少し前にBSで放送された、JAXAやぶさプロジェクトマネージャーの川口淳一郎さんと、国立天文台天文科学センターの広報室長の渡辺潤一さんのロングインタビュー。
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約1時間半という結構な長尺ということもあり、かなり深い所まで掘り下げた内容となっており、その話が現場の当事者によって語られるわけだから信憑性が高いというか事実そのものである。
話の中にはネットやニュースで知った情報とは全然違った内容もあったり、噂通りの物もあったりで、しかしそのどれもが興味深い。
この川口PMという人の話方がすごく丁寧で、一般人には分かり辛い部分は噛み砕いて説明し、誤解の生じないよう適切な言葉を慎重に選び、時には冗談も交え、しかし話の軸は一切ぶれないというまさにはやぶさの神掛り的な運用の如き論調だ。本当に聞き入ってしまう。
宇宙開発という未知の領域が大半を占める分野に挑戦するという事は「石橋を叩いて渡る」どころの話ではなく「石橋が本当にそこにあるのかどうかも分からないけど、とりあえず行ってみる」という感じなんだろうか。そしてその石橋がどんな形状の物であっても渡れるだけの出来る限りの準備をしておく。
慎重に慎重を重ね、その上で時には暗闇の中を全力疾走するくらいの慎重さと大胆さが必要なんだろう。
後これは別のインタビューで言ってたことだけど「チームの中でいい意見が出たらそれが全然経験の無い専門外の人から出た意見だったとしても迷わず採用する。そうする事によって意見交換は活発になり良いアイデアもたくさん出る。そういう雰囲気じゃないとこういうプロジェクトは成功しない。」
言うのは簡単だが、国家事業という重圧を背負った上で本当に実行するというのは並大抵のことではない。
「一回目の着陸で、一見姿勢を失い不時着しているかのように見えるあの斜めの姿勢、あの姿勢こそ地球との交信を保つための完璧な姿勢なのです」
この人が言うと全く冗談に聞こえないし、本人としては冗談でも何でもないと思うんだけど、そう真剣に語る様子を見ていると不思議と笑いがこみ上げる。
この人の話を聞いてると、何故はやぶさが幾多のトラブルに見舞われつつも帰還出来たのかが分かる気がする。
綿密な計画と準備をした上で、それでも自分達の力を過信することなくリスクを恐れず挑戦する。
「
覚悟とは!!暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開く事だッ!」
(ジョルノ・ジョバーナ)
何となくジョジョの名言を引用してしまった。でもまさしくこの言葉どおりのことを実行している。
一般に、はやぶさに起こったトラブルと言われている物の大半は、川口PMに言わせればそれは事故などではなく「全てはリスクを背負った上で、あえて挑戦した為の代償」との事。
言ってみたいよそんな言葉。そこに痺れる憧れる。
「飛不動尊のお札は5枚しか無い(はやぶさは7年運用)、行方不明になる前の2年はお参りに行ってない、困ってからの神頼み、不信心なことですが(苦笑)」
「(中和神社を参拝した際に神主さんに対して)中和機の安泰を願っている」
いちいち洒落た言い回しをする。この人本当に技術屋さんなのか?(笑)
鬼瓦のような顔したキャスター反町さんが、はやぶさが最後に地球を撮影した写真を見て不覚にも涙してしまうというハプニングが起こるけど、この反町さんに深い共感を覚えた人も少なくないだろう。
ちなみにタイトルにある「技術より根性」は川口PMの言葉。技術屋が言うこの言葉は重い。

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