例年行なわれるアパレルソリューションフェアは、最新のITソリューションの動向をうかがい知ることが出来る点で、アパレル業界イベントの中では特異な展示会としての存在意義を持った。
おおざっぱに年毎の提案傾向や取り組み課題を概観すると、昨年は「取り引き先の多様化・グローバル化やアウトソーシングの普及に伴う、セキュリティ対策」をいかにスムースにアパレル業務に取り込んでいくかが、競争力を左右する要素として重要な課題となっていた。
アパレル自らが、企画に応じて発注先を新たに求め増やしていく傾向にあって、安心して業務委託できる関係を相手先と結ぶことが出来るかどうかは、生産管理上の要点でもある。
特に、中国生産において、ネット・コミュニケーションによる取り組みを行なう場合、電子データ化された知的財産の複製・盗用・流出が容易に行なわれる危険性も内包しているだけに、それらの安全をサポートするシステムを持つことの優位性を経営者が認識できるかどうかは、アパレルビジネスにおける企業存続にもかかわる問題であった。
幸いにして、2005年の貿易資料では、デッドコピー品の検挙率トップはカバン、靴類で、アパレル製品は少なく推移した。
イベントによる啓蒙効果という直接の因果関係は断定できないにせよ、何がしかの貢献を業界にもたらしたものとみなし評価出来る。
さて、今年のイベントで示されたメインストリームは「端末のスリム化およびアクセスの簡便化による、ネット活用度の向上と企業コミュニケーションの高度化」が顕著に示された。
売り場から生産現場まで「リアルタイム」で進捗を見ることが(比較的安価で簡単に)出来る時代となっている。問題はその流れを「誰が見て情報化し流通させるか」という仕組みである。
無駄なく精度の高い情報を迅速に流通させるためには「視点」を増やすことが重要で、視点が増えても混乱せぬように情報の流路そのものも整備される必要がある。
これが目指すところは「情報共有化」のメリットをより高めることにあり、そのためには業務にかかわる多くの人間が簡単に情報にアクセスできることがカギになる。
また昨年先駆けてシステムのセキュリティ対策をしっかり行なった企業は、この点でも余分な投資を抑え無駄の少ない効率的な業務展開が行なえるというメリットを享受できる。ITの進化は合理的に段階を踏んで行なわれている例証である。
情報のアクセスに使われるツールも、専用端末から汎用端末へ、さらにはPCから携帯電話へと進化の方向性は指し示されている。
これに伴い、情報を参照するソフトウェアも、高価な専用プログラムから、フリー(無料)アプリケーションの利用へと移っている。
そのひとつのキーワードが「WEB活用」である。一般的に良く知られたインターネットエクスプローラなどブラウザを窓口として、情報にアクセスする考えである。
どこにでもある端末、どこにでもあるプログラムを用いて「マシン対人間」のインターフェースにおける軽量、快適動作が追求されている。
このような、各段階で端末を操作する人間にとって、優しく分かりやすく使いやすいインターフェースを実現するためには、その背後にそれらの動きをサポートする「メインシステム」の存在が不可欠である。
例年このイベントにはIBMや富士通など大手電器メーカーをはじめとするIT開発・提案企業が参加してきた。
これら企業は、アパレルビジネスの現状(特殊性)を理解した上で、中小企業が、低コストでこのような機能を活用できるように、根幹のハードウェアとソフトを貸し与える「サービス」を提案する。
この「サービス」ではベンダー(提供者)が持つメインシステムの運営や管理をユーザーが意識する必要が無く、業務上も特別な端末を設ける必要がなくなっている。
さらには、システムやハードウェアのバージョンアップもベンダー側が行なうため、ユーザーがIT運営のために余計な時間とコストをかける必要が無い。
このサービスの方向性が重要なのは、企業間コミュニケーションの円滑化を飛躍的に向上させることにある。
たとえば、現在のアパレルビジネスでは、より多くのチャンスを求めて取引先を増やす傾向にある。
しかし一方で、取り組む企業ごとの受発注フォーマットをはじめとするシステムの違いが、企業間コミュニケーションの障害となっている。
従来ならば、一シーズンに一度しか取り組まない相手との間にわざわざ新しくネットシステムを導入することはありえなかった。
そのような件数が増えるほど、全体の情報精度が落ちていき、例外作業は見えにくいロスとなって赤字を蓄積していく。
今年のイベントで示された方向性は、もはや企業間のビジネスの仕方やシステムの違いを意識する必要無く、誰とでも何処とでも自由にビジネスコミュニケーションできる環境作りであった。
そのためのITソリューションの提案。知った文だけ得できる価値は高い。

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