日記の如く(改)
〜島のCD屋さんのひとりごと〜
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2008/6/12
「銀河超特急の夜」
音楽、お店のことなど
【ルー・リードはキケンなのよ】
「ルー・リード/トランスフォーマー」
何だろう。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやルー・リードって、それこそ「暗黒ロックの親玉」みたいに言われることがよくあるけど、作ってる曲自体は非常にポップで分かり易い、例えば今のビルボード・チャートの15位ぐらいに入ってても全然おかしくないぐらい「王道」としてのツカミを持ってるんですね。
しかし、そんなポップな楽曲から、あれだけのダークでキケンな香りを放てるヴェルヴェット・アンダーグラウンドやルー・リードというのは、どんだけダークでキケンなんだ、と、「ワイルドサイドを歩こうぜ」とかを聴くと思ってしまいます。深いですね、怖いですね。
【昔取った杵柄】
「杵柄」というのは餅をつく時に使う杵の技術のことですね。餅をつくというのは熟練を要しますので(ヘタな人がやると、こねる人の手を「ギャー!」とやっちゃいます。怖いですね。)、やはり慣れた若手よりも、第一線を退いても熟練の技術を持って体で覚えているベテランが良い。ということで、リー・コニッツの新作
「リー・コニッツ/ディープリー」
が良かったです。コニッツ81歳。バックのドイツ人ピアノ・トリオは30代の前半。で、コニッツの音は年々ふんわりしてきてるというか、流石に初期のひんやりとした肌触りと鋭利な質感というのは求め得ないのですが、そりゃまあコニッツの音があったかくなってきたのは50年代の後半ぐらいからなので、もうずっと昔に「コニッツ=クール」という図式は成り立たんくなってきてる訳で。しかしですね、この人は「昔取った〜」じゃなく、ずーっと現役の第一線居士でやってきて、若手とも共演しながら色んなスタイルに身を泳がせているうちに、飄々としたとらえどころのない不思議な魅力を身に付けたような気がします。コニッツにハマッてたくさんアルバムを買い集めて、「なんじゃこりゃ!?」と思ったこと、何度もあります(笑)。でも、私は断然コニッツが好き。どの時期のコニッツであろうが好きです。今回のこの作品は、バックのトリオが、「クール時代のコニッツ」とはまた違った、今風の”ひんやり”を持っております。コニッツが大いに触発されて吹いているのが分かります。
【水野晴郎氏の】
ご冥福をお祈りします。また一人「文化」の素晴らしさをお茶の間レベルにまで伝えることが出来うる希有な表現者がいなくなりました。
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2008/6/11
「マーク・ボランの言うことにゃ」
音楽、お店のことなど
【Tレックス】
【T.レックス/レジェンド・オブ・T.レックス】
グラム・ロックの、やんちゃでドリーミーで、華やかな軽薄さに溢れたサウンドには、正直今も気恥ずかしさを感じるが、それでもT.レックスを「いいよなあ」と言って飽きることなく聴き続けていられるのは、マーク・ボランの声があるから。尋常じゃないヴィブラートがかかった、やや線の細い声は、「たすけてー、たすけてー」と叫んでいる小さな子供の声にも聞こえるし、何やら怪しげな呪文を唱える老婆の声にも聞こえる。
マーク・ボランの声を聴くには、断然「T.レックス」時代の前の「ティラノザウルス・レックス」がいい。ボランの声のバックで鳴るのは、彼自身が掻き鳴らすアコースティック・ギター、そしてスティーヴ・トゥックのパーカッションだけの、完全なアコースティック・スタイルの演奏は、ボランのダークな声の魅力を極端な程にピックアップしている。トータルなツカミの良さや、完成度といった点においては、Tレックスのバンド・サウンドに及ぶべくもないが、ボランの強烈な個性、そのダークな部分は十分過ぎる程に語っている。
このベスト・アルバムは、そんな”ティラノザウルス・レックス”時代の曲もタップリ入っている、目下愛聴中の一枚。ベスト・アルバムとしてはコレが一番しっくりくるんだなぁ。
【おはようございます】
夜眠れず朝起きれません。逆ならいいのにね、と、いつも思っております。試してみよう。
「おはようございます。朝眠れず、夜起きれません。」
ら抜き表現ですが良いのです。今猛烈に眠いのであります。
【そんな訳で】
音楽関係の本やウェブでの色んな人のレビューや評論を読んでいると、とかく考えさせられますね。
「レビューという行為は何だろう」と、私の場合はディスクユニオンの売場に立ってPOPを書くようになってから今まで、ずーっと考えてきてる訳なのでありますが、CD屋という立場的なアレもあるんでしょうが、基本姿勢としては「これは素晴らしいものだから是非お聴きなさい」というスタンスであります。ジャズの油井正一先生、映画の淀川長治先生といった粋人達からの影響であります。
理想とするのは、レビューする対象を全く知らない人に、「ほぉう、どんなだろうかね。気になるね。」と、思っていただけるようなレビュー。もしかしたら一番難しいことかも知れません。よく音楽の仲間内で「共通言語」というキーワードが頻繁に出てきます。「伝えること」は本当に難しく、そして報われない作業でありますが、もしかしたら「伝わった」たった数名の人によって、更に別の人に伝えられ、それが更に・・・というふうになっていけば音楽はもっともっと色んな意味でかけがえのないものになっていくのになあと思います。音楽なんかどうでも良くても、嫌いにだけはなってほしくないなぁ。
【そして俺】
ということで奄美テレビ音庫知新「男のブルース祭」で紹介したブツです。
「マディ・ウォーターズ/ベスト・オブ・マディ・ウォーターズ」
「シカゴブルースの帝王」と言われるマディですが、「じゃあ何がどう凄いのか?」と言われると、これがなかなか難しいものですが、極力泥臭さを抜いたお洒落なブルースが幅を効かせていたシカゴで、マディは泥臭さを極力抜かない南部直送のムンムンした香りを、更に電気化して増幅させ、それがまた予想以上にシカゴの「南部移住組」の黒人達にウケまくったんですね。そして(つづく)
「ハウリン・ウルフ/モア・リアル・フォーク・ブルース」
(続き)もう一方の雄、ハウリン・ウルフなんですが、コチラは貫禄十分にディープ・ブルースを悠然と唄うマディに対抗して、荒々しいパワーがタイトなビートで炸裂しまくったロッキンな演奏で人気を博しておりました。ワイルド極まりないバンド・サウンドも凄いですが、何といってもウルフの容赦なく潰れまくったダミ声でしょうね。初めて聴いた時はスピーカーが壊れてるのかと、一瞬本気で思いましたもの。
「ロバート・ナイトホーク他/マックスウェル・ストリートの伝説」
戦後直ぐから60年代にかけてのシカゴでのブルースの盛り上がりというのは、上はマディ、ウルフといったスターから、下は市井の名もないブルースマンに至るまで、皆それぞれ優れた個性を持った人々が当たり前のように溢れていたということに尽きます。シカゴの名物通り”マックスウェル・ストリート”で路上録音されたコチラのアルバムをお聴きなさい。リアル過ぎるぐらいに生々しい、”まんま”のブルースが聴けますよ。
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2008/6/10
「2日目」
音楽、お店のことなど
【生活的過呼吸】
昨晩、一昨晩と「TONE JACK NIGHT」を観戦&参戦してきました。週末に至るまで、そして至ってからも実にバタバタで、自分が何をやっているのか、やろうとしているのかがサッパリ分からないぐらいの「生活的過呼吸」にアップアップしております。
さて「TONE JACK NIGHT」の前に、「だるま舎」でラーメンを食べてお出かけする、というのが日々の生活的(過呼吸じゃない)流れの中に絶妙にプログラムされてきておりますが、1日目
「焼き飯くださーい!」
「あいよ!」
「わーい、いただきまーす」
「嗚呼美味かった。あ、○○さんお疲れっす」
「お疲れ〜、あ、冷やしラーメン。大で・」
「しまった・・・もう始まってたのか・・・」
2日目
「冷やしラーメン大でお願いします」
ささやかなるリベンジに成功致しました次第でございます。美味い。
【そしてTONE JACK】
最近は純粋に「客」として出演者の皆様のパフォーマンスを見るのも楽しい訳です。
楽しく見ているうちに「ああ悔しい」という気持ちが募ってきて自分のパフォーマンスにも活かされるのか活かされないのか何だか良く分かりませんが、とにかく燃える訳です。1日目、2日目共に体調は絶不調、でも楽しいの。この「ココロと体のギャップ」が不思議ですな。しかし不思議でないよりは良いですはい。
【漢の後ろ姿】
です。以上。
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2008/6/7
「ブルームーズ=マイルス・ムード」
JAZZ、BLUESアルバム評
「マイルス・デイヴィス/ブルー・ムーズ」
(debut/ユニバーサル:UCCO−9303)
【パーソネル】
マイルス・デイヴィス(tp)
ブリット・ウッドマン(tb)
テディ・チャールズ(vib)
チャールス・ミンガス(b)
エルヴィン・ジョーンズ(ds)
【収録曲】
1.ネイチャー・ボーイ
2.アローン・トゥギャザー
3.ゼアズ・ノー・ユー
4.イージー・リヴィング
頭の中に「マイルス・デイヴィス」と打ち込んで画像検索をかけてみたら、暗闇の中で一人スポットライトを浴びている細身の男が浮かんできた。
男は背中を丸めてミュートを被せたトランペットを吹いている。その繊細なサウンドは、暗闇にいる我々を、スポットライトの中に一気に引き寄せる。気が付くといつの間にかスポットライトの中の男は、”背中を丸めてトランペットを吹く男のシルエット”になっている。
このマイルス典型的なイメージが、最初の一音が出てきた時からむくむくと沸き上がって、最後の一音が消えるまで頭の中で消えない作品がある。それが今日ご紹介する「ブルー・ムーズ」だ。
マイルスがまだ自己のレギュラー・バンドを持つ前の1955年に、先輩格のチャールス・ミンガスの肝煎り(借金のカタにミンガスのレーベルでタダ働きさせられた、というウワサもある)で行われたレコーディングに、クール・ジャズの代表的ヴィブラフォン奏者テディ・チャールズ、エリントン楽団出身で、ミンガスとの関わりも深いトロンボーン奏者ブリッド・ウッドマン、更に若手ドラマーのエルヴィン・ジョーンズという、一見どういう繋がりで集まったのか分からない多種多様なメンバーが入り交じったこのアルバム、多分ファンには馴染みが薄いものが多いんじゃないだろうか。
事実マイルスのアルバムの中でも話題になることはあまりなく、国内盤のCDの、オビにまで「マイルスの作品の中では比較的地味なアルバムだが」とまで書かれている始末。しかし、このアルバムから「もわぁ〜ん」と立ち上がる、何とも冷たく気怠い雰囲気の美しさはどうだ。暗がりに映し出されたマイルスのシルエットが、脳内で蜃気楼のように揺れ続けるではありませんか。
最近の私なんか「マイルスが聴きたいな」と思ったら迷わずコレ。「カインド・オブ・ブルー」も「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」も「イン・ア・サイレント・ウェイ」も「マラソン4部作」も後でいい。寝転がってトロ〜ンとまどろみながら聴く時に「あ〜、やっぱマイルスいいわ〜」とさせてくれるアルバムは、コレ以外にない。派手な曲、盛り上がる曲は一切なく、ペダル踏みっ放しのチャールズのヴィブラフォン、静かも黙々とリズムを刻むミンガス&エルヴィンのベース、ドラムスの上で、マイルスは淡々と吹いている。アドリブ・パートとて、トリッキーな面を一切出さず、慎重に慎重を重ねたような音の選び方で、音そのものというよりも音の隙間や消えゆくフレーズの余韻でマイルスは聴かせる。
超初期(つまりは自分のバンドを持つ以前)のマイルスといえば、割とポップなハードバップ・アルバムが多い。そう考えると終始一貫して”ひんやり”とした、いかにも「マイルスぅ〜!」な肌触りを持つこのアルバムは、例えば60年代の「カインド・オブ・ブルー」なんかに通じるストイックさを感じる。
「凄いねマイルス。この時代で既にあんな感じのクールな音世界を完成させてたんだ」と思っていたら、このアルバムのアレンジのほとんどは、テディ・チャールズによるものらしい。雰囲気で聴いて「いいなあ〜」となるのが一番正しい聴き方だが、深入りして「マイルスとクール派の関係」というキーワードを頭の片隅ででも意識しながら聴けば、より深く楽しめる奥深い作品でもあるのだ。
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2008/6/5
「はい、おはようございます」
音楽、お店のことなど
毎度毎度のことなんですが、5月6月7月8月9月というのは気が重いもんです。気温と湿度のアレで気持ちがアレになって激しくアレなんですよ。何のことやらおはようございますさのばびーっちずぶりゅー!(cラズウェル細木)。
・・・いや、もう今年はヒドイもんです。5月も相当憂鬱でしたが、6月は輪を掛けて憂鬱です。自分の中では「雨のせいだ」「暑いせいだ」等々諸々のクダラナイ思考がぐんるぐんるぐんるぐんる巡っておるのですが、それに伴って頭が回らない。無理をして回そうとするともうダメで、全く悪循環です。ごめんなさい、話題、変えます。
大河ドラマ「篤姫」を見ているのですが、コレが面白くないんだけど面白い、面白いんだけど面白くないという、まぁ不思議なドラマでありまして・・・。
私、幕末モノは基本的に好かんのですよ。何というか勤王志士とか新撰組とか、そりゃああのゴタゴタした時代にもの凄いエネルギーでもって世の中を何とかする原動力になったんでしょうけれどもね、それがドラマになってしまうってぇと何というか簡単に「青春」の一言で済ませてしまえみたいな乱暴な筋書きでもって出来上がりが実に汗くさくなってしまう。西郷どんも坂本さんも土方さんも適当に汗をかかせて眉間に皺寄せて「ぉおおおおー!!」て、叫ばせればいい。はい、志士と佐幕派の出来上がりね。みたいな通り一遍の書き方がまず気に入らない。正義の味方だって策謀巡らせて障子の影でニヤッとすることぐらいあったでしょうに。そこへいくと私は岩倉具視とか三条実美とか、ええ、もう好きでございまして。
と、考えておりましたら「篤姫」の何が好きかと申しますと、あの”水戸派”の方々、つまり水戸徳川斉昭、老中阿部正弘、島津斉彬、あと伊達宗城だか松平春嶽の人達が江戸城内で謀議をやっている場面が非常に宜しいですな。先週はいよいよ「何考えてるか分からない人」筆頭の徳川慶喜が出てきたし、井伊直弼なんかもこれからフィーバーするんでしょう。おじさまの、おじさまによる、おじさまのためのドロッドロのギットギトを、今後是非やっていただきたい。そう思うのであります。以上。あ、今日は音楽関係なかった(汗)
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