東京のボブが仕事でこっちに帰って来るというので飲み会をすることに。
当日の昼に「名谷で集合してからウニャウニャ〜」という話になる。
家飲みか店飲みかで思案していた所、ゼツリンからのメール。
「フレッシュ(俺)の家に行けばいいのかい?」
・・・一応一週間前にアナウンスはしたはず、にも拘らず何の連絡もよこしてこない奴から当日になって突然参戦を表明のメール。
ふっ・・・何の事は無い。これは
ゼツリンの戦略なのだ。
土壇場になって「話まとまった?じゃあ俺も行けばいいのかな?」的な発言で飽く迄無関心を装い、集団の中でのクールな自分を演出し、付かず離れずな立ち位置を堅持しようとする狡猾なやり口。
お茶目な奴だぜ。
しかし、これから
彼が巻き起こす大惨事に比べれば、ほんの嵐前兆に過ぎないのだ。
これはゼツリンを中心にして巻き起こった、愛と悲しみと苦悩と殺戮と絶望と梅毒と淋病とに彩られたドキュメントである。
キャスト
ゼツリン
ホブ
サトサン
フレッシュ
PM5:14
ボブからのメール「
仕事問題なく終了した フレッシュは7時か サトサンは?」(このメールはチャットメールで、独りの発言が四人全員に送信されている)
PM5:42
サトサン「今会社でた、ボブどこ?」
PM5:49
ボブ「名谷のパチ屋」
PM6:19
サトサン「フレッシュん家に行けばいいんか?」
PM6:20
ボブ「名谷か、フレッシュ家か」
この時点ではまだどこで宴を開くのかは決まっていない。
そしてここでゼツリンから問題のメールが届く。
PM6:20フレッシュ「いやいや、今日は“ゼツリンを励ます会”やから来てくれよ」
PM6:23
ゼツリン「フレッシュ家に行くぜ」
俺の皮肉と悪意に満ちたメールに、何故か機嫌を良くしてしまったゼツリンが突然俺の家に向かいだしてしまった。
PM6:25
ボブ「名谷着いたら連絡よこせ(ゼツリンに向かって)」
PM6:26
サトサン「じゃ俺は直接行くわ」
PM6:50
ゼツリン「電池切れる、フレッシュ家向かうぞ」
PM7:05
ボブ「フレッシュよ名谷集合で、気がかりなことはゼツリンがフレッシュの家を目指すという最後の連絡のあとロストした。」
PM7:14
ボブ「ゼツリンよ戻るんだ!以前ロスト中」
以上が集合までのメールでのやり取り。ここで俺とボブが名谷で合流。
ひとまず事態の情報収拾に努める。
サトサンは連絡が着いたので無事こちらに向かっている。
問題は奴。
やはり名谷駅には居ない、そして何より奴の携帯の電池が切れてしまっているので連絡の取り様が無い。
PM6:50のゼツリンからの
「電池切れる、フレッシュ家向かうぞ」というメールを最後に完全にロストしてしまった。
奴の行動パターンから考えて、俺の家に歩いて向かっている事が予想される。
駅から家までの徒歩での所要時間は約40分。メールの時間から逆算すればそろそろ家に付くころか・・・・・
そもそも何故彼は一人俺の家を目指してしまったのか?
PM6:25のボブからのメール
「名谷着いたら連絡よこせ」の時点では場所は確定していない。
しかしPM6:26
サトサン「じゃ俺は直接行くわ」で俺の家側に大きく振れた。
しかしボブは名谷で待っているはずなので合流すれば問題はないはずが彼はそのまま俺の家を目指してしまった。
何故?
実はボブの携帯に連絡はあったのだ。間が悪い事にいかんせんボブはパチ屋で朝鮮銀行に投資している最中だった。
携帯の最後の電池を使ってかけたコールは、ボブの耳には届かず彼はそのまま俺の家に向かって歩き始めた。
今どき携帯の電池ぐらいコンビニ行けば買えるんだけど、そういう選択肢は宗教上の理由で無かったらしい。
事態を更に深刻な状況に向かわせているのは、当の本人がこの異常事態に全く気が付いてない事。
常識的に考えて、歩いてる段階
でこの不穏な空気を感じ取り、駅まで引き返して来るぐらいの機転が何故利かない?
そこで突然、
俺の家の方角に向かって右手をかざし、まるでユリ・ゲラーの如く思念波を送り始めるボブ。
だめだボブ!それじゃ多分
俺の家の前で奴の体がクニッって折れ曲がってるだけだ。
とここでサトサンも合流。
・・・・・いかん、この状況が欝陶しくなってきた。
・・・そうだ、こんな状況はゼツリン自身も望んでいないはず。もしあいつがこの状況を見たら、即座にこう言うだろう「
俺にかまわず楽しんでくれ、俺の分まで楽しんでくれ」と。
うん、きっとそうに違いない。
「シミの励ます会」改め
「シミを偲ぶ会」の発足である。
というスマートな解決作もあったんだが、実行した後、自暴自棄になったゼツリンが俺の家の前で独り酒盛り初めて、酔った勢いで隣の家のばあちゃん口説いて通報されて俺等が身元引き受けに行くてかいう展開は絶対に嫌なので、タクで迎えに行くことに。
一応すれ違いがあったらまずいので、サトサンとボブは駅で待機。
タクの運チャンと世間話してる間に我が家に到着。するとそこには独り佇む困ったちゃんの姿。
迎えにに来た俺に、驚きと戸惑いの表情を浮かべながら放った彼の第一声。
「そ・・・そんな金持ってきてないで」
もういい、しゃべるな。取り敢えず乗れ。
駅に到着、支払いをする俺の横で震えた子鹿のようにゼツリンが呟く。
「これ払ったら今月あと400円で云々・・・」
だからもういい、しゃべるな。
大体、晩飯兼飲みって時に財布の中に2000円しか入ってないってどういう了見だ。
しかもそれには生活費も含まれ(省略)
挙げ句の果てに独りでグロッキーになるまで飲んで、俺ん家の便器のゲロ・ヴァージンまで奪って行く始末。
文章にするとゼツリンは凄く酷い人間に思えてしまうかもしれないが、実物はもっと酷いので安心してくれ。
それも含めて許容してしまうのが腐れ縁ってやつなのか。
そんな事もあったが、その日は久々に気持ち良く酔えたのも事実。
ゼツリンの所業は便器にこびりついたお釣りと共に水に流そう。
次回はモーターブレスでドンだ。
各自練習を怠る事の無いように。

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