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あれから8日、いや10日は経ったが
未だ父さんと母さんは帰ってこない。
店は俺とルービーでどうにかやりくりしている。
俺は父さんから剣の使い方を小さい時から教わっていたから
ポポやモス、ケルビ、ガウシカ程度なら
なんとか狩ることが出来る。
採れた生肉やアオキノコとかでの料理方法は
母さんから教わっていた。
港からの食材が途絶えて、頑固パンやヤングポテト
その他の食材も底をつき始めていたから、
俺が夜になると狩りに出ていた。
そんなある日の夜、店が閉まって片付けも終わらして
一段落した時俺の頭の中に不安がよぎった。
・・・父さんと母さん・・・死んだのかも。
そんなはずがない。元腕利きハンターの父さんが死ぬはずがない!
俺は自分に言い聞かせていた。ルービーも同じだろう。
ルービーの顔はいつになく不安の表情になっている。
今にも泣きそうな顔だ。
店にある椅子に二人座り、
ただ押し黙って父さんと母さんの帰りを待つことしか出来なかった。
「父さんと母さん、遅いね。」
ルービーの声が少し震えているのがわかった。
「ああ、でも大丈夫だよ。きっと帰ってくるさ。」
なんの根拠もない答え方になってしまったが、他に答えようがない。
この重い空気を一変させたのが、1匹のアイルーだった。
突然、ガチャッと店の扉が開く。
そこには郵便配達の仕事をしてるアイルーが立っていた。
「ジェイド様とルービー様ですかニャ?」
耳がピンと立ってて目がパッチリしてるクリーム色のごく普通のアイルーだ。
アイルーの左手に丸められた紙を握ってることに気付いた。
「はい、そうですが・・・何か御用ですか?」
二人の重い腰がようやく動いた。
左手に持ってる紙を広げて、ルービーと俺に見せてくれた。
「・・・・!」
ルービーが声にならないような声を出すと、少しよろめき後ろずさった。
俺は気になり、手紙を読んでみた。
どうやらハンターズギルドから届いた手紙みたいだ。
書かれている文章に目を通していると
「・・・・!」
後ろにいるルービーを見ると、しゃがみこんで肩を震わせている。
ハンターズギルドは父さんと母さんが死んでしまったことを知らせるために
手紙を届けてくれたのだろう。正直、俺も信じられないでいる。
あの父さんと母さんが死んでしまうなんて思いもしなかったから・・・。
アイルーは手紙を俺に渡すとドアの前まで戻っていった。
振り返ってアイルーは言った。
「手紙の返事、考えといて下さいニャ。明日返事の手紙を取りにくるニャ。」
首を傾げている俺を見て、アイルーは店から出て行ってしまった。
父さんと母さんの事の他に、内容が書かれていた。
だが今は読む気にはなれなかった。
ルービーの頭に軽く手を乗せ撫でると、
ついにルービーは泣いてしまった。
俺も感情が抑えられず、涙が1粒、2粒、止まらなくなってしまった。
やっぱり死んでしまったのか、と心の中で呟き、
俺は椅子に戻ると同時にテーブルに顔を伏せた。
ただ、泣くしかなかった。
自分の気持ちや考えを整理するのでいっぱいだった。
ようやく落ち着いてきた時、ルービーに目を向けた。
まだしゃがみこんで泣きじゃくっている。
無理もない、父さんと母さんが死んでしまったのだから。
俺は手紙の続きがある事を思い出し、手紙を広げてみた。
・・・どうやらポッケ村という村に所属していたハンターが
いなくなってしまったみたいだ。
そのハンターの代わりが俺、というわけだ。
更に手紙の続きには、父さんと母さんを殺した火竜「リオレウス」には
左翼の翼爪が折れてるらしい。父さんが切り付けて出来た傷跡らしい。
ハンターズギルドで集結した他のハンターと一緒に狩ってた時、
他のハンターがそれを見たらしく
狩りに失敗して戻って来た時、ギルドの係員に言ってくれたそうだ。
もし俺がハンターになれば、
そのリオレウスを見つけ出し敵がとれるかもしれない。
妹のルービーのことも書いてあった。
どうやらハンターズギルドでの仕事はあるみたいだ。
正直二人でハンターになった方が良いのでは、
と考えたけど妹に危ない目に合わせたくない。
かといって俺一人でどうしろと・・・。
俺はどうすれば良いのか、正直まだ自分に自信がない。
当然剣術にも自信がない。
だけど、このままメソメソしてる暇もない。
ルービーの肩に手を乗せると、ビクッ!として慌てて俺の顔を見た。
「ルービー、この手紙の内容、全部読んだか?」
グシグシと溢れていた涙を手で拭って首を横に振る。
少し目が赤かった。
俺は手紙の内容をわかりやすく、簡単に説明した。
「父さんと母さんを殺したのは、リオレウスって言う火竜みたいだ。」
ルービーは、「うん」と少し赤い目で小さくうなずく。
「ポッケと言う村にいるハンターがいなくなってしまって、
代わりに俺がハンターになって欲しい、だってさ。」
ルービーはまた、「うん」とうなずく。
「ルービーはハンターズギルドで仕事が出来るみたいだ。」
えっ?とした顔をして俺を見ていた。
「私、お兄ちゃんと離れ離れになっちゃうの?嫌だよそんなの!」
わっと泣き出しそうだったルービーを力強く抱きしめた。
俺は力強くルービーの耳元で言った。
「大丈夫、離れ離れなんかじゃないよ。
俺はいつだって会いに行けるんだから。
会いたくなったら手紙を送ってくれれば良いさ。」
でも、と言いかけたけどルービーは力強く「うんっ」と言ってくれた。
俺はルービーに向かって笑ってみせた。
それに答えるかのようにルービーも笑ってくれた。
「お兄ちゃん、さっき来たアイルーに返事書いてあげないとね。」
ルービーはそう言うと、紙と木炭で出来た細い棒を持って来てくれた。
どこまでも気のきく妹だと思って、感心しながら妹を見ていた。
俺はハンター。
妹はハンターズギルドの仕事。
二人違う場所での生活になるけど、俺は寂しくなんかない。
妹が送ってくれたハンターの仕事を俺がする。
寂しくなったら手紙が来るだろう。
こうして、二人の長い生活が始まった。

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