三条陸版フレッシュプリキュア その8〜決断〜です
一番書きたいシーンが近づいてきました
ここから、さらに魂込めて書き起こしていきます!!
地上掃討作戦を阻止した人類
佇んだままの総統メビウス
決着の時は近い…
黙り込んだまま微動だにしないメビウス
堪りかねてベリーが叫ぶ
「・・・ねえどうしちゃったのよ!さっきからピクリとも動かないじゃないの!まさかショックで死んじゃったのかな?」
「まさか・・・」
流石に現実離れした挑発に否定するパイン
しかに、それに流されずベリーは続ける
「じゃあ何とか言ったらどうだ!ラビリンス総統さんよ!」
その一言でメビウスの目は開いた
「!!」
4人は一歩退いた
目を開くだけでその威厳は保たれる
「やあ・・・済まなかったな。言葉は聞こえていたが・・・少々考え事をしていたものでね・・・」
「考え事?」
ピーチが尋ねる
するとメビウスがこう答えた
「いや・・・実際、余の負けだ。人間の絆の力・・・恐るべきものよ。それに余の計画が敗れた事に関しては全く恐れ入る他はない
素直に認めよう・・・敗北をな・・・だがお陰でわからなくなった。余は茫然自失していたのか・・・?」
「どういう事よ?」
パッションの問いにメビウスは笑いながら答えた
「していたのだろうなあ・・・
“人間は何故これほどの力を持ちながらそれを無益な事に使うのか?”
“いや無益な事に力を費やすからこそ、これほどの力なのか?”と・・・
後から後から疑問が沸いてきてな・・・お前ならその答えがわかるのかな・・・キュアピーチ
教えてくれないか?全員を皆殺しにする前に・・・!」
「「「「!!!!」」」」
メビウスの死刑宣告だ
ラビリンス総統は無言を貫きながら、次の手を考えていた
「この場でお前達を皆殺しにする・・・そしてその後に同じ事をすればよい!
うぬらの人生は一瞬!だが、余には永遠の生命がある!お前達が生命を賭け、奇跡を起こしてまで成し遂げた地上掃討計画阻止は所詮一時の時間稼ぎ・・・
ただの自己満足にすぎん!!だからわからんと言うのだよ!
そんな、無意味な一瞬の勝利を得るためにすべてを投げ打てるうぬら人間という生き物がな!!!
・・・うぬらを殺す!伝説の戦士プリキュアは絶え、地上の強者達は全滅!それで終わりだ!
そして、再び地上掃討作戦は決行される!しかも今度は邪魔者なしで!!」
「・・・ちくしょう!」
比類なき計画に、ベリーはそう呟くしかなかった
メビウスはあざ笑う
「フハハハハッ!やっと気付いたようだな!自分達とのあまりの尺度の違いに!!だがそれもまた良し!!
余は今はじめて人間に感服しているぞ!キュアピーチ!お前の言うとおり人間は凄い!凄絶な生き物だ!!」
「ぐっ・・・」
ピーチはグッと奥歯をかみ締める
「実際・・・最後の最後の時のお前達は美しかったよ・・・・
閃光のように・・・!!フハハハハハハッ!!!」
メビウスは言葉の果てに、ピーチのあの台詞をあえて使った
パインがピーチの横顔から覗き込む
「ラブちゃん・・・メビウスには・・・」
「殺される・・・だろうね・・・」
ベリーも逆側からピーチを覗き込んだ
「奴も弱っているとはいえ、あたし達のダメージはそれ以上・・・せっかくメビウスの企みを破ったのに・・・!奇跡が起こったのに!!
それでも最後の勝ちは奴のものなんて・・・!!ちくしょう!!」
「・・・・」
パッションはただ一人、一歩前に立ち無言を貫いていた
呆然としていたわけではない
彼女こそ一番、怒っていた
心の中で叫ぶ
『そんな・・・そんな事許せない!・・・シフォンの最後の贈り物を・・!みんなの今までの努力を・・・!そして世界中の人々がやっと手に入れた平和を!
たった一時のものになんてしちゃいけない!絶対にっ!!』
せつなは考えを張り巡らせる
どんな手段でも構わない!どんな無茶だっていい!!みんなの未来を救う方法を!!
・・・この命に代えても!!!!
「!!!!!」
パッションは気付いた
いや、気付いてしまった
右手にある黒いオーラ
キュアブライト・キュアウインディの言葉
恐ろしい封印の扉に・・・彼女は気づいてしまった
彼女の顔から数滴の冷や汗が滴り落ちた
「・・・まあ、それでも最後まであがくしかないものね!美希たん!ブッキー!せつな!」
ロッドのないキュアピーチは徒手空拳の構え
「そうね!」
ベリーはソードを抜く
「うん!」
パインもフルートを取り出した
しかしパッションは・・・うつむいたまま
「・・・・・」
バッ!
突如パッションがピーチ、ベリー、パインの前に両腕を広げて、構えを解かせた
「・・・お前もやはりあがくか・・・イース・・・いやもはやキュアパッションか・・・
だが、今にして思えば理解できる!お前のその異常に諦めの悪い所は、光の力のもたらすものだったというわけだ・・・」
もはや、彼女に元の名前など相応しく無いと言い切ったメビウス
「・・・ラブ、美希、ブッキー!タルトの水晶玉をお願い!」
「わかったわ」
ピーチはタルトの水晶玉を大切に抱きしめて、尋ねる
「で、どうするの?」
「・・・・・それをしっかり持っていて欲しいの・・・あなた達に守っていてもらいたいから
・・・
・・・
・・・これから、恐ろしい事が起こる!!」
「「「え!?」」」
「最後に一つだけ・・・たった一つだけ・・・試してみたい事があるの・・・」
せつなは震えながら続けた
「・・・でも正直・・怖いわ・・!私にとってもとんでもなく恐ろしい思いつきなの・・・
・・・だから・・・何が起こるかわからないから・・・しっかり守ってほしい・・・
そして・・・もしスキがあったら上手くこの空中戦艦から脱出して欲しい・・・」
「な・・・何言ってるのよ!この戦艦にはメビウスが結界を張っているのよ!」
「・・・美希・・・心配いらないわ・・・もし私の狙い通りになったら結界は消える・・・!」
せつなはいつもに増して低い声で最後にこう言った
「・・・メビウスが・・・死ぬからだ!」と
一番近くにいたラブが尋ねる
「それって、メビウスに勝てるっていうの!?」
その言葉にメビウスの眉がピクリと動いた
「戯言はよせキュアパッション。いかに余が傷ついているとはいえ、うぬら4人の力をいくら組み合わせても 勝ち目はないぞ」
さらに見下しながら続ける
「これは脅しではなく冷徹な事実だ」
パッションはメビウスを見上げながら言う
「4人じゃないわ。私だけで戦うのよ・・・!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・
キュアパッションの左手から光の赤いオーラ、右手から闇の黒いオーラがほとばしる
パイン「光と闇の力!?」
ベリー「ブッキーは気づいてなかったのね。戦いに夢中で・・・」
ピーチ「あれがせつなだけの力・・・ウエスターが死んだときに再び目覚めた正義の闇の力よ・・・」
それを聞いてパインはさらなる絶望の淵に追い込まれた
『二つの相反する力をもってして、ここまで大苦戦してきたなんて!
ダメだわ・・・!やっぱりメビウスはケタ違いよ!
どうやったって勝ち目なんてないじゃない!』
「・・・・」
パッションの顔から冷や汗が消えない
「フッ!“私だけで戦う”・・・だと?ならば尚更だ。余の勝利は揺るがん・・・!」
メビウスの顔色に何も変化はない
「まだ・・手があるわ・・最後の手が!!」
キュアパッションは光と闇のオーラほとばしる両手を力強く握り締めた

0