20代・30代の頃は、
毎年、夏に2週間くらい山に入っていた。
その頃、よく読んでいたのが、
新田次郎の山岳小説。
「孤高の人」を皮切りに
「栄光の岩壁」「銀嶺の人」「槍ヶ岳開山」……。
そのうち「聖職の碑」「八甲田山死の彷徨」は、
随分前に映画化されていた。
そして、今回、「剱岳 点の記」が、
カメラマン木村大作の監督で映画化された。
さっそく、封切りの日に観に行った。
とにかく凄い。
少し山をかじっただけのぼくにも、
役者やスタッフの凄みは充分すぎるくらい伝わってくる。
雪崩の場面、滑落の場面、吹雪の場面、
そして、鮮やかに滑り降りるグリセードの場面、
どれをとっても、特撮・CGなしの撮影という。
どれだけ大きな讃辞を送っても足りないと感じる。
CGや特撮に頼らず、実写で撮ってこそ、
人間の本質に迫る絵が撮れると信じているぼくには、
言葉にならないくらい嬉しい。
もちろん、浅野忠信や香川照之の演技力については、
今更述べるまでもないが、
改めて、香川は日本映画史上最高の役者だと再認識した。
そして、仕事は、名誉や名声や金銭欲なんかじゃなく、
己の誇りが支えていることを心に刻み込めた気がする。

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