ガンパレードオーケストラ08話「未完成交響楽」 感想
今回の話、ロボットモノのアニメ作品としては少し地味でした。が、そもそもこの作品、主人公がパイロットでないということで、部隊全体の協調や部隊の成長・それぞれの行く末などをテーマに扱う場合には話として上手くまとまるし、説得力がついてくるんだと思います。事実、戦闘が全くなかった4話、7話に違和感を感じませんし、むしろ素晴らしい回だったと思います。それはスタッフが一番よく分かっているんでしょう。9話完結のシリーズで2話分戦闘なしという構成からもなんとなく分かります。
次回でいよいよ白の章完結。青森第四中隊の行く末はいかに?タイトルからも、戦いの終わりの果てに隊員達は何を見つけるのか、というのが見所の一つでしょう。
主人公石田咲良はこの部隊に赴任してきた時にはまだ戦いのことしか頭になかった。そして、”兵士として”、”指揮官として”の自分の成功のことで頭がいっぱいでした。士官学校時代から自分に厳しくし、幻獣との戦いに勝利することを目標に邁進してきたことから、それは無理もないことのように思えます。だが、いざ現場に赴くと、仲間同士の連携や信頼関係、部隊の戦闘力の不足など、予期せぬことで一杯だった。咲良はそれを、『今よりもっと頑張ること』で解決しようとした。そして、それに少なからず影響をうけた隊員たちも徐々に咲良に共感していく、というのが今までの流れでした。
今よりもっと頑張ることで問題を解決しようとしている咲良。そんな時、副隊長の彩華に「力だけでは解決することはできない」と忠告を受けます。この言葉は咲良に対して冷静に現実を見極める機会を与えたのだと思います。今回の話で咲良は「戦うために戦ってるんじゃない。守るために戦ってるんでしょ?」と言いました。彼女なりに、『戦闘力だけを重視した勝つことだけを考えた幻獣との戦い方』ではなく『自分たちの戦い方』を意識し始めたのだと思います。彩華に言われたことに対して徐々に答えを見いだしたのでしょう。そして、この言葉は、咲良が隊員に対して初めて訓練や軍務以外のこと、もとい思想的なことを言った言葉ではないでしょうか?7話までを見返してみると、咲良は隊員にたいして隊長として訓練や軍務のこと厳しく指導することはあってもプライベートなことを話したり聞いたりする機会がないことに気づきました。まったく話していないわけではないのですが、自分から進んで話していることはない。個人的に思うんですが、まだ咲良は他の隊員と本当に接していないのではないでしょしょうか。それは、咲良が社交的でないということではなく、彼女自身、隊員同士のプライベート上の関係は戦闘にあまり重要でないと考えているからだと思います。しかし、兵士といえども皆人間です。笑ったり、泣いたり、食べたりしてその日その日を営んでいる。戦争は兵士の戦闘能力で決まる。確かにそうですが、その大元の力は日々の何気ない生活の蓄積だと思います。心のやりとり、循環。宮沢賢治が言っている”心の食べ物”というものでしょう。とにかく咲良はそのへんが欠けていると見ていいですね。今回の話でこの中隊の前の隊長だった人の話を亜美と話したのはそれを補完する伏線でしょうか。彼はそんな心のやり取りをおざなりにして戦火に散っていったのではない。彩華が咲良に本当に言いたかったことはこの辺でしょうか。
戦いが終わって、または一区切り終わり、隊員たちが見出すことは多々あると思います。これは勝手な予想ですが、咲良たちが見出すこと―「苦しいその時々の中にも喜びや幸せや楽しさを大事にしていかなければならない。戦いの終わった平和な世界も重要なものだけれど、”今”も大切なものなのだから」というものじゃないのかな、と思います。この作品は夢や将来のことに悩む十代の少年少女に響くメッセージを贈っているのだと感じます。
―終―
まとめキャプ画

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