日本人の日本人による日本人の為という訳でもないメタルバンドの1st
中心人物は元K.O.Dのギタリスト・・・という肩書きはむしろ足枷に成りかねないほどの成長を遂げたアルバム。
曲の練り込み、バラエティー、音質にはインディーズ臭は皆無。海外の第一線級のバンドと比較しても何ら遜色は無い。このアルバムが時間と予算と手間を十分にかけて作られたという事はサウンドからひしと伝わる。掛けてなかったとしたらそれは俺の耳が腐っているんだきっと。
現存するコアなメタルのおいしいエッセンスだけを全て詰め込んだかのような音楽性は、まるでトッピングを全部のっけてしまったピザの如く多彩で重厚かつやり過ぎ感に満ちている。これってみんな考そうな事だけど殆ど上手くはいかない。それを実行するには相当の才能が必要なのだろう。
中心人物である橋本のギターワークは文句の付けようが無い。多彩なリフ作り、タイトなリズム、綿密なソロ、その全てが高次元。というわけでコメントのしようがありません。
捻くれた捉え方をすれば「狡猾過ぎる」「優等生過ぎる」という見方も出来なくは無いけど、別にけなしたくて文章書いてるわけじゃないのでそんな見方はしません。ただ俺はけなしてる時の方が活き活きとしてるだけ。
そんな俺のテンションを高めてくれる存在がボーカルのパート。
曲の雰囲気をぶち壊さない最低限の努力は見受けられるがそれ以上でもそれ以下でも無い。様々な歌唱スキルを必要とされるこのジャンルで、それを十分に歌いきる実力を持ったアーティストなんて海外でもそうそうお耳にかかる機会は無い、しかしそれを踏まえた上でもこのバンドのレベルに見合ったシンガーだとはとても思えない。
メタリックな歌唱能力を有するレベルの高いシンガーは恐らくこの日本でも相当数いるはず。しかしコアメタルというビジネス的に考えて殆ど希望の無いシーンに己の身を投ずる覚悟のある実力派シンガーとなると恐らくは皆無。
ボーカルの実力云々というより、こういう可能性のあるバンドを支えることの出来ない日本のメタルシーン自体に問題があるのかもしれない。
そんな日本の音楽シーンの実情を憂いでいてもしょうがないのでレビューに戻ります。
ドラムは関しては本当に嫌。音楽的の何かを全く感じない。人が叩いたとは思えないほど無機質で無表情で無感情。純情な感情も空回りしっぱなし。
時にはそのクールさが音楽性にプラスに作用することはあるけど、このアルバムに関してはその類では無い。明らかなマイナス。「まるで打ち込みみたい」と揶揄されそうだがそれは打ち込みドラムに失礼だ。打ち込みでももっとましな物は世の中ゴマンとある。
一応の教育は受けていそうなドラミングではあるので何が彼をそうさせている、あるいはさせられているのかは分からないけど、とにかくこのドラムだけは嫌い。オーディオにドラムだけを絞る機能を早く誰か発明してくれと願わずにはいられない。
こんあレベルのバンドがちょいちょい出てくるようになれば、そしてラウドパークみたいなのでそれなりのポジションに食い込めるようになれば日本のメタルはもっと盛り上がるような気がするけど、現状そんな気配は露ほども感じないのできっと無理なんだろう。
ラウドパークみたいな巨大なメタルフェスが成功するぐらいの国で、ご当地バンドでファンベースを確立してるのが若干のベテラン勢のみというのはどう考えても異常。
別にアウトレイジに恨みはないけど、どういう事情か知らないけがあんなしょうも無い日記でバーンのスペースを浪費しまくるぐらいなら、こういう日本の若いバンドをプッシュして、メタルシーンの底上げしてやろうとかいう志が編集者にあってもいいものだけど無いんだろうか。それとも俺がビジネスというものをまるで理解していない知恵なき子だからだろうか。
まあ後半散々叩きまくった俺が言うものだからどの道何の説得力もないけど。
以上レビューのようで全然レビューになって無いレビューでした。

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