> 正の3つの整数でできてた数列2、4,6、があります。このような数列を仮に「三つ組数」と呼びます。
> この三つ組数は、数字の並びに関するあるルールに従って作られています。あなたは、できるだけ早くそのルールを見つけ出してください。
>
> そのためにあなたは、正の整数三つからなる三つ組数を自由に作り、それがルールに従っているかどうか、出題者に質問することができます。質問した三つ組数がルール通りなら「イエス」、ルールに合っていなければ「ノー」と答えが返ってきます。
> あなたは、このイエス・ノーを手懸りにルールを推定していきます。 2,4,6、はこのルールにあっています(イエスです)。
> あなたは次にどんな三つ組数を作って質問しますか?
>
> ...どんな三つ組数を試してみましたか?
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> おそらく殆どの人は6,8,10とか、8,10,12、あるいは10,12,14といった数列で質問したのではないでしょうか?
> 答えは「イエス」です。ルールに合っています。
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> ちなみにその場合、あなたが考えたルールは何でしょう。「増加する偶数列」ですか、それとも「等間隔で増加する数列」でしょうか?
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> 後者を考えたのなら1、3、5や10、20、30、あるいは3,5,7と質問しているかもしれません。
> いずれにせよ、ここであげたいずれの三つ組数に対しても答えは「イエス」です。あなたも身近な人で試してみてください。殆どの人がこのいずれかのタイプの数列を挙げるはずです。
>
> さて問題はその次です。
>
> こうした三つ組数はいずれも問題のルールにあっていますが、肝心の、あなたの考えたルールは正解かというと「増加する偶数列」でも「等間隔で増加する数列」でもありません。正解のルールはもっと単純で、単に「増えていく数列」なのです。
>
> この問題はロンドン大学の認知心理学者のウェイソンが思考の研究のために用いたもので、この問題に取り組んだ殆どの人が、少なくとも一回は間違えたルールを答えてしまったと報告しています。
> しかし、この問題が心理学的に興味深いのは、答えが間違えてしまうからではありません。ルールを推論しようとするとき「どんな質問を考えたか(どんな数列を試してみたか)」というところに、人の思考の傾向がよく表れているからです。
>
> 殆どの人は、まず自分なりにルールを考え(仮説を立て)て、それを検証するために質問します。この仮説検証のパターンには「自分の仮説が合っていればこうなるはずだ」というように、仮説に合っている事例(正事例)を質問して仮説を確認しようとする傾向が強く出ます。逆に、仮説が正しければこうはならない事例(反証例)を出して確かめようとする人は殆どいません。このためにたいていの人は最初に誤ったルールを答えてしまうのです。
> 具体的に言えば、「増えていく偶数」という仮説を持った人は、そのような数列、例えば8,10,12を試して仮説を確認しようとしたでしょう。また「等間隔に増加する数」と考えた人は8,10,12や1,3,5、あるいは10,20,30といった数列を出した思います。つまり自分の仮説に一致する証拠を試してみて仮説の正しさを確認しようとしたはずです。
> これに対して、自分の仮説を否定する数列、すなわち等間隔ではない数列や、減少する数列を挙げた人はごく少ないはずです。
> この問題では、自分の仮説に否定的な質問ができないということが最大のポイントです。
「超常現象をなぜ信じるのか」菊池 聡
ある仮説が正解なのか、不正解なのか。
人は、どうしても
自分の仮説を支持する証拠だけを探して、自分の仮説が確からしいと確信してしまうのです。
上の例からもわかるように、自分の仮説が正しいかどうかを判断するために、本来やらなければいけないことは「どうやったら自分の仮説が正しくないと分かるか?」「仮説が正しければこうはならないはず」というところを突き詰める必要があるのです。
これは、前に書いた
反証可能性のチェックにもなるんですね。自分の立てた仮説について「仮説が正しければこうはならないはず」ということが思いつかなければ、それは反証不可能な仮説ということです。
つまり、確からしさがどれぐらいなのか?を確かめることができない仮説ということになります。
自分に有利な証拠だけを集めてしまう人間の性質を専門用語では「
確証バイアス」と言います。
人間がほっておけば間違ってしまう原因のひとつには、このようなこともあるわけです。
この間違いやすさに対抗するためには、このような人間の間違いやすさ、性質を
知ることが大事です。