2012/1/24

捧げもの下  


ryui様へ。


捧げものの下が完成しました。




赤色(下)






「琉姉って綺麗な紅い髪だよね。伸ばしたりしないの?」
「・・・なんだよ、いきなり」


悠と黒羽の兄妹に(意識無かったが)連れてこられて3日経った


大分体の痛みは引いたけど、時折頭がズキズキと痛む
自分で髪を梳こうとしたのを黒羽にやんわりと止められて、今は黒羽が代わりに梳いてくれていた

「・・髪を梳くぐらい出来る。いい加減櫛貸せ」
「嫌」
「・・・・」
「琉姉の髪キラキラして綺麗だもの。だから嫌」
「お前な・・・」


黒羽は綺麗だ、って言ってくれるあたしの紅い髪
けど、あたしはこの紅い髪が大嫌いだ


優しかった母さんを思い出すから
あたしを見捨てて行った兄や、姉を思い出すから

あたしの『紅い』髪を見て殴るクソ爺や婆を思い出すから


「・・・琉姉?」


実年齢より遥かに大人びて見える黒羽の顔が、あたしの顔を覗き込んでいた
見てるだけで引き込まれそうになる強い意志を持った漆黒の双眸
でも今は少し不安そうに翳っていた

『あたしなんか悪いこと言った?』

そんな風だった。


「なんでもねえよ。・・・ところでお前ら「よー、琉。調子はどうだ」


あたしの言葉を遮って、あれ以来姿を姿を見なかった悠が襖を開けて入ってきた


「悠・・」
「兄、何勝手に入って来てんの・・?」

黒羽が眉間にしわを寄せる

「まあ、怒んなって黒羽。・・・・琉、お前少しの間なら頭痛いの我慢できっか?」
「・・・・・は?」
「ちょっと待て馬鹿兄貴。琉姉をどこに連れてくつもり?」

黒羽が相変わらず眉間にしわを寄せたままむすっとした声で聞く

「どこでも良いだろ。・・我慢できるか?」
「・・・ああ」
「琉姉!?」
「あたしも聞きたいことがあんだよ。丁度いい」
「決まりだな」

そう言うと悠は再び襖を開けて部屋から出て行った
何かあったらどうすんのよ、とか黒羽が言いながら追いかけて行ったけど、あたしはその声が聞こえなかったふりをした。










その日の午後、あたしは悠のバイクの後ろに乗せられて町が一望出来る高台に来ていた


「ワリ、煙草臭かったろ。・・俺の周りに吸う奴がいてよ。臭いが移っちまった」


バイクの後ろに乗った時に薫った、香水と煙草の匂い
どっちも嫌いな香りの筈なのに、不思議と嫌な感じはしなかった

「・・気にしてねえよ」


うっとりしてた、なんて口が裂けても言えねえ。


「そうか。・・・で、何が聞きたいんだ」

悠がバイクにもたれかかりながらあたしを見る
黒羽とは違う深紅色の瞳に、一瞬だけ、怯んだ

「なんで、あたしの家庭状況知ってた」

怯んだ様子を見せないよう、今まで感じていた疑問を悠にぶつけた

「秘密だ、と言いてえけど・・・そう睨むなよ」
「・・・・答えろ」
「仕事柄、な」
「どんな仕事だ」



答えによっちゃ殴ってやろう、そう思っていたのに



返ってきた言葉は


「・・・『独立暗殺部隊所属の幹部』」


・・・・は?
今、なんて?



「言ったろ、『一般人』を巻き込んだって。」

・・・そういえば。

(あ?・・・いや、一般人巻き込んじまったなぁ、と思ってよ)

確かに、そう言っていた


「ちなみにお前に絡んでた奴ら3人も『一般人』じゃ無ぇから。俺が逃げ出したあいつらを探しに来たんだよ」
「は・・・?」
「本来はあいつ等とっ捕まえてボスに引き渡す筈だったんだがなー」

悠が、はー・・・と溜息をついた

「んで、その三人見っけてよーしやるかってなったら、『ムカつくガキがいる』とかほざいてっし。んで急遽その『ムカつくガキ』を調べたらお前が出てきた」
「・・・・」
「一般人巻き込むのは俺のポリシーに反するからな」

そこでお前の家庭環境とか家族構成とか出てきたんだよ、と悠が言った

「それに、病院に連れて行っても安全かはわかんなかったからな。近い病院もあいつらの縄張りだったし。だから連れてきた」
「・・・」
「ま、巻き込んだのはマジで悪かったな。怪我もさせたし」
「気にしてねえよ」
「・・聞きたかったことはそれだけか?」

返事の代わりにこくん、と頷く

「そうか」

そのまま悠は黙り込む
その顔からは何もうかがい知ることは出来なかった


さぁ・・・と何処からか風が吹いて来て、あたしと悠の髪を揺らす


「・・・・そんなことより、お前は綺麗な紅色の髪してんなー。羨ましいぜ」

暫くの沈黙の後、悠がぽつりとつぶやいた

「・・は?」
「そのままの意味だが?」
「あたしはこの髪色が嫌いだ」
「なんで?」
「・・・嫌いなもんは嫌いなんだよ」

ぶすっとして答えるあたしに悠はふーんと答える


「俺は好きだぞ、赤色」
「なんで」
「そうだな・・・夕焼け、かな」
「夕焼け?」
「おう。例えようもねぇぐらい真っ赤な夕焼け。それだけで俺のモノクロの世界はフルカラーになる」

悠は自分の手の平を翳し見た

「殺すか殺されるかの殺伐とした空気吸ってりゃ、段々世界はモノクロにしか見えなくなんだよ」

だから俺は夕焼けが好きだ、と悠は続ける

「モノクロの世界に『赤』があるだけで随分違うんだぜ?真っ赤に染まる空、綺麗だしな」

と悠はこっちに顔を向けて笑った


「んだ、それ」



人を殺すことを厭わないような職業の人間がガキみてーに笑うな、と思うと可笑しくて、あたしはいつの間にか声をあげて笑っていた
悠は隣で不機嫌な顔になっていってるけど、あたしはずっと笑っていた

ひとしきり笑い、頭に重みを感じて顔をあげると、悠が不機嫌な顔しながらあたしの頭に手を乗せていた

「やっと笑ったな」

そう言ってぐりぐりとあたしの頭を撫でる

「お前可愛い顔してんだから、しかめっ面してねーで笑ってろ」


一瞬、なんて言われたのか分からなかった。

かわ・・、え、可愛い・・?


「・・・・っはあ!????」
「何その反応!?反応遅いし!しかも何でキレんだよ!!」
「いや、だって・・・」


ドキッとした
頭を撫でてくれてる横顔が格好良くて

自分で顔が赤くなるのがわかった

「おい、琉・・。顔が「うっせえっ!!」


照れ隠しにキレたあたしに、向うは多分気づいたんだろう

少し、意地の悪い顔になった

「(・∀・)ニヤニヤ」

「んだよ」
「ほんとお前見てると飽きねーわ。さて、帰んぞ。黒羽に怒られる」


確かに怒られるだろうな。
夕方までに戻る、と言って出てきたのに、辺りは少し薄暗くなってきていた

「琉」
「何だよ」
「俺が正体明かしたのは黒羽には内緒な?怪我に響くから」
「ああ・・」



悠が投げて寄越したヘルメットを被り、あたしは再び悠のバイクの後ろに跨った




********




あれから一週間。


怪我も治り、黒羽が作ってくれた食事で体力が戻ったあたしは悠と黒羽に礼を言った


「まあ、もう会うことは無ぇだろうけどよ、困ったことがありゃ来いよ」
「琉姉、あんま無茶しちゃ駄目だよ。私が言うのもなんだけど」
「ああ。・・・二人とも元気で」


ひらひらと手を振る二人に頭を下げて、あたしは歩き出す
そして、少しの間世話になった家が見えなくなって、ふと空を見上げた

「夕焼け・・・・」

日は既に遥か西の方へ沈んでおり、真っ赤に染まった空に鴉が1羽舞っていた


「・・・確かに、ここまで真っ赤だと綺麗だな」




赤色が、少しだけ好きになれた気がした。








おまけ


「・・・ってのがあたしの初恋っ」
「そうか、琉にそんな過去が・・・」
「まっね。けど初恋って叶わないしさ。良い思い出だよ。・・今はゆっきーらぶ!大好き!あいっらぶっゆっきぃぃぃぃっ!!」
「真田が聞いたら卒倒するな」

どんな奴だったんだ?琉の初恋の男って、ってかすがが顔真っ赤にしながら聞いてきたからつい語っちゃったぜ。

荒れてた時期のあたしが出会った人
とんでもないカミングアウトされたけど、今のあたしがちゃんとやってるのはあの兄妹のおかげかもしれない。

・・・・今頃何してんのかな。
あれから二年経ってるし。

(きっと元気にやってるよね。ね、悠、黒羽。あたしも元気にやってるよ)





Fin









あとがき





俺何書いてんだろうね。すみませんryui様ぁあっ(スライディング土下座
何勝手に初恋相手にしてんだよ・・。
けどタンデムで高台までデートであのセリフだと・・・惚れr(殴


なんか詰め込みすぎた感ありますが、よければ受け取ってください。


返品激しく受け付けておりますですよ!!!←
0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”