せつな=ヒュンケル 最終回です
前回まではこちら
http://black.ap.teacup.com/ayrtonmoa/1419.html (第1話)
http://black.ap.teacup.com/ayrtonmoa/1421.html (第2話)
http://black.ap.teacup.com/ayrtonmoa/1427.html (第3話)
http://black.ap.teacup.com/ayrtonmoa/1429.html (第4話)
思っていたよりもかなり長くなってしまいました
しかし、切り捨てる場面や台詞が少なかったのも事実です
罪滅ぼしの為に戦う2人の戦士に、幸あれ
「き…ず…な…」
グランドクローバーをもろに食らったサウザーは伏せた
「はあ…はあ…やはりグランドクローバーを使った後は体が思うように動かない…いつぞやのクラインの時みたいに意識が無くなるよりもマシだけど…」
よろけながら立ち上がるせつな
「!!!」
殺気!背後からっ!
とっさにせつなは前転する
ドガッ!
先程までせつながたっていた場所に鉞が振り下ろされた
「ドーレ…貴様まだ生きていたのか!?」
ハープを手に取り戦闘態勢に入る
「グフフフ…」
腹に風穴が開いたドーレが不適な笑みを浮かべる
「いいだろう。二度と化けて出ないように今度は顔面をぶち抜くわ!」
「…出来るかなあ?この状態で」
「なにっ…大輔!?」
ドーレの左手に大輔が握りしめられている
「さあ武器を捨てろ。さもないと小僧の頭を握り潰すぞ!」
「ひ…卑怯な!」
グググ
「うがあああ!」
大輔は頭部を握られ悲鳴をあげる
「やめろ!」
「さっさとしろ!ワシは今気が立っているんだ!」
「…私を殺せば本当にそいつを見逃してくれるの?」
「フン!こんなザコの生命など興味ないわ!ワシが欲しいのはラビリンス元幹部の貴様の首だけよ!さあ、どうする!?」
「………。」
せつなは大輔を見つめ、決断した
「……いいわ」
ハープを手放そうとしたその時だ
「待て!いけねえせつな!俺なんかにかまうな…」
「だ、大輔…」
「こいつをブッ倒してくれ…!」
「そんな事はできない!」
「馬鹿やろう!能力カラッポの俺とお前じゃどっちがラブの役に立てるかぐらいわかるだろうが!
…そ…それによ…あいつの記憶が戻っても、お前がいなかったら…すごく悲しむだろ…」
(ラブ!)
「…俺は…あいつの涙だけは見たくねえんだ…だから頼む…生きてくれ…
そしてあいつを幸福にしてやってくれよ…」
「…私は人を幸せになんて出来ない。不幸にしかできないのよ。だから、せめてこの世の悪党どもを不幸にしてやろう…そう思ってあなた達の仲間になっただけの話よ…」
せつなは微笑みながらハープを手放した
「せつな!!」
「グフフフ…いい心構えだ」
口元がゆるむドーレ
「やめろぉ!やめてくれぇっ!」
大輔は指一つ動かせず哀願するのみ
しかし、勝利目前のドーレが耳を貸すわけがなく
「死ねえーい!!」
鉞は無防備なせつなの首へと向けられた
「せつなああああーっ!」
ドカッ!
血飛沫と脳漿が宙に舞う
それはドーレのものだった
ドーレの口から頭を一本の槍が貫いた
「あの槍は…サウザー!」
「あなたが私を助けたの、どして?」
「…人質を取るなんて誇り高き機甲戦隊の名を汚す愚行…許し難いこと…」
「サウザー…声が…!?」先ほどまでの太い声とは明らかに違う、やさしくか細い声
「私の本当の名は…アエローザ…そしてこれが私の本当の声…あなたとの戦いで私は私を取り戻したわ…」
「アエローザ…」
「私に科せられた心の牢獄…アカルンと私の人格を閉じこめるために、クラインが施した禁呪よ。禁呪が解け、拘束されていたアカルンも解放される…がはっ…」
大量の血を吐くアエローザ
「アエローザ!もういいわ!喋らないで!」
「…断る。・・・お前に全てを伝えねば・・・アカルンは捕らわれられる前にハープをあなたに送った…真の所有者に…せつな…この赤いスーツも真の所有者に返すわ…」
チェンジ・プリキュア・ビートアップ!!!!

せつなは赤色のプリキュア、キュアパッションに変身した
「さ…流石…真の所有者だ…よく似合う…
せつな…さっき自分は不幸にしか出来ないと…言ったけど…戦いに敗れたが…私はとても幸せよ…
…あなたは…誰かを…幸せにする…力が…ある…これからは…血みどろ(ブラッディ)の自分から…生まれかわり…幸せ(ハピネス)を与え…そして…つかみ…な…さ…い……」
そう言い残すと、アエローザは息を引き取った
その死に顔はとても穏やかだった
「アエローザ…あなたの風のような生き様と、魂のこもったスーツ…確かに受け取ったわ!!」

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