僕は映画が好きや。ただ、天の邪鬼なわけではないけれど、いわゆる”全米ナンバー1!”とかいう類いの映画はあまり見ない。
邦画が好きやけれど、洋画を観ないわけではないし、どちらもテレビCMなんかで話題先行したり、ドラマのやつを映画化したりしたものはあまり観ない。
先日、鶴瓶主演の「おとうと」を観た。
鶴瓶や蒼井優、加瀬亮という僕の大好きな役者が出ていたので、前々から観たいなぁと思っていた映画やった。
結果、吉永小百合を含めた錚々たる役者陣のすごさを観た映画やった。
僕は役者になりたいと思ったこともないし、演技のいろはも知らない素人やけれど、やっぱり映画では本物とニセモノがはっきりと出るなと再認識した。
2時間以上、大きなスクリーンで観客を引き込み続けるというのは、生半可な技術では不可能や。
下手くそな演技やと「今、映画を観ている」という考えが消えることがない。その映像を映しているスクリーンの存在を意識してしまう。
内容はともかく、「おとうと」は観ていて映画であることを忘れたし、あたかも自分もその場にいるような感覚を覚えた。
もう言っちゃうけど、内容は期待外れやった。
ただ、期待外れのストーリーでありながら退屈もしなかったし臨場感というか、どこにでもある兄弟の絆と兄弟の死を見ているという感覚やった。
それぐらい自然に、普通にある家族の日常を全員が演じきり、エンドロールが流れたとき、「そうや、これ映画やったんや」と、ものすごい衝撃を受けた。
巷では「忘れていた家族への愛を再認識した」みたいな感動コメントが多いようやけれど、こういうこと言うと鼻白むけれど、そんなもの忘れた日なんて一度もない。
反抗期に両親を疎ましく思った時期もあったけれど、それでも二人いる弟たちはかわいかったし、今でもかわいい。口に出して本人に伝えることはないけれど、世間の人ってそんなに分断された家族関係なんかなと驚いた。
あと、鶴瓶は映画の中で破天荒でいつまでも夢を見続けながら、何一つ達成できていない弟を演じている。
お酒を飲んで暴れて、親戚からのけ者扱いされて、それでも存在し続ける兄弟の絆みたいなもので多くの感動を呼んでいる。
ただ、僕は鶴瓶を全く他人と思えない感覚で映画を観ていたし、なんやったら臨場感ってのはもしかしたら自分を鶴瓶に重ね合わせていた部分もあったりしたり。(別に酒を飲んで暴れることはないけれど)
「映画やったんや」と思いだし、役者のすごい演技にひとしきり舌を巻いたあと、俺も映画の鶴瓶のような死に方するんかな、なんて考えながら帰った。

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