心の荒み具合がアルバムの出来を左右するという悲しい習性を持った大佐が、どうやら良いクスリを手に入れたらしい傑作
前作のツアー中に早くも前任ギターをリストラし、ネバーモアのジェフ・ルーミスに加入を要請するも断られたので、その腹いせにネバーモアのサポートギタリストをヘッドハンティングしてしまうという、生き馬の目を抜くような所業を堂々とやってしまったデイブ・ムステイン。
その甲斐あってかアルバムは復活後、いや、それ以前のアルバムと比較しても間違いなく過去最高の出来。
これを聞いてもまだ往年の名作には及ばないと感じる人はもうメガデスに何かを期待しないほうがいいだろう。RISKの作風に戻って欲しいという人は、それはそれである意味尊敬する。
デイブのリフ作りはもはや職人芸の域。全く新しい事をやろうとしていないにも関わらず、これだけエキサイティングなリフを書けるというのはまさにリフ職人。
どう考えても繋がり様の無いリフを「起承転結?整合感?何それ食えるの?」と言わんばかりに無理やり結合させ、しかもそれがST.ANGERの様な投げっぱなしジャーマンにはならず、異型の構築美を成している。
これがインテクレチュアル・スラッシュと言われるが所以か(本人が命名したんだけど)でも知的というよりは、恐らくただの天才。
本作はリフも然る事ながらソロも熱い。ここまでソロが際立ったアルバムというのも久しぶりに聞いた。
テクニカルかつ、マーティーさながらのオリエンタルなフレーズもさらっと弾きこなしてしまうクリスのプレイに触発されてか、大佐のソロも近年稀に見る気合の入りようだ。
二人のソロの掛け合いは「俺のほうが!」「いや俺のほうが!」と聞こえてくるかの如く殺気に満ち溢れている。
メイデンも、プリーストも、エネミーもギターバトルというよりは対比。
ツインギターを要するバンドは数あれど本当の意味でのギターバトルを聞かしてくれるバンドはなかなかいないんじゃないだろうか。
いや、ドラフォがいたな・・・・・今のメガデスにはドラフォ的な格好良さがある!
何かすごく嫌(笑)
デイブのボーカルはもうドスが聞きすぎて上手いとか下手だとかいう次元を完全に超越しつつある。
8.のスローな所に至っては、浪曲か競り市のおじちゃんの唸り声にしか聞こえない。バラードなのに。
毎度の事思うけどこのリフ弾きながら歌う(唸る?)んだよな。ありえん(汗)
はっきり言って欠点らしい欠点が何も見当たらない。デイブがメガデスの中で表現できることを全てやってしまったんじゃないかとさえ感じる。こんなに集中して何週間も聴き続けられるアルバムなんて本当に何年振りだろうか。
LPへの期待は否が応にも高まる。

0