こんなドキュメンタリーがあるんですね。
観たいけど、レンタルはなさそうだし、DVDは高い。ヤフオクにも出てるけどこれも高い。YouTubeにも上がってない。…でもボーナス出たら買おうかな。
監督のカーマ・ヒントンの父親は
ウィリアム・ヒントンというアメリカ人ジャーナリストで、中国共産革命の一部始終を見つめた外国人だった。毛沢東を信奉し、文化大革命の現場を目にしても、中国共産党支持の姿勢を変えなかった人。そのヒントンも、天安門事件では中国の体制に失望した。
そういう人の娘が作ったドキュメンタリーだから、かなりニュートラルで冷静な立場で事件を描いているだろうことが期待できる。
普段amazonのページにリンクを貼ることはないんだけど、カスタマーレビューを読めば内容がだいたいわかるので、
例外的に紹介。
「…1989年に起こった天安門事件は世界の注目を浴びたが、その経過、原因などの詳細については限られた情報しか外部には知られていなかった。天安門広場の民主化運動に直接参加した学生運動の指導的学生、労働者、教師、知識人などのインタビューと当時撮影されたビデオを基に、3時間を超える記録として纏められたもの。インタビューを受けた当事者は国外に逃亡したものを除き、ほとんどは事件後逮捕され投獄されている。勿論政府側にインタビューはなく、一方の記録に偏ってはいるが、政府内部の改革派と保守派の権力争いが、矛盾する人民日報や政府発表などを基に推測されている。…」
「…当初は学生だけの抗議に始まり、労働者や市民も巻き込んだ大規模集会に発展したが、やがて学生内の分裂で弱体化し、最後は人民解放軍によって鎮圧されて行く経過が時間を追って描かれている。」
「学生たちの要求した「民主化」は、趙紫陽ら共産党内改革派を動かし一定の成果を得た。これが引き際の第一のチャンスであった。6/4の虐殺前、「人民解放軍」が北京に集結した段階が第二のチャンスだったろう。しかし実際に解散が決められたのは、広場に進軍する軍によって多くの人たちの命が失われた後だった。 …」
「…人命や人権を軽視する姿勢は、学生リーダー側も変わらない。「民主化獲得のためには、流血は避けられない。むしろそれが政府や世間の関心を引く契機となる」と外国メディアのインタビューに答えるリーダーもいる。…」
「…流血こそが共産党政府の本性を暴きだし、人民を覚醒させ、中国を変えるのだという柴玲の言葉は空しい。「学生たちに流血のために広場に残るんだとは、思っていても言えない」と泣きながらインタビューに答えても、民主化運動の指導者としてはヒロイズムに酔ったあまりにも極端な戦術を取ってしまったと感じてしまう。言論の自由がなく、解散しても処罰は免れないという事情を前提としても。 …」
「…そのうえ、意見の相違や知名度の獲得競争を原因に、中央執行部は分裂していく。自分たちの運動を支持・支援してくれた学生・市民に多大な犠牲を出したにもかかわらず、学生リーダーの多くは事件後、海外に亡命している。問題提起はできても、支援者の安全を守りながら、一定の成果をあげ、終結に導くだけの責任感や力量は欠如している。その中で、王丹は、自分の見通しが甘かったことを反省しながら、支援者や友人たちの側にいたいと、北京に留まる選択をする。
王丹、柴玲、ウーアルカイシのリーダーとしての言動を比較しながら見ることは勉強になる。… 」
「…後もうひと押しがなせなかった大きな原因は「指導者」にあると私は感じた。指導者があまりにも小粒過ぎたのだ。周りの人達のために自分が命を張ることはバカバカしいとか、途中で逃げて雲隠れしようとして一度は決心したが結局翻意したりとか、内輪もめに力を注いだりとか…明らかに指導者の器ではない。結局、指導者は事件後に国外逃亡。「逃げた」というのが正鵠を射ている表現だろう。
一方で当時の指導部の中には中国国内に残って政府と闘い続ける者達もいた。そういう者達が指導部のトップに立てていたのなら、結果はまた違ったかもしれない。 …」
ウーアルカイシと言えば、最近マカオで拘束されて台湾に強制送還されてましたね。
彼についてはただ無責任でダメな奴というイメージが強くて、僕の中では長年、天安門の民主化運動の甘さのひとつの象徴的な存在になっています。
→
カーマ・ヒントン監督インタビュー。非常に奥行きのあるものになっているので是非。

DVDのジャケット裏面。
[追記]
YouTubeに
ありました。見にくいけど一応英語字幕付き。(←のリンクから連続再生されます。)
†
先日取り上げた『映画芸術』のサイトで連載?されている、荒井晴彦氏による「映画×歴史講義」が面白い。
その第二回はちょうど『
天安門、恋人たち』という2006年の中国映画を取り上げている。
「…観て思ったのは、天安門事件がスタートじゃなくて、結果なんだと。改革開放がどんどん進んで学内も自由なるんだけど、思想や政治の自由がなきゃ欲望だけ肥大しても淋しいよという話じゃん。欲望の赴くままに、あんな狭くて汚いベッドでセックスしてさ。観終わった後に、なんて淋しい映画だろうと。つまりあの女が中国なわけだ。観念的に、改革開放や今の赤い資本主義の在り方を批判しているんじゃないのかな。…」
「…実際、指導した学生の連中はフランスやアメリカに亡命しているわけ。それを直接描くことができないから、留学という設定にしたと思う。学生指導者を十年後にインタビューした「『天安門』十年の夢」(新潮社)という本を読むと、ニュースに映っていた学生指導者の王丹や柴玲たちは、即亡命OKで金も貰って優遇されているらしいよ。柴玲なんてただの操り人形だったのにさ。逆に、理論的にもしっかりしていたヤツは、今もパリの似顔絵描きとかで苦労してるんだよ。この本には、「反ストの書」を誰が書いたのか喧嘩になったとも書いてある。柴玲はほとんど文章能力がないから、ベッドに入る前に「私が書いたことにして」と言ったらしいね。実際に「反ストの書」を書いた張本人が証言していて、あのへんはおもしろい。…」
「…――天安門事件について、当時の荒井さんはどう見ていました?
荒井 共産党内の改革派と保守派の権力闘争だと思ってた。趙紫陽が広場の学生たちに会いに行って解任されたのもそういうことでしょ。趙紫陽は学生パワーを改革に利用しようとして、トウ小平は文革の再来かと恐れた。…」
「…寮の雰囲気は俺たちの頃の大学と近い。ヤッて、デモして、なんだ俺たちと一緒だと。いわゆる「68年革命」は社会主義、共産主義を目指した「革命」だったけど、89年の天安門は逆でしょ。革命をやった側からすれば反革命、あるいは革命の革命だ。それに、天安門の運動自体は「自由と民主主義」だけで、大した理論武装もしていない。あの映画見ると、アメリカに対する憧れだったのかと思った。そりゃあ、トウ小平も怒るよ。…」
†
天安門事件から20年を迎えた中国関連のニュース色々。今年に入ってからでもこれだけあります。
●
中国が世界2位の軍事大国に 日本は7位
「…スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPAI)は8日、08年の世界各国の軍事力に関する年鑑を発表した。軍事費では中国が初めて世界2位になった。
08年の世界の軍事費の総額は1兆4640億ドル(約144兆円)で、前年より実質4%伸びた。
1位は米国で世界全体の42%を占めた。2位は中国で849億ドル。以下、フランス、英国、ロシアと続いた。上位5カ国で世界全体の6割を占める。過去10年間では特に中国とロシアの伸びが著しく、3倍近く増加している。日本は7位だった。
年鑑は中国の軍事費拡大について、人件費の増加と、高度に情報化された現代の戦争に備えて、兵器や装備のハイテク化に力を入れているためと指摘、「経済成長にほぼ比例し、大国化への強い切望とも関係している」とした。
一方、核兵器については、米ロ仏英中にインドとパキスタン、イスラエルを加えた8カ国が計2万3300発以上の核弾頭を保有、うち使用可能な核弾頭は8400発ある、と分析している。 …」
●
中国、初の原潜披露 14カ国の艦艇招き国際観艦式
「…中国海軍は創設60周年を迎えた23日、青島市沖の海上に米国やロシアなど14カ国の艦船21隻を招き、初の国際観艦式を開いた。原子力潜水艦2隻が初めて公開され、外洋進出に力を入れる海軍力を内外にアピールした。
お披露目されたのは、新型の戦略原潜「夏」型と、攻撃型の「漢」型。最長で射程が8千キロの弾道ミサイルを搭載でき、日本周辺海域などで監視活動を活発化させているとされる。
観艦式では、駆逐艦などを含めて艦艇計25隻と、爆撃機や偵察機など31機の航空機が、胡錦濤国家主席(中央軍事委主席)が乗った駆逐艦「石家荘」の前を約1時間かけて通過した。
式には米国のゲリー・ラフヘッド海軍大将、日本の加藤耕司・海上幕僚副長ら29カ国の代表団が招かれた。尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権問題などを抱える日本は、艦艇は招かれなかった。
観閲官を務めた胡主席は「中国は現在も将来も覇権や軍事拡張路線をとるつもりはない。平和で調和のとれた海洋を築くために、各国海軍との交流を進めていきたい」と、あいさつ。国際協力の姿勢を前面に打ち出すことで、国産空母建造などで高まる「中国脅威論」を打ち消す狙いがうかがえた。 …」
●
中国、原子力空母2隻計画 20年以降、西太平洋に展開
中国軍が2020年以降、同国として初めてとなる原子力空母2隻の建造を計画していることを軍関係者が明らかにした。今年から通常型空母2隻の建造を始めることがすでに明らかになっているが、原子力型は燃料補給せずに長期間移動できるため、遠洋への本格展開を目指す動きとして注目される。
中国軍関係者によると、北京で08年12月30日に開かれた軍主催の内部検討会議で、軍幹部が「海軍は09年から空母建造を本格的に始める」と説明。電力制御システムの部品は国内での製造をすでに始め15年をめどに2隻の通常型空母を完成させることを明らかにした。20年までに運用体制を確立し、沖縄、台湾、フィリピンなどを結ぶ防衛ライン「第1列島線」を越え、沿岸防衛からの脱却を目指す。
これに加えて建造を目指す原子力空母2隻はいずれも6万トン級の中型艦。旧ソ連が建造を中断した原子力空母「ウリヤノフスク」の設計図をすでに入手しているといい、開発の参考にするとみられる。
中国軍は将来的には日本列島からグアム島、インドネシアに至る「第2列島線」内の西太平洋海域の制海権を確保したうえで、インド洋や太平洋全域で米海軍に対抗することを目標に掲げている。同関係者は「今年から造る通常型2隻は布石に過ぎない。原子力型は建造や運用に膨大な費用がかかるが、我が国の経済発展のペースを考えれば大きな障害にはならず、さらに多くを建造する可能性もある」と述べた。
1月20日に発表された中国の国防白書には初めて「遠洋での作戦能力向上をめざす方針」と明記されたが、空母には触れていない。しかし、空母建造のため海軍は専門部署「048事務室」を開設。海南島三亜の亜竜湾では、弾薬などを貯蔵する地下トンネルを含め、空母の母港機能を持つ埠頭(ふとう)の建設に着手している。
現在、原子力空母を保有するのは米国のほかはフランスだけだ。中国が機動力の高い原子力空母を含む将来計画を具体化させるにあたり、日本や東南アジアの周辺国だけでなく、米国も警戒を強めるのは必至だ。
●
中国の空母造船工場、上海に完成 5万トン級建造可能
「…中国軍が初の国産空母の建造を予定している上海・長興島にある造船工場が完成し、稼働態勢を整えたことがわかった。香港を拠点に活動する中国の軍事動向に詳しいシンクタンク「漢和情報センター」が確認した。大型クレーンのほか、溶接に必要な大型発電機や酸素供給装置が完備されており、いつでも建造に着手できる状態だという。
同センターは、長興島で空母建造を計画している「上海江南長興造船」工場内部の写真を東欧筋から入手。欧州の軍事・造船専門家らに分析を依頼した。約600トンを牽引(けんいん)できる大型クレーンが配備されており、5万トン級の中型空母が建造可能。クレーンの配置から、高度な技術が求められる船体を分割した製造法が採用されると分析している。
ドックは約350億元(約5075億円)かけて整備され、作業員用の集合住宅も周辺にできた。出入り口を武装警察が厳重に警備しており、一般の人間は入れない。
同センターの平可夫代表は「米国などの水準に匹敵する高度な技術を持つ大型工場だ。中国軍が近く正式発表する可能性が高い」とみる。…」
●
中国の億万長者82万人 最多の北京、113人に1人
「…資産が1千万(約1億5千万円)以上ある富豪が中国には82万5千人いる――。中国の民間の研究機関「胡潤百富」が15日に発表した調査で、こんな結果が出た。都市別では北京が最多で113人に1人の割合。中国都市部を中心とした購買力の高さが裏付けられた形だ。
胡潤が個人の投資金額や納税額、車や家の購買状況などをもとに算出した。富豪は大都市に偏っており、1位の北京は14万3千人で全体の17%。2位の広東省(13万7千人)、3位の上海(11万6千人)の3地域で、ほぼ5割を占めた。富豪の割合は、中国全体では約1700人に1人だった。
資産には株式のほか近年、値上がりの著しかった不動産も含まれるという。
胡潤によると、同規模の資産家の割合は英国が150人に1人、米国が100人に1人で、北京や上海は肩を並べた形。今回の調査に協力した人の8割は、金融危機後も生活に大きな影響はなかったと答えたという。
一方、資産が1億元(約15億円)以上ある大富豪は中国全体で5万1千人にのぼった。…」
●
中国・インド回復早く、欧米は深刻 内閣府が経済見通し
「…人口が増え消費が堅調なインドや中国は回復が早く、金融危機の傷が深い欧米は厳しい――。内閣府はこんな世界経済見通しを公表した。欧米の不振は深刻で「回復のテンポは緩やか」として、世界経済の10年の実質成長率は1%程度にとどまると予測する。
海外の経済機関などは、世界経済の実質成長率が09年は戦後初のマイナスに陥り、10年に回復すると見ている。同年の成長率については、見方が割れる。
中国は4兆元(約60兆円)の経済対策で、09年初めから国内投資が回復。農村部で家電などの需要が多い。都市部との格差が縮まれば、さらに農村部の消費が拡大し、09年後半の景気回復を見込む。中国経済の回復がアジア全体を引っ張るとみる。
インドも現在約12億人の人口がさらに増加傾向。輸出依存度が低いため世界不況の影響が比較的小さく、個人消費も堅調だ。
一方、アメリカは国内総生産(GDP)の7割を占める消費が低迷。金融機関の不良債権も急増している。金融危機対策で政府が用意した7千億ドル(約70兆円)の公的資金も、金融大手への資本注入や自動車大手への支援に使われ、残りは少ない。10年に景気は持ち直すが、勢いは弱い。
欧州では、経済危機が深刻な東欧向けの不良債権がドイツなどの金融機関で急増。金融危機の火種が残る。景気回復は10年後半となりそうだ。 …」
●
GM、「ハマー」売却で中国企業と暫定合意
「…米連邦破産法11条の適用を申請した自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)は2日、「ハマー」ブランドの売却で中国の四川騰中重工機械と暫定合意したと発表した。
GMは、不採算車種を売却して再生しようとしている。
GMの声明によると、両社は「ハマー」売却の覚書を結んだ。四川騰中重工機械は、「ハマー」部門の幹部や事業戦略チームを引き継ぐとしている。
GMによると、四川騰中重工機械とは委託生産や主要部品・素材供給について長期契約を交わす予定。
「ハマー」のディーラーとの既存契約も四川騰中重工機械が継承する。合意は今後、当局の審査を受けなければならないが、第3・四半期中の完了を見込んでいる。
金額面の交渉はいまも続いており、公表しないとしている。銀行関係者は、「ハマー」の価値をコミットメント付きで現金1億ドル程度と試算している。
今回の合意は、販売不振に苦しむ米自動車メーカーのブランドを中国企業が買収する初めてのケースとなる。
すでに中国の部品メーカーや自動車メーカーは、経営破たんしたクライスラーなどの米自動車資産取得に動いているが、完了した合意はまだない。
「ハマー」を買収する四川騰中重工機械は、中国四川省を本拠に特殊車両や高速道路や橋梁向け資材、建設用機械の生産やエネルギー関連施設の建設を手がけている。
GMと四川騰中重工機械の共同声明は、四川騰中重工機械が今後、高級オフロード車の分野に進出するとしている。
GMは2日の「ハマー」売却合意に関する発表で、当初、売却先を明らかにしなかった。ただ、ルイジアナ州の組立工場は受託形式で少なくとも2010年末まで操業を続ける見通しや、売却先が「ハマー」の新車開発などに資金を投じる方針であることを明らかにしていた。
「ハマーH3」と「ハマーH3T」を生産するルイジアナ州シュリーブポート工場では800人が働いている。現地の全米自動車労組(UAW)委員長は「ハマーが生き残ることを非常に喜んでいる」と述べた。
GMは「ハマー」売却を決断した2008年6月、売却額が5億ドル以上と予想していた。
6月1日の裁判所向け文書では、借り入れ環境の厳しさやGMの財務内容に対する懸念から「妥当な条件」で売却が進まない可能性を示していた。 …」
●
中国、汚職公務員4万人超える 08年、1%増
「…中国で08年に汚職などで立件された公務員が4万1179人で前年より1%増加したことが10日、全国人民代表大会(全人代)全体会議の最高人民検察院(最高検)の活動報告で明らかになった。わいろの総額は21億元(約294億円)に達した。
活動報告によると、幹部職員への腐敗の広がりが特徴的で、立件された公務員のうち、課長級以上は2687人、局長以上は181人だった。
今年は、4兆元(約58兆円)の内需拡大策が実行されるため、汚職事件がさらに増えるとみられ、温家宝首相は5日の政府活動報告で「公共投資拡大の機会を悪用して私利をむさぼることは決して許されず、人民の納得を得られるようにしなければならない」と強調した。 …」
●
職探しに5000人殺到 中国・広州、出稼ぎ労働者ら
「…金融危機の影響で解雇されるなどした出稼ぎ労働者らに働き口を紹介する中国・広州市主催の大規模な就職説明会が7日、同市であった。旧正月を故郷で過ごし、職探しに戻ってきた労働者ら約5千人(市政府発表)が参加した。
広東省政府によると、旧正月後に地方から広東省に戻る人は約1千万人に達する見通しだが、うち260万人は働き口のあてがない状態とみられる。広州市では就職説明会を例年より大幅に増やしているが、不況で採用数は伸び悩んでいる。
湖南省からきた周永富さん(37)は「条件の合う仕事がなかった」。広州市内で企業の運転手をしていたが、旧正月前にクビになった。知人の家に1カ月ほど居候して、職探しを続けるという。 …」
●
中国で食品安全法成立 信頼回復へ監督・罰則強化
「…中国の全国人民代表大会(国会)常務委員会は28日、「食の安全」確保に向けた新たな食品安全法を可決した。国務院(政府)に食品安全委員会を新設し、食品生産への監督や罰則を強化する。冷凍ギョーザ事件などで広がった食への不安を鎮め、消費者の信頼回復に努める狙いだ。
同法は6月1日に施行する。最終製品や添加物だけでなく、原材料に使う農薬や肥料まで幅広く検査。生産業者に第一の責任があると定め、違法業者への罰則強化が盛り込まれた。また、有名人が広告出演した食品に問題があった場合は、出演者にも連帯責任を負わせることにした。 …」
●
中国版アルジャジーラ計画 国営メディア拡張に6千億円
「…13日付の香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、中国政府が最大450億元(約6千億円)を投じて国営メディアのネットワークを世界に拡大する構想があると報じた。中国の国際的なイメージ改善が狙いという。
新華社通信、中国中央テレビ、共産党機関紙人民日報は、世界に影響力を広げる価値ある提案ができれば、それぞれ最高150億元の予算を割り当てられるという。
情報筋が同紙に語ったところによると、このうち新華社は、中東の衛星テレビ局アルジャジーラをモデルにした24時間ニュースチャンネルの設立を計画している。アジアを拠点とし、中国のニュースだけでなく世界各地のニュースを流す構想だ。このほか新華社は、現在100ある世界の拠点を186カ所に増やし、世界のほぼすべての国に拠点を置くことも計画している。
中国メディアの拡張計画について、同紙は金融危機の影響で人員削減を進める欧米メディアと対照的だと指摘。北京五輪の聖火リレーの際に批判された経験から、政府幹部が中国のイメージ改善の必要を認識した事情もあるとの専門家の見方を紹介している。…」
●
「国営テレビは洗脳番組」 中国内の学者ら視聴拒否宣言
「…「中国中央テレビの洗脳番組を拒絶する」。中国内の学者や作家、弁護士ら22人が連名で国営テレビを「国家宣伝」と位置づけ、ネット上で視聴拒否を宣言した。体制批判は避けているが、共産党や政府の統括下にある中核メディアの是非を知識人が正面から取り上げた動きだ。
宣言文は12日付で公表された。中国中央テレビについて、(1)ニュース番組は民衆の集団抗議など社会矛盾を取り上げない(2)国内報道は紋切り型の慶事報道に偏重している(3)大量の宮廷ドラマは征服された側の民族感情に配慮していない、などと指摘。「われわれには視聴を拒否する権利がある」と訴えた。
宣言文に署名した弁護士の1人は14日、朝日新聞の取材に「三鹿集団による粉ミルク事件では被害者の側に立った報道がほとんどないなど、以前からメディアのあり方に疑問を持っていた」と話した。…」
●
禁止後も中国渡航、臓器移植 NPO「17人を仲介」
「…外国人への臓器移植が07年7月に原則禁止となった中国で、日本人への移植が続いていることが患者や仲介者らの証言で分かった。仲介組織の幹部は「禁止後に17人を仲介して移植を受けさせた」と認めた。患者から受け取った費用の中から現地の医師に治療費以外に謝礼を渡し、受け入れてもらったという。
中国は国内患者の保護のために禁止したが、臓器提供が極端に少ない日本から患者が渡り続けている構図だ。
中国政府は07年5月、臓器売買を禁じる臓器移植法を施行し、7月には、衛生省が全医療機関と従事者に対し、外国人への臓器移植を原則として禁じる通知を出した。外国人でも、中国に住む人は移植が受けられるが、移植のために訪れる人は認められない。
関東に住む40歳代の男性は取材に対し、「07年8月に広州の軍関係の病院で腎臓移植を受けた」と証言した。20年近く慢性腎炎を患い、日本では移植が受けられそうにないため、中国行きを決意。大阪府内のNPOに経費として約1千万円を払い、仲介を受けた。男性は、この病院に実在する医師の名を担当医として挙げたが、医師は「具体的な状況は覚えていないが、通知後は原則として外国人に移植はしていない」と否定した。
NPOの副代表は「禁止後、腎移植と肝移植で男性を含む17人の日本人を仲介した」と話した。
副代表によると、移植を希望する患者から預かった経費の中から、治療費や交通費など以外に中国の医師に1件あたり約200万円の謝礼を払う。中国政府は国内の臓器提供者の9割超が死刑囚だとしているが、副代表は「提供者は分からない」としている。
NPOは05年に設立。副代表によると、中国での腎臓、肝臓の移植について患者を病院に仲介しているが、あっせん料などは受け取らず、「仲介は非営利」としている。
一方、男性が帰国後に治療を受けている東京都内の病院幹部は「中国で移植を受けた日本人患者2人を禁止後に新たに受け入れた」と証言した。都内の別の大学病院の医師も昨年、中国で腎臓移植を受けた患者が来院したと話す。
厚生労働省によると、日本の臓器移植法は国内か国外かを問わず臓器売買を禁じており、売買された臓器の移植を受けた患者は罪に問われるおそれがある。営利目的の仲介は臓器売買の一種とみなされる可能性がある。…」
●
仏政府「チベット独立支持しない」 中国と関係改善へ
「…中国外務省は1日、チベット問題などをめぐって悪化していたフランスとの関係について、適切な時期にハイレベルの接触や戦略対話を再開すると発表した。フランス政府が「チベットは中国の一部であり、いかなる形の独立活動も支持しない」と約束したという。
昨年12月にサルコジ大統領がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と会談したことに中国が反発。中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相が2月に欧州5カ国を歴訪した際、フランスを素通りするなどこじれていた両国関係は、これを機に改善に向かいそうだ。
AFP通信は1日、フランスのサルコジ大統領と中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が、金融サミットで訪れるロンドンで会談する予定だと伝えた。
中国外務省によると、フランス政府は「チベット問題は重要かつ敏感な問題であることを十分理解しており、内政干渉はしない」ことを確認した。中国側は「両国関係を重視し、パートナーシップを強化する」としている。
フランスのラファラン元首相が北京を訪問し、温首相と会談するなど協議を重ねた結果、合意に至ったという。 …」
●
中国、ユーチューブ接続禁止 チベット騒乱映像が原因か
「…中国国内で、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に接続できない状況が続いている。AFP通信によると、ユーチューブを傘下に持つグーグル社が25日、中国内でアクセス禁止になっていることを認めた。中国当局は理由を明らかにしていないが、昨年3月に起きたチベット騒乱の際に治安当局者がチベット族を暴行しているとされる画像が出回ったことが原因とみられる。
ユーチューブの一部の画像が接続できないことはあるが、サイト全体が長期間アクセス禁止になることは異例。国営新華社通信が24日、「チベット騒乱で警察官が暴行を加えているという画像は虚偽だ」と報じた。14日で騒乱から1年を迎え、神経をとがらせていることがうかがえる。
24日ごろから、ユーチューブのサイトにつなごうとすると、「このサイトはアクセスできません」という警告文が出る。問題となったとみられる投稿映像では、数人の兵士がこん棒のようなもので僧侶をたたいたり、倒れた数人の男女を殴ったりけったりしている。チベット独立派関係者が投稿したとみられるが、映像の日にちや場所などは明らかにされていない。…」
●
清代の銅像所有フランス人「中国が人権認めれば返す」
「…中国・清朝時代に北京の庭園「円明園」から海外に持ち出された銅像の一部の競売に中国側が反発している問題で、仏デザイナーの故イブ・サンローラン氏とともに銅像を所有してきたピエール・ベルジェ氏(78)は20日、「中国が人権を認知するなら、中国側に返還してもよい」と述べた。
仏ラジオで語った。ベルジェ氏は天安門事件後に中国の反体制派をパリでかくまう活動にかかわったこともある。同氏は「中国側が考えるように贈り物のように返還するつもりはない」とも述べた。
一方、競売中止と返還を求めてきた中国側の弁護士らは20日、パリの裁判所に競売中止を求める処分を申し立てたことを明らかにした。AFP通信によると、ベルジェ氏らが所有してきた700点余の所蔵品の競売が3日間の日程で始まる23日に、裁判所の判断が出る予定だ。 …」
●
清朝のブロンズ像落札は中国人 「略奪品に金払わぬ」
「…中国・清朝時代に離宮「円明園」から略奪され、今年2月末にパリで落札されたブロンズ像2点について中国国営新華社通信は2日、落札者が中国人だったと速報(英語版)で伝えた。AFP通信などによると、落札者は2日、「(落札はしたが)中国からの略奪品にカネを払うつもりはない」との声明を出した。
この問題をめぐっては、中国政府が競売会社クリスティーズへの非難声明を発表するなど、国内で即時返還を求める声が高まっていた。今回、落札者は愛国的精神から競売に参加したとみられるが、代金を払わないと主張していることから、ブロンズ像の引き渡しをめぐって新たな問題が生じる可能性がある。
ブロンズ像は先月25日、クリスティーズがパリで開いたオークションで出品され、計2800万ユーロ(約34億円)で落札されたが、落札者は明かされていなかった。中国国家文物局は「円明園の文化財競売を強行した」などと反発、ネット上でもフランスなどへの非難が高まっていた。…」
●
建国60年を前に、中国が愛国教育を強化
「…中国共産党系の機関紙は15日、いっせいに愛国主義を鼓舞する報道を始めた。今年10月に建国60年を迎えるにあたり、当局は全国で愛国主義教育を強める方針。改革開放による経済発展や国民生活の向上を訴え、共産党への求心力を高める狙いがうかがえる。
20年前の「4月15日」は胡耀邦元総書記の死去した日。胡氏に対する学生らの追悼集会が6月4日の天安門事件につながったこともあり、当局がこの時期に愛国主義キャンペーンを始めるのには、依然くすぶる民主化要求を抑え込む思惑もありそうだ。
人民日報はこの日、「愛国主義で時代の輝きを奮い起こせ」と題した社説を掲載。即日キャンペーンを始めると宣言した上で、「共産党がなければ新中国はなく、祖国の繁栄や富強はあり得なかった。社会主義こそが中国を救い、改革開放こそが中国を発展させる」と訴えた。
新華社通信によると、思想宣伝部門を担当する党中央宣伝部は14日に全国の担当者とテレビ電話会議を開催。この席であらゆる機会を使って宣伝に努めることを決めた。…」
●
中国が人権行動計画公表 「少数民族発展・公正な裁判」
「…中国政府は13日、国民の政治的権利や少数民族対策の改善などをめざす国家人権行動計画(09〜10年)を公表した。中国で人権をテーマに国家計画が策定されるのは初めて。今後2年間の目標や具体策を定めており、国民の基本的人権の保障にも取り組む姿勢をアピールする狙いがうかがえる。
行動計画の「少数民族の権利」では、「10年までに民族自治区で義務教育の普及率を95%以上にする」「今後2年間に少数民族発展のため20億元(約300億円)以上を投入する」などと具体的な数値を定めた。また、「公民の権利と政治的権利の保障」では、被拘禁者に対する人道的待遇の保障▽刑事被告人に対する公正な裁判の保障▽法に基づく正常な宗教活動の保護――などを並べた。
今年は軍を出動させて市民の政治改革要求を鎮圧した「天安門事件」から満20年。中国政府としては、人権問題やチベット自治区など少数民族対策への内外からの不満や批判を鎮めたいところだ。
計画は女性や児童に関する権利や、農民の権益、四川大地震被災者まで取り上げて対象は幅広い。ただ、既存の政策の範囲内にとどまるものが大半で抽象的な表現が多く、実質的にどの程度、人権改善が進むのかは見通せない。 …」
●
兪可平著『中国は民主主義に向かう/近代中国における連邦主義思想』 天安門事件20周年 政治改革再び課題に (書評)
「…「六四天安門事件」がはや20周年を迎えた。当時、取り組まれ始めていた政治改革は大幅に後退し、経済改革、経済発展が優先された。しかし今日、大国化したが深刻な問題を抱える中国で、静かに政治改革論議が湧(わ)き起こっている。政治改革とは一般的には (1)人民の諸権利や政治参加を拡大し (2)透明性や公平性を高め権力の乱用や腐敗をチェックする法的枠組みを作り (3)政策決定・遂行を効率的なものにし (4)正統性のある統治体制を確立することである。それは共産党体制の在り方と深く関係している。天安門事件当時の政治改革派は党の必要性を認めつつも基本的には党自体の改革も真剣に考えてきた。
今日、胡錦濤のブレーンと言われる兪可平の著書は注目に値する。兪はまず「民主主義は素晴らしいもの」「真の人権は人類の基本的な価値であり目的である」と民主=普遍的価値の立場に立ち、緩やかだが中国政治もそのような道を歩んでいると強調する。これまで民主を重視する人は「欧米派」「開明派」、中国式を強調する人は「保守派」と見られてきたが、兪は民主を高く評価しつつ中国の現実を踏まえ「中国的な民主化」を模索している。静態的な安定から動態的安定への転換、市民参加の拡大、秩序ある改革の推進を重視し、党内民主主義の充実や普通選挙を末端の選挙から徐々に上級へ拡大といった民主の実質を漸進的に増やしていく方式=「増量式民主主義」を重視し、それがある段階で突破的変革を引き起こすとも指摘している。
もっとも党指導者やブレーンの主張と政治の現実の間には深刻な乖離(かいり)、矛盾が存在している。また政治改革は様々な利害や権力闘争、腐敗や汚職などが絡み合った現実の困難さがある。また党と国家、社会の関係が語られていない。それだけに本書を通して即中国の政治的未来を展望するわけにはいかない。が、以上のように示唆に富んでいる。
政治改革でもう一つの課題は(4)の国家体制をめぐる問題である。劉迪の著書はそれを「単一性国家VS.連邦制国家」から考え、辛亥革命期から現在までの議論を詳述し整理している。孫文ら辛亥革命期の政治指導者の多くは当初連邦制を主張していたが、孫文は革命後、「以党治国」(党代行主義)を主張し単一国家論に転じた。共産党は建党以来49年まで連邦主義をとり、毛沢東は青年期特に強い連邦主義者であった。49年以後共産党は単一制国家を主張するようになった。が、香港返還以来「一国二制度」を導入し「新複合性」国家とも言うべき体制になった。国内外の中国人専門家の言を紹介しながら、今後の民主化と連邦制導入への期待を寄せる著者の想(おも)いが伝わってくる。昨年末、中国国内の一部の学者と海外の中国人が連携して「08憲章(中華連邦共和国憲法要綱)」を発表しすでに数千人の署名が集まっている。兪可平らブレーンたちの主張と合わせてみれば、政治改革は再び避けられぬ課題になりつつあるのか。…」
●
ジャッキー・チェンの発言、波紋広がる…「中国人は制されるべき」
「…2008年の北京オリンピックでは開会式・閉会式の両方に出席し、中国政府から熱くもてなされているジャッキーだが、海南島で行われたフォーラムで、新作映画『新宿インシデント』が中国で上映禁止となっていることを踏まえ、中国本土での検閲について質問され、「自由があるのがいいことかどうか、僕にはわからない。自由が過ぎると、今の混沌とした香港のようになるし、台湾も無秩序だ」とコメント。「僕はだんだん、中国は統制されているべきと考えるようになってきた。規制がなければ、何でも好き放題になってしまう」と語り、中国人の出席者から大きな拍手でたたえられた。一方、名前の挙がった香港と台湾では怒りの声が上がり、香港の議員からは「彼の発言は中国の人々を侮辱している。中国人はペットではないし、人権を守る民主主義システムやルール、法が必要だ」と反発が強まっている。フォーラムには中国首相の温家宝氏が出席していたこともあり、政治的な影響もあるのではと言われている。…」
わずか数ヶ月の間にこれだけのニュース。良くも悪くも、物凄いダイナミズムのもとに中国という国が動いていることがわかります。
ちなみになんでいつも朝日新聞の記事を丸ごとコピペするのか、と言うと、すぐに元記事が消えちゃうからなんですよね。長くなっちゃってすみません。
†
●
プンツォク・ワンギェル氏はかつてこういった…。 (北京・平河趣聞博客)
「…「チベット独立!」というスローガンを掲げる僧侶もいたそうだが、彼らはむしろ、ダライ・ラマ14世が中国と対話しようとする姿勢に、いらだつ一部の血の気の多い僧侶たちときいている。僧侶、そしてチベット族の間に、意見の対立があることは、間接的にきいていた。ましてや、この暴動のきっかけとなったデモを「五輪抗議デモ」とするのはあまりに飛躍しすぎではないか。まあ、五輪前だから国際社会の注目をいっそうあびる、という期待はあろうけど。結果的に、国際社会に五輪ボイコット世論が起こるかもしれないが。…」
「…だから、当局が発表するダライ・ラマ14世の陰謀説というのは、こちらの方が陰謀くさいと思う。中国側がダライ・ラマ14世に責任をなすりつけようとしているのではないか。いままでのダライ・ラマ14世の発言、中国側との交渉の過程をみていれば、ダライ・ラマ14世は譲歩しつづけている。しかし、中国側はいっこうに譲歩せず、むしろ活仏許可制など宗教管理を厳しくしている。…」
「…一部報道で、お坊さんが、放火した、と書かれたものを見たが、チベットラマ僧の戒律の厳しさを考えれば、破壊行為に僧侶が積極的に荷担するとは思えない。ただ、精神力の強い人が多いのでハンストとか抗議の座り込みとかやると、なぐってもなぐっても動かないのだろうが。…」
●
中国はチベットを手放さない(再論) (リベラル21)
「…新華社電によると、中国の胡錦濤国家主席は4月12日、オーストラリアのラッド首相と海南省三亜で会談し「チベット問題は完全に中国の内政にかかわること」と述べ、外国の干渉を許さない姿勢を強調した。また、胡錦濤主席は「ダライ・ラマ(十四世)一味との闘争は民族、宗教や人権の問題ではない。国家の統一を守るか、あるいは祖国の分裂を許すのかという問題だ」と述べた。(共同)
こうした発言を日本ではどう受けとめているだろうか。少数民族にたいする威圧的な政治的表現だとか、民族運動鎮圧についての弁解だと考える人がいるかもしれないが、わたしは、これを真剣な意志を表明したものとして字面どおりに受止めるべきだとおもう。…」
「…49年に連邦制から自治区制への政策転換がどのような経過でなされたかはわからない。ただこれが毛沢東の強い意志であったことは推測できる。毛沢東はチベット制圧直後、1951年にチベット上層部人士と懇談して、チベット民族が中国でしかるべき地位を占めるべきだと論じ、「きみたちチベットが新中国の大家庭に帰ってきたことは、われわれの巨大な資本だ。もしそうでなかったらわれわれの防衛線は四川省の境界になっただろう」と発言した。それまでは金沙江が国民政府とラサ政府の境界だった。
チベットが中国に帰属したことでその防衛線はヒマラヤになったが、新疆に「東トルキスタン共和国」ができたら中国の防衛線はクンルンからアルチンタークをへて北山にいたる線、「内モンゴル共和国」とは大興安嶺から長城の線になる。
さらに毛沢東の51年12月の声明では、過去、帝国主義があえて中国を侮った原因のひとつは、中国の各民族が分裂していたからだ。だが新中国が成立したその日から中国の各民族は団結し友愛協力による大家庭となり始めたという。こうして中国からの分離独立を目指すことは、ただちに帝国主義の中国分割の陰謀に加担することになった。…」
「…いま不確かな記憶にたよると、レーニンは民族の自由とか分離独立権とか平等とかを主張する一方で、中央集権的大国家を高く評価し、連邦制とか民族自治とか地方分権に反対した。また民族問題は高度な民主主義のみが解決できる問題だ、民族は社会主義の達成によっていずれ消滅へと導かれる存在であるとし、民族の融合を支持した。レーニンの論理では、連邦制はロシア革命当時の各民族の状況に応じた臨時的措置であって集権国家への過渡期のものにすぎない(これに対しては、民族は人間存在の根本的基盤だが、レーニンにはその認識がないという批判が当然生まれるだろう)。
こうなるとレーニンに寄りかかりつつ、国家は集中原則でなければならず、民族自決はその例外だとして連邦制を否定することができる。民族の自由とか平等については、プンワンのように弱小民族の利益を主張することも可能であるが、逆に中国国家にとって自治機能のあまり高くない自治区制こそがレーニン理論に合致したものであるという理屈も可能だ。やがて融合する少数民族に高度自治権を与える必要はない。同様に、香港に実施し台湾に提起している「一国二制度」はこれらの地域が中共の統治下にないからであって、自治区はすでに中共統治のもとにあるから、そのような制度の必要はない。香港・台湾もやがては中共の直接統治下に入るのである。
いま中共当局によって高度自治も自治区の再区画も分離主義のレッテルを貼られているが、それは少数民族の民族主義を鼓舞し分離独立につながると考えられるからである。中共は建国以来各種の民族運動を犯罪視してきた。だが、それはレーニンの中央集権的大国家論によって通行切符があたえられている。冒頭の胡錦濤主席の発言は、このようなレーニンを踏まえたうえで毛沢東の安全観・領土観を継承した論理によっていると私にはおもえる。…」
●
食えないと死んでしまうが・・・チベット封建制を考える――チベット高原の一隅にて(43) (リベラル21)
●
やるせない日々―チベット高原の一隅にて(41) (リベラル21)
●
40年前のチベット自治区―チベット高原の一隅にて(40) (リベラル21)
●
おもえば遠くへきたもんだ―チベット高原の一隅にて(39) (リベラル21)
●
どうしてこうなるのか――チベットの騒乱 (リベラル21)
●
チベット「騒乱」の背景 (リベラル21)
●
ODAの小学校―チベット高原の一隅にてA(リベラル21)
●
寺と坊さんの高度成長について――チベット高原の一隅にてB (リベラル21)
現代中国を見る上で、チベット問題はやはり欠かすことができない。
ちょうど1年前、このブログは、チベット暴動に端を発する中国バッシング/北京五輪反対運動に対抗する視点を示すために、かなり中国側に寄ったスタンスの
記事を連続して書きました。またその前哨戦として、まずは現代の中国という国家の矛盾を「
チャイナ・フリー・ワールド」という記事で書きました。
それだけの用意を整えて、腰を落ち着けて記事を書いていったものの、結果としてあまりに中国政府サイドに加担し過ぎたのではないか、という後悔の念も残った。
欧米はじめ諸外国が、北京五輪によっていよいよ先進国に飛躍しようとする中国への干渉に、チベット問題を利用し、煽り立てたのは確かだ。ヨーロッパ・リベラリズムはそれに徹底して悪用された。怪しい抗議団体が幅をきかせ、日本では右翼レイシストが全面的にそれに乗っかった。
そうした諸々を踏まえた上で、あらためて明確にしておきたいのは、中国が実際にチベットでやっていることが少数民族運動に対する弾圧であるという事実が揺らがないということ。それは当時も今も変わらず、しっかりと僕の脳裏にあることです。
最近また、なるべくフラットな視点で、色んな角度からこの問題を見直してみようと思っています。
右翼でもなく、中国憎しでもなく、欧米によるバイアスや反中キャンペーンの存在を知っている人間こそが、そういう作業をやっていかないといけないと思うので。