素人小説なので……この挨拶も飽きたなぁ。寝る。
シグルイ見ながら書くような小説じゃあないよね。
[ 22 ]
2月14日。世界的に見れば、これだけ盛り上がっているのは極東だけである、この行事。ある男女は幸せになり、そして一部の男連中が結束する日。聖バレンタインデー。
そのイベントを前日にして、ネルは真剣に悩んでいた。机の上には、板チョコが一枚。
「……なじょすたらいがんべ……」
腕を組み、天井を見上げる。蛍光灯の紐が揺れている。
渡したい相手……それは、他ならぬ鏡音レン、その人である。しかし、若干十四歳ながら、双子の姉、鏡音リンと実力派の歌手として活躍する彼でもある。そして面識は一方的。
勿論、バレンタインデー当日には、彼の事務所に沢山のチョコレートやらプレゼントやらが届けられるだろう。直接渡そうとするファンも、当然いるだろう。かといって、自分もそういった人々の一人となるのは、いかがなものか。
「タイミング逃したら、駄目か」
頭の中に、先日のサイの言葉がリフレインする。ミクが心配してくれている。サイが応援してくれている。ハクは見守ってくれている。それでも自分は、一歩を踏み出せないでいる。その不甲斐なさが、皆に申し訳なかった。
しばらく時間が過ぎて、机の上のチョコが溶けかけて……ゆっくりと時が流れた中で、ネルは覚悟を決めた。
「やるだけ、やってみるか」
呟き、椅子を蹴って立ち上がる。一意専心、一念発起。やるときゃやるぞ。当たって砕けろ、神風特攻!
思い立ってからのネルの行動は早い。
まずは鍋に水を満たし、火にかける。充分に暖めてお湯にしたら、ボウルに板チョコを砕いて入れ、湯煎する。
「ってか、手作りって言ったって、溶かして固めるだけだしねぇ」
そう考えると、何だかモチベーションが低下してくるような気がして、ネルは思い切り頭を振った。臆病なココロを押し殺して、作業を続ける。
溶かしたチョコを型に流そうとして、ネルは少しためらった。今、流そうとしているのは、極普通の安易なハート型。しかし……普通すぎやしないか? 疑問が脳裏をよぎる。
それならば、と以前に買っておいて、まったく使ってなかったたこ焼きの型を取り出し、それにチョコを流し込む。そして、ある程度冷え固まったら、中央にくぼみを作り、そこにジャムを入れた。その上からさらにチョコをかぶせ、冷蔵庫に放り込む。
「これで、明日の朝には完成っと」
後は、当日に渡すだけ。その、渡すという行為が一番大事なのだが……まあ、なんとかなるだろう。吹っ切りがついたなら、いつものようにやるだけ。そう、ネルは考えていた。
[ 続く ]

0