ロンドンで暮らしていたエチエンヌに故郷から届いた1通の手紙。その内容は彼にとってとても信じられないものだった。兄は物置小屋の中にエヴァの姿を見たという。そして少女は密室状態の小屋から消え失せてしまったと。しかしエヴァは、既に16年前に死んでいるのだ。同じように密室状態の古城で、剣で刺され、眼を潰されて・・・。
”フランスのカー”と呼ばれるアルテの、デビュー作以前に私家版として刊行された幻の第1作です。ある登場人物の口から語られる13世紀の裏切り者の死を始めとして、不可能犯罪がてんこ盛り。メインの16年前の事件は本家カーの某有名作のバリエーションですが、見抜けませんでした。トリックも悪くありませんが、悪夢のような語り口や独特の結末を楽しむべきかもしれません。しかし○○は全て△△だった、っていうのは多用してないんでしょうか? アルテを読むのは『第四の扉』以来ですが、ちょっと心配。
本書はシリーズ・キャラクターのツイスト博士ものの短編3編を併録しており、なかでは『死者は真夜中に踊る』が事件の動機の意外性、ある小道具の使い方が秀逸で一押し。他の2編はいまひとつでした。毎年1冊づつ順調に翻訳が進んでいますが、本国での刊行ペースに全く追いついていないので頑張ってほしいものです(同じ翻訳家による怪盗ルパンシリーズの新訳もとまっているようで・・・。本当に全作出すの? 早川さん)。