「宇宙戦艦ヤマト2199についてつらつら考えてみる。」
ヤマト2199
2199では地球側から戦端を切ったように設定変更されているわけだが,どうにもこの設定にはなじめなかった。その違和感の元はなんなのか。
突き詰めて考えてみるに,これはすなわち第一話の沖田の態度と矛盾しているから,ということになる。
第一話で沖田はガミラスからの降伏勧告に対し「バカメ」と返信させている。
旧作であれば,戦端を開いたのはガミラス側なのであるから,いくら劣勢に立たされたとしても軍人の矜恃として降伏勧告に対して唯々諾々と応じる訳にはいかない。その態度表明としての「バカメ」は十分に理解可能だ。
ところが2199では「地球側から宣戦布告もなしに一方的な攻撃をしている」のである。ガミラスからは屈辱的とはいえ,平和的な「交渉」が打電されたにもかかわらず,である。
もちろん沖田が第一次遭遇戦について全く知らされていない立場の人間であれば,バカメはあり得る。だが,沖田は当事者である。
これではまるで強盗に入った家で取り押さえられ,おとなしくするように言われた強盗従犯が「バカメ」と言っているのと等しい。また,地球帰還時の独白でガミラスを「悪魔」呼ばわりしている訳である。
これではまるで沖田はこそ泥の小悪党だ。
※地球側からの開戦を設定するのであれば,沖田の返信は「貴君らの厚意には感謝するが,我々とて母星を背負って一軍を任されている身である。唯々諾々と恭順するわけにはいかないので,理解されたい」などでなければならないだろう。
ではなぜ,こんな設定が追加されたのか。
13話でシーガルの出撃を禁止された古代が,出撃禁止命令に対して「自分の判断で出撃」するためか。
だが,ちょっと待って欲しい。
そもそも古代はそれほど命令に従順な人間だったか?
第一話では「待機命令」を無視して病院区画まで沖田に会いに行き,出撃命令もない上に触ってはいけないという「接触禁止命令」を無視して非武装のコスモゼロで出撃している古代が?
「そっくり」と評される兄が,メ号作戦において帰還命令を無視して殿をつとめた古代が?
これまでに描かれた古代ならば,真田がどういう命令を下そうが「迷わず」シーガルで出撃しているはずである。なぜなら「古代はそう言う奴」だからだ。
ならば,「地球側が宣戦布告をせずに一方的に開戦した」などというクソ設定は「全くの蛇足」にしかならない。
逆にいくら命令だからと言って,実力のほども解らない未知の敵に対して一方的に攻撃を加えた島の父親,大悟こそが「ヤマトキャラとしての資質」に問われることになる。
2199の脚本家は「沖田や古代,島」といった主要キャラクターを「全く」理解していないと言わざるをえない。
ガミラス側ばかり「バカ丁寧」に描いている場合ではない。まずは「主人公」が描けて初めて敵の描写が生きるのだ。
主要スタッフはすぐに第一話から,地球側キャラクターだけを通してみてみるべきだ。それで「これまでの描写に問題ない」と思うのであれば,アニメーション制作をやめるべきだろう。
全く資質に欠けると言わざるをえないだろうから。

1