バラク・オバマがアメリカ合衆国の新大統領に決まった。
まずはアメリカ人が現時点ではベストの選択をしたことを喜びたい。
しかし、このブログをずっと読んできた人ならわかると思うが、僕自身はこの新しいアメリカ大統領を全く評価していない。
むしろ、アメリカ国内だけでなく世界中を覆っている変革への気運が、このよくわからない鵺(ぬえ)のような「黒人大統領」に収束してしまったことに、何とも言えない危うさを感じている。
それは、人権や民主主義というお題目が、あの奇怪な北京五輪の聖火リレー妨害行動やフセイン政権打倒に使われた時と同じ感覚だ。
演説が上手いのはわかる。確かにむちゃくちゃ上手い。あのキング牧師が引き合いに出されるが、それどころではないかも知れない。エモーショナルにグワーッと聴衆を持っていく。恐ろしいアジテーターだ。
でも、学生時代から弁舌とオーガナイズの才だけで世の中を渡ってきたような人間を、本当に信用していいものかとも思う。
一緒にする気はもちろんないが、ヒトラーだってアジとオーガナイズはむちゃくちゃ上手かった。「巧言令色、鮮(すく)なし仁」という言葉もある。
人間の種類としてはマケインみたいな人間の方が遥かに信用できると思うのは僕だけだろうか?
確かにマケイン陣営は、選挙戦終盤には焦りが出て、保守層に媚びるえげつないネガティブ・キャンペーンを打った。糞マッチョなナチ野郎のシュワルツェネッガーの応援演説の醜さには呆れ果てた。
でも、マケインは大統領候補になる前は、共和党の一匹狼としてブッシュ政権の政策を痛烈に批判し、イラクからの撤兵を訴えていた。ベトナムで捕虜として5年間拷問に耐えたマケインこそ、本当の愛国者でアメリカン・ヒーローだ、という共和党の宣伝は、嘘ではないと思う。彼ほど兵士の痛みがわかる人間はいない。彼の
敗北演説の潔さは、永遠に歴史に残るだろう。
マケインのような人間をオバマの対抗馬に選ばなければならなかったことは、共和党がいかに追い詰められていたか、ブッシュの失政がいかに深刻なものだったかを示している。
あの男の黒い肌ととっちゃん坊やのような見た目に騙されていないか?。
オバマの演説の感動的な部分のほとんどは、アメリカでエスタブリッシュメントに加わることのできた黒人の成功物語じゃないか。「白人の皆さん、ボクを仲間に入れてくれてありがとう!アメリカン・ドリームに感謝します!アメリカはやっぱり最高の国です!」と言っているだけだ。
ついでに言えば、オバマは本当の意味でのアメリカの「黒人」ではない。オバマの父親は、ハワイ大学に留学していたケニア人で、母親はカンサス出身の白人だ。彼は白人とのハーフであるだけでなく、奴隷の子孫でさえない。
今のアメリカで黒人の大統領が誕生すること、それ自体は確かに凄いことだ。オバマはアメリカの黒人たちの希望の星だという。それもわかる。
では、メディアで言われているように、本当にアメリカ社会が変わったから黒人大統領が誕生したのか?違う。
黒人を取り巻く環境は変化していない。ただ「差別はいけない」という建前を多くの白人が口にするようになっただけだ。
今でもアメリカの黒人の大多数は貧困階級に閉じ込められている。黒人が大統領になる時代になっても、黒人たちの生活実態は、70年代からほとんど変わっていないのだ。
スパイク・リーが映画を撮り始めた頃には、一部の黒人の地位は既にかなり向上していた。彼らは大学に通い、医者や弁護士といった専門職で成功し、中産階級が誕生していた。
でも公民権運動家に言わせれば、それは肌だけ黒くて中身の白い黒人、アンクル・トムのような「ハウス・ニガー※」がたくさん出てきたというだけのことだ。
もちろんオバマはブッシュよりは少しはマシな政治をやるかも知れない。でも、実際はほとんどやらないかも知れない。
オバマがこれから取るだろう政策ではっきりしているものは二つある。イラクからの撤兵と、アフガンへの兵力の増派だ。
貧困から抜け出せず、軍隊に入ってイラクに行き、奨学金を手にすることでしか大学に行けないアメリカの若者たち。同じく兵士になることでしか市民権を得られない不法移民たち。彼らの多くは黒人ではなく、ホワイト・トラッシュと呼ばれる貧困階級の白人や、新しい最下層の移民であるヒスパニック系の若者たちだ。
その若者たちに対して、オバマはイラクから撤退して次はアフガンに行けと言う。
アフガンはイラクより酷い戦場だ。タリバンが勢力を盛り返し、ゲリラ戦と空爆の応酬は激化している。戦場は国境を越えてパキスタンにまで拡大しようとしている。
イラクが不正義なニセの対テロ戦争で、アフガンは正義の本当の対テロ戦争だって?そんなわけはない。
ついこの間も、カンダハルの結婚式を米軍が誤爆して、37人の参列者を粉々に吹き飛ばした。それが対テロ戦争の現実だ。
イラクやベトナムとアフガンは何も変わりはない。これからも無数のプラトーンが村を焼き、女をレイプし、子供たちを撃ち殺す。
日本にいて、オバマの演説に呑気に感動している日本人。グッドな黒人音楽を聴くように、耳障りのいい、エモーショナルな若い黒人タレントのボーカルを聴き、その美声に酔っている。でも、黒人音楽を聴く日本人の多くが、本当の黒人の苦悩や苦痛に目を向けることがないように、オバマの演説を聴く日本人が、今アメリカ人が本当に直面している苦悩や苦痛に目を向けることはないんじゃないか。
ロジックではなく感覚で物事を捉えることほど危険なことはない。
少なくとも日本の左翼やリベラルの中で、オバマ程度の男が大統領になったことで手放しに感動している連中がここまでたくさんいることに危機感を覚える。あんたらはアメリカの何を見てきたんだ?何のための「反米」だったんだ?
黒人が大統領になった。それは確かに大きな変化だ。しかし、本当にもたらされるべき変革に比べたら、それは最初の一歩にも遥かに届かない、微々たる変化に過ぎない。実際のところ、変化でさえないかも知れない。
オバマの勝利は、小泉純一郎と同じポピュリズムの勝利だ。
黒人大統領は民衆のパワーを託す代表者なんかじゃない。ガス抜きのためのはけ口だ。
新しい世界大統領の誕生が象徴しているのは、人類の明るい未来じゃない。
この世紀を通して世界に敷かれることになるだろう、より巧妙で、より打ち破るのが困難な、新しい支配の形だ。
(※ハウス・ニガー:奴隷制時代のアメリカで、屋外で野良仕事をさせられる黒人奴隷=フィールド・ニガーに対して、白人の住居に一緒に住んで身の回りの世話をする黒人奴隷のこと。彼らは白人と同じような考え方や価値観を身につけ、白人のような身なりやしゃべり方をし、フィールド・ニガーたちを蔑んだことから、裏切り者の「ハウス・ニガー」として非難された。従順な黒人奴隷の物語から取られた「アンクル・トム」も、同じ意味で使われる。他に「外側は黒いが中身は白い」ということで「オレオ」という呼び方もある。)
(※このブログでは、黒人を蔑視する「ニガー」という差別用語をしばしば文中で使っています。しかしその意味合いは、白人の差別主義者、もしくはわざとその言葉を自分たち自身に対して使う黒人たちによる用例を、批判的に、あるいは現に定着しているものとしてなぞったもので、筆者本人に差別的意図は一切ありません。)
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僕がバラク・オバマについてなぜここまで書くか、不思議に思った人には、以下の素晴らしいブログ記事を読むことをお勧めします。
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オバマを拒否し、ネーダー/マッキニーを支持する12の理由 (マスコミに載らない海外記事)
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オバマ、民主党ホワイト・ハウスへの「期待度低下工作」を開始 (マスコミに載らない海外記事)
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筑紫哲也と久米宏と2ちゃんの祭り (お笑いみのもんた劇場)
筑紫哲也氏死去。
いよいよひとつの世代が消えていく。
こういう世代の重しを失って、これからいよいよ日本は暴走していくんじゃないだろうか。
今、
対馬で日韓の緊張が高まっているらしいし(というかそういう風に煽ってるバカが両国にいる)、本当にわけのわからない方向に行くんじゃないだろうかと思うと恐ろしい。
上の記事でオバマのことを批判したが、そもそもオバマやチェンジがどうだろうが関係のないところでこの国の国民は動いている。世界から取り残されている。戦前と同じじゃないか。
筑紫氏といえば、2ちゃんねるを「便所の落書き」と呼んだ名言があった。
そんな2ちゃんねるのネット右翼連中は筑紫氏が死んでお祭り状態らしい(見てないけど)。
善人が死んでクソみたいな人間が生き残るのが世の常だ。
最後の「多事争論」。
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先週は1週間休みをもらって、ずっと家でダラダラしてました。
と言っても月曜は祝日で火曜は出社したんで、結局有給使ったの3日だけだったんですが…。
週末は2晩グラスルーツと20000Vのライブ。
土曜の20000VではNUMBのライブ中に怖いバンドの人にぶん殴られて鼻血を出しつつも、モッシュしまくって楽しかったです(笑)。つうかまた鼻が折れなくて良かった…。
あと久々に観たVIVISICKのライブが本当に素晴らしくて、最近見失っていたものを取り戻したような、気恥ずかしいようなうれしいような気持ちになりました。あんなライブやってるバンド、日本に他にはいないと思います。
グラスは2晩とも楽しかったけど、特に土曜は素晴らしかった。Taro AkiyamaさんとIwaki Kentaroさん、どっちも初だったけど最高でした。土曜は雰囲気も凄く良かった気がしますね。