●CHARLES MINGUS / Town Hall Concert(LP) UNITED ARTISTS
本当に好きなジャズ・ミュージシャンの一人。真のハードボイルド、真のヘヴィ・ミュージック。他のジャンルを見渡してもこういう音楽を演る人はいないし、似たことをやっていても本質が全く違う。批評精神、闘争心、知的な攻撃性、芸術的野心、品位、堂々たるたたずまい。才能や技術や才覚より大事なものなんていくらでもある。でもそれらを全て身につけている人はそうはいない。
●DOM UM ROMAO / ST(LP) MUSE
セルジオ・メンデスのバンドやWEATHER REPORTでも活躍したブラジル出身のドラマー/パーカッショニストの74年のソロ・デビュー作。汎ブラジル音楽的な様々なスタイルの曲を演奏している。サウダージ感漂う曲調をエレキとアタックの強いドラムが切り裂く冒頭に始まり、おおらかさと緻密なテンションが同居した懐の深い世界。強靭なバネも感じさせる傑作。ブラジリアン・ハウスの雛型的な曲もあってこれは早かったんだな、と。
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●DOROTHY ASHBY / The Rubaiyat Of Dorothy Ashby(LP) CADET
デトロイト生まれの黒人女性ハーピストのオリエンタル趣味全開の70年のアルバム。題名からするとインドがモチーフらしいが、よく見るとペルシャ絨毯の上で浴衣を着て琴を弾いているというチグハグっぷり。ストリングスも入った壮大なアレンジに、ラーガ風だけでなく中華風や和風のメロディも加わり、本人自らボーカルもとる。プロデュースはシカゴ・ソウルのRichard Evans。近年になってアナログ再発されるまではかなりのレア盤だったらしい。あんまり好みじゃないけどさすがにインパクトはあります。
●JON LUCIEN / Song For My Lady(LP) COLUMBIA
75年のアルバム。やっぱりこの人変です。過去にレビューした作品はブログ内検索してもらうとして…異常にプログレッシブ・ロック的なセンスと、ブラジル音楽の影響の大きいアダルトなテイストが同居する、奇怪で華麗なアレンジのメタ・アーバン・ソウルが爆発。まあ人脈的にも、ボーカルの入ったフュージョン、と捉えれば不思議じゃないのかも知れないけど、フュージョンの人たちもいちばん面白い音を出してた時期でもあり、どこにも着地しないこの異形のサウンドはやっぱり凄い。今回もオーケストラ・アレンジはDave Grucinが担当、ハービー・ハンコックもキーボードを弾いてるだけでなく裏ジャケに賛辞も寄せている。
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●V.A. / Ghana Sounds: Afrobeat, Funk and Fusion in 70's Volume 2(2LP) SOUNDWAY (←試聴あり)
SOUNDWAY最高!ヨーロッパ人によるアフリカン・レアグルーヴ発掘の先鞭をつけたこのレーベルの最初のリリース『Ghana Sounds』の第2弾。70年代の西アフリカ、ガーナのジャズファンク、アフロビートと聞くといかにも辺境産のイナタいものを想像するが、フタを開けてみるともの凄くかっこいいアフロ・ファンクがぎっしり詰まっている。こんなにレベルが高いとは…。もうフェラ・クティ/トニー・アレンあたりだけをありがたがって聴いてる時代はいよいよ終わったんだなと痛感。今まで聴いたことのないようなアフロものが聴きたい人は是非チャレンジしてみて下さい。ユーロ高もあってなかなかキツい状況ですが、ORIKI MUSICとSOUNDWAYは頑張って追っていこうと思った。
●CHARLES WRIGHT AND THE WATTS 103RD STREET BAND / You're So Beautiful(LP) WORNER BROTHERS
その名の通り有名な暴動が起きたLAのワッツ地区で結成され、Bill Withersのバックも務めたファンクバンドの5枚目のアルバム。後にEW&Fのメンバーを2名輩出することからもわかるように、優秀なセッション・ミュージシャンの集まりだったが、アルバムの出来は激ユル。ドラム、ギター、ピアノをこなしプロデューサーでもあるリーダーのCharles Wrightがボーカルを取るが、この人の歌がまた超適当で下手。最大のヒット曲はN.W.A.がサンプルと言うより丸ごとカバーした「Express yourself」で、このアルバムにはそのセルフカバーが収められているが、これがまた適当な感じで…。他にもATCQやBrand Nubianがサンプルした純粋なレアグルーブ盤。何回聴いてもほとんど印象に残らないが、聴いてる時はご機嫌。
●LONZO AND THE WORLD CLASS WRECKIN CRU / Turn Off The Lights in The Fast Lane(LP) MACOLA
Dr.DreやDJ YellaがN.W.A.の前に組んでいたグループ。シングルは持ってて、そっちはなかなか凶暴なエレクトロ・ビートが炸裂する快作だったんだけど、初めて聴いたこのアルバムは、大味なアーバン・ナンパ路線の歌ものファンク?中心で、結構どうしようもない1枚だった。しかしこの曲調に異常にアタックの強いドラムはやっぱりおかしい。この時代のヒップホップやソウルは全部こんな音をバックにやってたのかと思うと、相当狂った時代だよな。いくつか結構ハードなラップ?ナンバーもあって、結局ご機嫌。
●ALTON ELLIS / I'm Still In Love with You(2LP) HEARTBEAT
こんな凄いものをまだ持ってなかったなんて…。言葉がない。再発系レゲエ・レーベルは数あれど、やっぱりHEARTBEATは最高です。ある意味他のレーベルはHEARTBEATという大きな重箱の隅をつついているとさえ言ってもいいと思う。少なくともSTUDIO ONE音源に関しては間違いなくそう。NATURAL REGGAEでスピンされるような、オリジナルを買ったらいったいいくらするかわからない楽曲も、こうしてリマスタリングされた生き生きとした音で手軽に聴くことができる。Hortense Ellisの歌う「Willow Tree」は個人的に生涯随一の名曲。俺の葬式ではこれを流してください。
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●SUGAR MINOTT / Dance Hall Showcase Vol.II(10") WACKIE'S
これ最高!WACKIE'S流のワンドロップにあくまでラバダブのりのSugarの歌、そこに淡々と接続されるダブ。Jah BattaのLPにDJバージョンが収録されていた1曲目「Informer」がやっぱりいいです。ジャケのデザインや10インチというフォーマット含め、持っててわくわくするような、すごくキュートなレコード。
●V.A. / Every Mouth Must Be Fed(2LP) PRESSURE SOUNDS
もう何年もレゲエのレコードのレビューを書いてくると、いい加減書くことがなくなってくるし、いいとわかってるものをわざわざ僕みたいな人間が書くこともないなと思ってしまうんだけど、もしこれを読んでいる人がジャンルを問わず本当に音楽が好きで、しかも月に何枚かしかレコードを買うお金がないとしたら、こういうレゲエの再発レーベルのレコードを買うといいと思います。MICRONレーベルに残された貴重な音源集。超一級の内容です。
Town Hall Concertは64年のJAZZ WORKSHOPでのライブで、エリック・ドルフィーやクリフォード・ジョーダンも参加してます。
ドルフィーはツアー先で死ぬんですけど、その前のツアーがこれです。本当に凄いライブでお勧めですよ。
64年というのは、個人的にジャズがいちばん凄い領域に到達した時期だと思ってます。…世間ではどうかわからないですが。
コルトレーンが『至上の愛』を出した年、ドルフィーが最後の演奏を吹き込んだ年ということで。
逆に言えば、ジャズはここからは「終わり」に向かって突進するというか、ジャズの壮大な葬式が始まる年とも言えるんですけどね。