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2009/10/6
「スパルタの海」
ラッパーのNASが、あのジャズ・ミュージシャンのOlu Daraの息子だというのを今頃知った…。かなり衝撃。
ABSOLUTIONのボーカルの黒人があの
Djinji Brown
で、しかもMarion Brownの息子だった…ってのを知ったのと同じぐらいの衝撃(…ってのをTwitterに書いた後に気づいたんだけど、Djinji Brownって
Word Soundからも出してた
んですね)。
Olu DaraはDavid Murrayらとよく共演していたロフト・ジャズの重要人物で、彼の参加しているレコードはけっこう持っています。
ちなみに最近はジャズにとらわれない音楽性でソロ名義で作品を出したり、息子のNASと共演したりもしてるようです。
NASのこの父子共演ビデオ↓もかなり前に観てて、超かっこいいなと思ってたんですが、まさかその父ちゃんがOlu Daraだったとは…。
コルネットを吹く姿がかっこ良すぎ。
†
ザック・スナイダーの『300(スリーハンドレッド)』。DVD出た当時はスルーしてたけど、『ウォッチメン』が素晴らしかったし、友達が良かったと言っていたので観てみた。
こりゃ現代の歌舞伎ですね。新しい様式美芸術の創造。
スパルタはギリシャ諸都市連合のポリス(都市)のひとつだったわけですが、国民皆兵制度をとっていて、市民は全員プロの軍人。農業なんかの労働は奴隷にさせる。市民の子がある年齢になると親の手から離して、国が軍事訓練を施して戦士に育てる。虚弱児なんかが生まれると、山奥の洞穴とかに棄てちゃうわけです。まさに究極の戦闘国家。
ハインラインが『宇宙の戦士』で描いた未来社会はこのスパルタを理想としてるんでしょう。
映画は有名なペルシャ戦争の「テルモピュライの戦い」を題材にしてるわけですが、何しろコミックが原作なので、基本的には荒唐無稽。
ただ、当時のアケメネス朝ペルシャは金貨を鋳造していたので金貨を持っていることが裏切り者の証になるとか、スパルタでは女性の地位が意外に高かっただとか、何げに史実を踏まえた設定も生かされてて面白かった。
しかし障害児として生まれて棄てられて山奥で育った男が、戦士にしてくれと言うんだけど断られて裏切り者になってしまうあたりとか、ラストの「暴君と神秘主義者と戦え!」というアジテーションとか、結構ミもフタもなくてヒドいなとも思いました。ペルシャ=今のイラクですからね…。モロ過ぎでしょ。
ちなみに当時イラクに住んでた人たちは、今とは別の民族だったっぽいです。
黒人に近かった
のかな?ペルシャ王クセルクセスが黒人なのも、そういう史実を踏まえているのかも(衣装とかはめちゃくちゃだけど)。
作中で描かれていない史実としては、スパルタ軍の玉砕の後、それによって時間稼ぎができたおかげで、ギリシア艦隊がサラミスの海戦でペルシャを破るわけです。
しかしスパルタというとどうしても
戸塚ヨットスクールと石原慎太郎が浮かんできてしまう
ので、最後まで主人公たちには感情移入できなかったな…。
でもスパルタの戦士たちのあの筋肉(CG…?)には憧れる。男だったら映画観終わった後、筋トレしたくなるはず(笑)。
†
『300』を観ていて、なんとなく大昔にNHKでやってたBBC制作のドラマ『マハーバーラタ』みたいだなあ、と思って調べたら、YouTubeに上がっていた!
ジャン・クロード・カリエールの戯曲をピーター・ブルックの演出で映像化したものだったんですね。ドラマは1989年に制作されたものらしい。
非常に格調の高い映像で、当時、若造ながらに感銘を受けたものです。…まあストーリーの意味は全くわからなかったんですが…。
この戯曲、上演するとなんと7時間に及ぶ長大なものらしい。さらにこの映画化バージョンは9時間もあるらしい(!)。
全く凄いものを作って放送したもんです。
実際、『300』も全てスタジオで撮影して、セットなどもほとんど組まずにCGで作り込んでいるらしいので、見せ方が演劇的なんですよね。
そういうところが面白かった。
†
映画と言えば、すごく期待していたジョニー・トーの『エグザイル/絆』を観たんだけど…正直全く良いと思わなかった。
この人の作品は、やっぱり『
エレクション 黒社会
』で衝撃を受けて観始めて( 『黒社会2』早く観たいなー)、その後『ブレイキング・ニュース』や『デッドポイント』などの警察ものも観て、そっちはそっちでまた別の魅力があって好きなんですが、『ミッション 非情の掟』はそこまでグッとこなかったんですよね。いわゆる「香港映画」然とした『男たちの挽歌』系のガンアクションと兄弟仁義。
で、観始めてわかったんですが、この『エグザイル』はその『ミッション』とキャストと役柄がほとんど全く一緒なんですよね。実質的な続編と言ってもいい。
それでも『ミッション』の時は、ボスの自宅の警備という地味な使命に沿って登場人物が動いていたり、共同生活をシニカルに描いたりで、リアリティもあってそれなりに面白かったんだけど、『エグザイル』はそういう要素さえ全くない。登場人物の行動の動機もろくに描かれない。
ただ荒唐無稽なガンアクションと演出が脈絡なく続くだけ。完全にマンガ。
ジョニー・トー作品には「好きで作ってる非商業的な作品」と「その制作費を稼ぐために作る商業的な作品」の2種類がある、ということがよく言われるんだけど、どう考えても『エレクション』は前者で、『エグザイル』は後者だと思うんですよ。でも自称ジョニー・トー・ファンは、実はどっちがどっちかわかってないんじゃないか。
『エグザイル』を異常プッシュしていた日本の映画宣伝マンや自称ジョニー・トー ファンは、ジョニー・トーの本当のヤバさを実は理解してないんじゃないだろうか。 『エレクション』を絶賛したカンヌの欧米人の方が、よっぽどわかっているんじゃないかと思う。
俺が配給会社の人間なら、『エグザイル』なんて無理な題名をつけてまでこの作品をプッシュするヒマと金と情熱があったら、どうにかして『黒社会2』を買いつけに行きますけどね。
amazonのレビュー
が絶賛ばかりじゃなくてホッとしたけど…。
†
●ジョージ・A・ロメロの隠れたパニック・ホラーの秀作『
ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖
』がなんとリメイク!
2010年公開だそうです。
The Crazies (2010) Trailer [HQ]
傑作の予感。
†
なぜかビートルズの「Let it Be」が流れまくる、映画『悪霊島』予告編。全然怖くない…。
ガキの頃、「鵺の鳴く夜はおそろしい…」のキャッチコピーに震え上がった記憶があるんだけどなあ。
なんでも、最近のビートルズ音源リマスタリング再発のブームに乗って、サントラが再発されるみたいです。
便乗し過ぎだろ…。
†
●
川村カオリ インタビュー
なんだかんだでよく知らない人だったんですが、色々あったんですね…。
そういえばこないだうちの近くのコンビニにSOBUTモトアキが来てました。まさかご近所さんだったとは…。
連れてたかわいい女の子が川村カオリの遺児なのだろうか?
†
マイアミ在住のタトゥーアーティスト、
Scott Campbell
のサイト。
タトゥー畑の人がタトゥー以外のものやると面白い (↑ の「ART」のところを見てください)。
どんなジャンルでも自分の「線」を持ってる人は強い。
投稿者: banchou
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投稿者:banchou
2009/10/11 22:59
コメントありがとうございます。
まあ所詮好き嫌いというか、その映画を事前に勝手に何を求めて観るか、の違いですので、議論する気はありません。
ただ、僕にとっては『エレクション 黒社会』も『300』も、たんなるジャンル映画の枠を破り出るようなものだからこそ評価しています。
ジャンル映画的な楽しみは確かにありますし、僕も往年の香港映画などは完全にそういう視点で観ます。
しかし『エレクション』でジョニー・トーに入った者としては、彼にはどうしてもそうではないものを期待してしまうのです。
『PTU』も『エグザイル』路線なんですか(どうもそうは思えないので観ようと思ってたんですが)。もしそうならたぶん観ないですね。
また、『300』も『ウォッチメン』をマンガ的だとおっしゃいますが、それは全く否定しませんし、そもそもあの2本はマンガ映画です。
しかしマンガでしかできない抽象的、象徴的な表現を十二分に追求した傑作でもあるとも思います。
『エグザイル』には、そのどちらの良さもなかったと思います。
投稿者:驢馬賭DE弐瑯
2009/10/10 13:15
連投すみません。
>「エレクション」も香港ノワールの世界観とガンアクションの様式美を〜
「エレクション」でなくて正しくは「エグザイル」でした(汗)
http://redhotchilipeppersfan.g.hatena.ne.jp/robatodenirou/
投稿者:驢馬賭DE弐瑯
2009/10/10 13:12
はじめまして。ちょくちょく覗かしていただいてて、大変刺激を受けております。
読みずらいHNですが「ろばとでにろう」ともうします。名前の通り、映画好きです。
ジョニー・トー、大好きな映画監督です。
「エグザイル」も大好きです。
ラストのガンアクションなんかは、あまりに懲りまくってて「この人ホントに見せ方巧いなぁ」って、映画館で観てて笑っちゃいました。「300」を新しい様式美芸術っておっしゃってますけど、「エレクション」も香港ノワールの世界観とガンアクションの様式美を堪能できる映画だと思ってます。映画オタク(とくにアクションやノワールといったジャンル好き)には堪らないんです。
むしろ、CGばりばり使ってただ原作なぞってるだけに観える「300」や「ウォッチメン」の方が、僕にはマンガに観えました。ザック・スナイダー自身、コミックオタクですし。
あと、「ミッション」の後「エグザイル」以前に同傾向の「PTU」ってのを撮っていて、ジョニー・トー自身「PTU」が一番のお気に入りと語ってたこともあります。僕は「PTU」はあんまりなのですが・・・
それに「エグザイル」は脚本は監督の頭の中にしかなくて、現場で初めて「今日はこういうシーン撮るから」と監督がスタッフ・キャストに伝えて撮影したそうで、殆どが即興なんです。だから「エグザイル」は「ミッション」と同じ配役なんです。こちらでそう応えてます。
http://eiga.com/movie/53986/special
http://redhotchilipeppersfan.g.hatena.ne.jp/robatodenirou/
投稿者:banchou
2009/10/7 14:59
>ペルシアでは女性が差別されてるけど、スパルタではそうじゃないことが強調されていた
あれもよく考えると「イスラム圏では女性に自由がない」みたいなのと繋げてるんでしょうね…。
『ドーン・オブ・ザ・デッド』も『ウォッチメン』も良かったですが、閉じた芸術品としていちばん完成度が追求されてるのは、何げにこの『300』かな、とも思いました。
逆に言えば行き詰まってますよね。笑
だからこそもっと外側に出ていくベクトルを持った『ウォッチメン』を撮ったんでしょう。
投稿者:yukio
2009/10/7 11:33
はじめまして。いつもブログ楽しく読ませて頂いている者です。
300のラスト「暴君と神秘主義者と戦え!」ですが、当時劇場で観ていて、僕もズッこけた記憶があります。なんで誰も指摘しないのか、今まで不思議に思っていました。
あと、ペルシアの使者がスパルタにやってくるシーンで、ペルシアでは女性が差別されてるけど、スパルタではそうじゃないことが強調されていたのも、印象的でした。
「ウォッチメン」は誠実に映画化してる思いますが、僕は原作があまりに凄すぎるので・・・
個人的には、ザックスナイダーは映画デビュー作のリメイク版「ドーンオブデッド」がいちばん好きです。
http://lonblo.blogspot.com/
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