
「もちろん!」
「そうね!」
3人と妖精1匹の闘志は、まだ失われていない
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
最上階
戦艦の至る所で崩壊が始まっていた
崩れる外壁、モニュメント
それに全く興味を示すことなく中央で戦う・・・
ラビリンス総統とアルティメットパッション

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